君はこの世界で輝き続ける

@meme216

君はこの世界で輝き続ける

ー世界的有名なファッションデザイナー樋口もみじさん引退!!ー

はるとは、この記事を読んでギョッとした。

「まじ!?引退しちゃったの!?俺、超ファンだったのに...朝からテンションがち下がりなんですけど...」

そう言いながらはるとは、盲学校へ向かった。


はるとは、耳が聞こえない。聞こえないと言っても、補聴器をつければほとんど聞こえる程度。

高校生の時にやっていたバンド活動が影響だと医師から伝えられた。音のない世界で生きていけるわけがないと思ったときはるとの前に天使が舞い降りた。樋口もみじだ。彼女の作る服にはるとは度肝を抜かれた。

「19って俺と同い年じゃん!!こんな事ができてすげーな!どんな人なんだろう。会ってみたいなぁ〜」

はるとのモノクロな世界はカラフルになっていった。


学校につくと、誰もいない静かな教室でずっと今朝の記事を読み続けていた。すると、教室のドアが開き担任の綿貫先生が入ってきた。

「おはよう!はると。今日は元気ないな。」

「あ、おはよう先生。樋口もみじが引退したって記事で読んでさ。」

「そういうことか。お前その人の大ファンだったもんな。」

「そうなんだよ。おれ、この先生きていけないかも。」

「そんな凹んでないで!さぁ朝の会やるぞ!」

「俺しかいないのにやる意味ある?それ。

「チッチッチ、わかってないねはると君。」

「何がだよ!」

「今日はなんと転校生が来てます!!」

「ホントか!?」

「入ってきてもらいましょう。どうぞ!!」

入ってきたのは髪を綺麗に束ねた清潔感あふれる美少女だった。はるとは彼女に目を奪われた。

「自己紹介をお願いします」

「羽月(はずき)さくらです。ちなみに、色覚障害者です。よろしくお願いします。」

「ありがとう羽月さん。じゃあ、はるとも」

「並木はるとだ。難聴だけど補聴器つければ聞こえるからたくさん話しかけてくれ!」

「じゃあ、羽月さん席についてもらって。」

さくらは先生にそう言われてはるとの隣の席についた。

「よし、改めて朝の会始めていくぞ!今日話すことは、1つしかないが重要だからしっかり聞いとけよ!夏休みが明けると文化祭だ。羽月さんは初めてだから文化祭の説明からするね。うちの学校は猛学校にも関わらず文化祭を行うんだ。まあ、普通の高校とは比べ物にならないほど小規模なんだけどね。でも、数少ない大切な行事だからぜひとも楽しんでいただきたい。で、2人にはお店の計画そして運営をしてもらいたいんだ。」

「お店の計画と運営って2人で?今まではもう少し人がいたじゃん!」

「今年は羽月さんが来てくれてはるとも1人じゃないからな。今までみたいに他クラス合同じゃなくても大丈夫なんだ。せっかくなら2人に頑張ってもらいたい!じゃあこの話はおしまい。2人とも授業頑張ってね。」

綿貫先生は教室から出ていった。

(2人ってどうすれば良いんだか...ともかく距離を詰めなきゃな!)

