傘
青甘(あおあま)
第1話
「は〜、なんで傘ってずっと持っとかないといけないのかな」
「まぁ傘って歴史は4000年くらいあるらしいけど車とかと比べるとあんま変わってないらしい」
雨が降る放課後。俺と友人は傘をさしながら帰路についていた。校門を出た時はそれほど強くなかった雨もいつの間にかその雨音は大きくなっている。
「へー、そんなに歴史あるなら傘も進化したらいいのにな。手に持たなくても勝手に歩幅に歩いて雨を防ぐとか」
「そんな技術はまだないな」
友人は苦笑しながらも俺の話になってくれる。
金曜日ということもあってか言葉に覇気はなくただお互いに暇つぶし程度に話している。
「でも傘って意外と面倒だよなあ。手は塞がるわ結構幅取るわで」
「そうかー?」
「そうだよ。誰か傘の代わりのものを作って欲しい!」
「ははは」
すると目の前に1人の子供がいた。その手にはカバンを持っているが傘は見当たらなく建物の下で雨宿りをしているようだ。
ただじっと空を睨んでいる。早く晴れろと言わんばかりだ。
俺と友人はその子に近づく…
「今の傘でよかっただろ?こうやって人に貸すこともできるんだし。1人が持ってたら入れてもらえるし」
「それは結果論だろ」
俺たちは雨宿りしていた子に傘を貸し、今は一本の傘に2人が入っている状態だ。
「それでもあの子が濡れずにすんだのは事実だし、よしとするか」
「そうだな」
雨は止むこともなくポツポツと降っている。
傘 青甘(あおあま) @seiama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
僕とウミガメ/青甘(あおあま)
★9 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます