第6話 エピローグ
〇シーン1
・概要:卒業式を終え、2人で図書室倉庫にやってくるシーンです。
※効果音:ワイワイとした歓声が遠くで聞こえる
※効果音:扉を開ける音
※効果音:扉を閉める音
※効果音:鍵をかける音
柏木 涼香「ふぅ……なんだかんだあったけど、卒業しちゃったね、あたしら。ここに来れるのも、この部屋に入れるのも、今日で最後かぁ」
柏木 涼香「それにしても、まさか勘当されるとは思わんかったね。第一志望の大学を落ちたくらいでさ。もうね、父さんブチギレちゃって。ま、受かるワケないんやけどね。だって答案に何も書かずに出したんやから。受かる気なんて、サラサラなかったし。あたしが行きたい大学は……犬くん、あんたと同じ大学だよ」
柏木 涼香「だから前期はわざと落ちて、後期でそっちを受けた。受かったから行くって言ったら、また父さんがキレてさ。それで……言ってやったんよ。もうあんたの言うこと聞くだけの人生なんて、やってたまるかって。あたしは、あたしの好きなように生きるからって。そしたら……はは、『今すぐ家を出て行け、もう娘でも何でもない』ってさ。こっちから願い下げや。そんな父親なんてさ」
柏木 涼香「ははっ、心配そうな顔せんでイイって。せいせいしたし。それに……母さんとは切れてないしね。母さん、父さんに内緒で、こっそりお金を貯めとって、それを生活資金にしなさいって、通帳くれたから。このお金と、あとはバイトをしっかり入れたら、学費は払えるし、普通に生活もできると思う」
柏木 涼香「そうそう……あたしの母さん、なんも考えてないフリして、しっかりしとったわ。父さんと離婚の裁判するための準備しとったんよ。証拠はたくさん押さえとるから、たぶん有利な条件で勝てて、もっと上手くいったら父さん刑務所に送れるって言ってたし……」
柏木 涼香「とは言っても、しばらくは苦労しそうなんよね。大学生活の準備して、いいバイトを見つけて、やることは山積みやもん」
柏木 涼香「ま、住むところは決まっとるから、その点は安心やけどね」
柏木 涼香「ちゅうわけで……犬くん、ルームシェアで、お世話になりま~す♪ あたしの収入とかが安定して、次の部屋が見つかるまでのあいだ、よろしくね。あんたとなら、上手くやってけそうな気がするんちゃ。それに、あたしはあんたの飼い主なんやから。責任もって最期まで、あんたを飼うからね」
柏木 涼香「あたしの可愛い犬くん! これからもずっと一緒やからね! はい、返事!」
※演出指示:主人公が「ワン!」と答えた体で
柏木 涼香「それでよし! そんじゃ……明日にでも、あたしらの部屋に行ってみようよ。そしたら……またたくさん甘やかしてやるけんね♪ あっ! っていうか……今から甘やかしてあげようっか? うんうん、それがいいね。最後の思い出作りや。犬くん、そこに転がって、そうそう、それ。そんでいつも通り、ほら服従のポ~ズ♪ あはっ、よくできました! 偉い偉い~♪ それでは……あたしの大好きな犬くん、まずは、いつもやってたみたいに……」
※効果音:靴下と上履きを脱ぐ音
柏木 涼香「はい。とりあえず……あたしの足、舐めて?」
鬱屈系優等生に、犬と呼ばれる青春 加藤よしき @DAITOTETSUGEN
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