はるとは、つまらない物理の授業中にさくらに話しかけた。

「改めて俺は、並木はるとだ。よろしくな!文化祭についてわからないことがあったら何でも聞いてくれ!」

「ありがとう。並木君。」

「はるとで良いよ。俺もさくらって呼ぶから。」

「わかったわ。早速なんだけど、夏休みっていつからなの?」

「えっと...夏休みは...明日から!?」

この盲学校は、生徒数が少ないから先生たちの好きなタイミングで長期休暇の時期が決まるのだった。

「そうなの!?何か色々忙しくなりそうね...」

「さくらは夏休み中どこにいる?」

「私は、寮で生活しているから基本は寮にいると思う。」

「奇遇だな!俺も寮生だ!」

「じゃあいつでも話ができそうね。」

「毎日会議だな!!」

「毎日って...」

さくらは笑いをこらえながら話した。

「まぁ、寮にいても1人だから良いわね。」

「そうと決まれば頑張るぞー!!」

「これ、並木!授業中だぞ!」

「ヤベ、忘れてた。すみません。」

はるとは、さくらに「やっちまった」と言わんばかりに笑ってきた。

それを見て、さくらも笑っていた。


授業が終わり、帰りの会が始まろうとしていた。

「明日から待ちに待った夏休みです。まぁ、大丈夫だと思うけど羽目を外しすぎないように。後、今年の夏休みは例年に比べてすごく短いから気をつけて。」

「短いってどれくらいですか。」

「良い質問だね。えっと、3週間。」

「3週間!?いくらなんでも短すぎじゃないですか?」

「さくらの言うとおりだ!3週間って夏休みとは言わないだろ!それまでに文化祭のいろいろを決めるのは厳しくね?」

「そうだね。だから、早めに準備して間に合うように頑張って!じゃあこれでおしまい。さようなら。」

「ちょっ、待てよ!まだ話終わってねえよ!ったく逃げやがって。」

さくらは静かに笑っていた。はるとはそれを見逃さなかった。

「何笑ってんだよ、さくら!」

「ごめんごめん。この学校って改めてやばいなっと思って。で、いつから考える?」

「今日はさくらも初めてで疲れただろうから明日からにしよう。明日の10時頃に教室の前でどう?」

「良いわよ!」

「じゃあ、また明日な!」

そう言って2人は寮へと帰っていった。


次の日

はるとが教室に着くと、しばらくして、さくらがやってきた。

「おはよう、はると。」

「おはよう、さくら。じゃあ、早速進めていくか!」

「そうね!時間もないことだし。」

2人は教室に入った。

「まず何するかよね...。今まではどんなことしてたの?」

「今までは、お化け屋敷とか、脱出ゲーム系をやってたな。」

「食べ物系じゃなかったのね。」

「言われてみれば確かにそうだな。まぁ俺よりも重い障害者の人とやってたからな。」

「2人で食べ物系やってみる?」

「2人じゃキツくね?」

「待ってる間に面白いレク的なのやってもらうのはどう?」

「良いアイデアだな!例えば、間違い探しとかか?」

「良いと思うわ!」

文化祭のことはスムーズに決まっていった。

「私、ちょっとお手洗いに行ってくるね。」

「わかった。」

はるとは、1人になっても文化祭のことを考えていた。

(間違い探しだとつまらないかもしれないかな...作るのも大変だし...レク的なのって何が良いんだか)

はるとが悩んでいると窓から風が吹いてきて、さくらのファイルが落ちた。

(風強いんだな...よっこらしょっと)

紙を拾うと、はるとは目を大きく見開いた。

紙には、色がついていない服のデザインがたくさん描かれていた。

(これって、樋口もみじのデザインと似てないか!?)

すると、さくらが戻ってきた。

「おまたせ。さぁ、色々決めて...って何してるの?」

「あぁ、風でファイルが落ちて...」

さくらが血相を変えてはるとに近づいてきた。

「見た?紙に書かれていること。」

「ちょっとだけ。」

「そっか...拾ってくれてありがとう。」

さくらは、ぎこちない笑顔でそう伝えた。

その後、2人は一言も話さず重々しい空気が流れた。

するとさくらが

「ごめん、今日は疲れちゃったからもうおしまいでも良い?」

「そうだな。今日はこれで終わりにしよう!意外と決まったしな!」

「ありがとう。」

さくらは教室を先に出ていった。

(やっぱりあの紙見てないって言うべきだったのかな?でも、嘘は良くないしな...)

はるとは、さくらのことを考えながら寮へ向かった。


次の日、さくらは教室にやって来なかった。

その次の日、また次の日も...


夏休み4日目、はるとはいつも通り教室の前で待っていた。1時間が経ち、諦めて帰ろうとしたときさくらがやってきた。

「おはよう!元気だったか?」

「うん...。ごめんね何日間もすっぽかして。」

「気分が乗らないときだってあんだろ!さぁ、時間もないしすすめようぜ!」

暗かったさくらの顔が少し明るくなった。

「うん。その前に話しときたいことがあるんだけど良い?」

「もちろん。良いよ。」

2人は教室に入り席についた。

「じゃあ話すわね。」

はるとはゴクリとつばを飲んだ。

「この前、ファイルの中身みてピンときたかもしれないけど...樋口もみじって知ってるよね?はるとが大ファンの。」

はるとは黙って首を縦に振った。

さくらは続けた。

「その樋口もみじって私のことなんだ。」

教室の中が静まり返り、張り詰めた空気が流れた。

「さくらが樋口もみじ?それって本当なのか?」

「ええ、事実よ。」

「まじか!?憧れの人がこんな近くにいたのか!!全然知らなかった!俺、ずっとサインが欲しかったんだけどお願いできるか?」

「良いけど...軽蔑しないの?ファッションデザイナーが色覚障害車になって。」

「今ここにいるのはもみじじゃなくてさくらだろ!さくらは、ファッションデザイナーでもなんでもないただの19歳の色覚障害者だ。まぁ、サインもらおうとしている俺が言えた話じゃないか。」

