第2話

 翌日に昼頃、ついに俺はこの王国の三大都市の一つらしいティラリアに到着した。そして案の定、城壁の検問に引っかかる。

「失礼ですがシスティ様、その方は……」

「森で拾って来ました。完全身元不詳ですが、安全であることはわたしたちが保証します」

「そうですか……では、借りの身分証を発行いたしますので、お手続きを」

「わかりました。エミリア、イリス、先に団長に報告しに行っておいて。わたしは後から行くので」

「わかった。報告が終わり次第屋敷に戻るので、そこでまた合流しよう」

 そう言うと、エミリアたちは街に入っていった。そして俺はと言うと、システィと共に検問所の小部屋に連れて行かれ、書類に色々と書かされていた。

 名前、年齢、種族等々……まあそもそもかける事が少ない上、年齢はこっちだとよくわからない。とりあえずセシル、十五歳(見た目年齢から)、吸血鬼と書き、後は記憶がない、と説明した。

「気付けば森に身一つで……直前の事も覚えていないのか?」

「ああ、はい。その、しいて言うなら、夢を見ていたような……?」

「ふむ……よく捉えるなら御伽噺の聖女様のような話だが、吸血鬼だもんな。ひとまずシスティ様、徹底した保護と監視をお願いします」

「はい、おまかせください」

 仮の身分証を発行してもらい、俺は無事街に入ることができた。

 報告はエミリア達がしてくれるという事なので、そのままこの街にあるらしい三人の拠点に案内された。

 屋敷は街の中心部から少し離れた所にあり、塀に囲まれており入口には門番もいる。

 そこを抜け綺麗に手入れされた庭園の先に、大きな屋敷が建っていた。

「ふぅ、やっと着きました~。セシルちゃん、先にお風呂でさっぱりしましょうか」

 システィは屋敷のメイドに馬と荷物を預けると、俺の手を引いて風呂に案内してくれた。確かに馬での移動とはいえずっと密着していたし、外もまあまあ暑いせいで汗はかいたけど、一緒に風呂? しかも、ちゃっかりメイドもいる。

「わたしのぶんと、この子に会いそうなサイズの服もお願いしますね~」

 システィは当然だが躊躇うことなく服を脱ぎ、それをメイドに預ける。続いて俺も服を脱ぐと、メイドがそれを受け取り、ささっとたたんでくれた。

 この新しい姿を見られるのも恥ずかしいけど、それ以上に裸の美少女が目の前にいるせいでそれどころじゃない。

 胸は俺より小さいが全体的にスラっとしていてバランスが取れた綺麗な体だし、何より年の近い女子の裸なんて初めて見た。なんだろう、お腹のあたりがちょっと熱い気がする。

「セシルちゃん、スタイルいいですね~。羨ましいです」

「システィ……様も、綺麗だと思いますよ……」

「ふふっ、ありがとうございます。それと、様はいいですよ」

 システィは私の頭を撫でる。彼女に撫でられるとなんだか安心するな。ただ、身長差もあって少し目線を下げるだけで胸が見えてしまうせいで心臓が破裂しそうだ。

 何とか態度に出てしまわないようにしながら体を彼女の後ろを歩き、体を流す。

 そういえばシスティに気を取られて気づいていなかったが、どうやらこの世界には石鹸やシャンプーがちゃんと存在しているらしい。しかも結構いい香りがする。

 残念ながら現代の知識無双は出来なそうだ。まあ、知識無双できるほどの知識を持っているわけじゃないけど。

 体と髪を綺麗に洗って、大きな湯船に浸かる。

「うはぁ~……」

 この風呂、流石王族が住んでいる屋敷なだけあって温泉みたいな広さだ。けど――

「やっぱり任務後のお風呂は気持ちいいですね~。セシルちゃんも、ゆっくりくつろいでいいですからね」

 システィがなぜか俺の後ろに座って、お腹に腕を回してきた。背中に直で胸の感触が伝わってくる。小さいながらも柔らかい感触と、二つの少し硬い感触。

「あ、あの、システィ、恥ずかしいです……」

 というか、興奮しちゃいます。けど振りほどくことも出来ず、かといって興奮するけどそれどころでもなく――

 あ、ダメだ頭がぼーっとしてきた。

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超絶美少女ならチート能力なんて無くても異世界を生き抜けるよね! おるたん @cvHORTAN_vt

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