さくらの目には、宝石のような涙が溢れ出していた。

「悪ぃ!俺なんかひどいこといったか?」

「違うの。ただ嬉しくて。色覚障害になって良いことなんて1つもなかったから。」

はるとは静かに席を立ち窓の外を眺めた。さくらが泣き止むまでずっと。


そんなこんなで数日が過ぎた。2人の仲は以前より良くなった。文化祭の内容も次々と決まっていった。そしてついに、文化祭の企画書を書き終えたのだった。今日は2人で先生に提出しに行く予定だ。2人はいつものように教室の前で待ち合わせをし、職員室へと向かった。

「失礼します。並木はるとです。」

「羽月さくらです。綿貫先生に文化祭の企画書を提出しに来たのですが、綿貫先生いらっしゃいますか?」

しばらくして先生が職員室から出てきた。

「久しぶりだな!2人とも。良い企画はできたか?」

「応!もちろんだ!」

「じゃあ、企画書読むのめんどくさいから2人に説明してもらおうかな。」

さくらとはるとはお互いに目を見てうなずき説明を始めた。

「私達がやろうとしているのはカフェです。」

「カフェと言っても、俺達でもできる簡単な料理を提供するだけだ。例えば、サンドイッチとか市販の飲み物をコップに移し替えるとか。」

「2人だけなので、提供までに時間がかかってしまいます。そのため、待ってもらっている間に服のデザインをしてもらいたいなと思います。」

「服のデザインはそんなに本格的なものじゃなくてぬりえ感覚で楽しんでもらおうと考えている。下絵を何種類か用意して。」

「その下絵は私が描く予定です。」

「これが俺達の企画書の中身だ。」

先生は少し黙った。2人は少し不安げな表情で先生を見つめた。

「お前たちこんな企画を数日かけて思いつくとか天才すぎないか!」

2人は首を傾げながら先生を見た。

「褒めてんだよ!合格だ!!後は、細かい部分を決めれば完璧だな!」

「ヨッシャー!やったなさくら!!」

「ええ!」

「お前たちこの数日ですごく仲良くなったんだな。良いことだ!この調子で頑張れよ!」

「はい!頑張ります!」

「まかせとけ!!」

そういって2人は職員室を立ち去った。


そして、短い夏休みはあっという間に過ぎ去り、今日から学校再開の日。

「おはよう!さくら!」

「おはよう。はると。今日も朝からげんきね。」

「当たり前だ!文化祭の準備が楽しくて仕方ないんだ!!」

「文化祭のことを考えるのは良いことだけど、今日は授業あるんだからね!授業に集中しないと。」

「羽月さんの言う通りだぞ!はると。今日だけは授業あるんだからな。今日を乗り切れば後は、文化祭の準備なんだからな!しっかり集中しろよ!」

「わーってるよ!2人ともうるせぇな。」

そして授業が始まった。

さくらはもちろん、はるとはギリギリ寝ずに乗り切ることができた。

「よし!ついに明日から1日中文化祭のことを考えて良いんだな!」

「そうね!2日間で教室の中とかをデコレーションしていかないと。」

「頑張るぞー!」


先生の協力も相まって無事に前日に準備が終わった。

「2人ともおつかれさま!明日がついに本番なんだから早く寝ろよ!」

「はい。」

「わかってるよ。そんなこと。」

「はるとは可愛くないな。じゃあ、明日頑張ってねー!」

先生が立ち去った後、2人は教室に残っていた。

「さくら、明日頑張ろうな!」

「もちろんよ!楽しむことを忘れずにね!」

「そうだな。じゃあ、そろそろ戻って休もう!」

「じゃあ、また明日!」

2人は、寮に向かった。


次の日

はるととさくらの店は想像以上に大繁盛だった。あっという間に仕入れていた食べ物がなくなり、異例の途中で営業終了になった。

「すごく人が来て疲れたわね...」

「そうだな...」

「でもすごく楽しかったわ!」

「それは良かった。さくら、店閉めたら文化祭一緒に回ろうぜ!」

「いいわよ!じゃあ、廊下にあるのメニューかたしてくるわね!」

さくらが廊下に出たとき数人の男子が店の前に立っていた。

「すいません。今日の分売り切れちゃって。」

「あぁ、良いの良いのお店に用があったわけじゃなくて...」

さくらが話しているとはるとも出てきた。

「さくら、どうし...」

「よぉ、はると。久しぶり!」

はるとは何も言わずにその場を立ち去った。

「ちょっとはると。すみません。いつもはあんなんじゃないんですけど...大変失礼ですがどちら様ですか?」

「俺達、はるとのバンドの元メンバーなんだ。俺が、太一でこっちが健児だ。」

「よろしくね。ちなみに君は、はる君の彼女さん?」

「違います!羽月さくらです。元メンバーってことは、解散したんですか?原因ははるとの耳ですよね。」

「解散したのはいつだっけ?健児」

「確か、はる君の誕生日だから...今日じゃない?」

「今日ってはるとの誕生日なんですか!?」

「そうだよ。はるとから何も聞いてないんだね。」

「はい...」

「じゃあ、僕たちがはる君の過去教えてあげようか?」

「ありがとうございます。でも、本人の口から聞きたいので大丈夫です。後、明日もぜひいらしてください。」

「何かよくわかんないけどどうせ暇だし良いよ。な、健児。」

「もちろん。」

「ありがとうございます。では、失礼します。」

さくらは、はるとを探した。

(私、全然知らなかった。はるとのこと。自分だけ色々話して馬鹿みたい。はるとの話何も聞いてあげれなかった。今は、とにかく探さなきゃ)

さくらの視界にはるとの後ろ姿をとらえた。

「はると!」

さくらは大声で叫んだ。だが、はるとは振り向かずに走り出してしまう。

「ちょっと待ってはると。」

さくらははるとを追いかけ続けた。


2人は、人目のないところまでやってきた。

すると、はるとはつかれたのかとまってふりかえった。

「やっと、こっち向いたわね。」

「なんで追いかけてくるんだよ!俺は1人になりたいんだ!お前には関係のないことだ!どっかいけ!!」

さくらは、はるとを平手打ちした。

「なに1人で考えてんのよ。話してみなさいよ。私は、あなたに秘密を話して心が軽くなった。だから、私を信じて話してみなさい。」

はるとは涙をぐっとこらえながら話した。

「俺、バンドのみんなとひどい別れ方したんだ。耳が聞こえなくなってイライラしちゃっててなにも言わずに解散って伝えたんだ。2人は、何か言ってたけど俺、無視して出ていったんだ。」

さくらは黙っていた。

「引いた?俺、最低だもんな...」

さくらは黙ってはるとを抱きしめた。

はるとは無意識に涙がこぼれていた。

「あれ、おかしいな。目の周りがすごい熱い。俺クソダサいじゃん。」

「ダサくないよ。あなたは秘密が多すぎんのよ。今日が誕生日ってのも初耳だし。」

「え?」

「ごめん。バンドメンバーの人から今日誕生日って聞いて。」

「さくらー。」

「何?」

「俺に誕プレくれる?」

「良いわよ何が欲しいの?」

「俺と付き合ってくれ。」

「え!」

「嫌?」

「ううん。ちょっとびっくりして。私も言おうと思ってたから。」

「ってことは?」

「よろしくお願いします。」

「ヨッシャー!」

こうして波乱の文化祭1日目は幕を下ろした。


次の日

はるとのバンドメンバーがやってきた。

「あ、さくらちゃん!来たよー!」

「こんにちは健児さん、太一さん。今日は来てくれてありがとうございます。はるとの彼女になりました。さくらです。」

「え、はるとの彼女になったのー!おめでとう!」

「ありがとうございます。って今はその話じゃなくて、はるとが中で待ってます。」

「ありがとうね。さくらちゃん。」

「じゃあ、はる君少し借りるね。」

「どうぞ!」

太一と健児が教室に入っていった。

「久しぶりだな、太一、健児。この前は無視して悪かった。後、解散したとき詳しく事情が話せなくてすまなかった。本当に公後悔してる。」

「許さない...なんて言えるわけないだろ!な、健児。」

「うん。こっちこそはる君が大変な状況なのに辛い思いさせてごめんね。」

「2人ともありがとう。」

「おいおい、泣くなよ!男だろ!」

「そうだよ。はる君。後、お礼はさくらちゃんに。俺達の仲を繋いでくれたのはあの子なんだから。」

「今日デートに誘っちゃいな!」

「良いかもしれないな...ってか、お前らなんで俺とさくらが付き合っていること知ってんだ?」

「ヒ・ミ・ツ」

「教えろよー!」

「さくらちゃん終わったよ!」

さくらが教室に入ってきた。

「ちゃんと話しできました?」

「うん。ありがとね。はる君貸してくれて。」

「いいえ。」

「じゃあ、俺達は帰るね。行くぞ健児。」

「はい!お気をつけて!」

太一と健児が帰っていった。

「さくら、今日これから出かけないか?」

「良いけど片付けは?」

「明日やるから良いよ。」

「わかったわ!行きましょ。」

2人はそういってデートをしにいった。


2人でご飯を食べたり、買い物をして楽しんでいるときに悲劇はおきた。

子供が、ボールを拾いに道路へ飛び出した。さくらはそれを見て子供をかばった。そんなさくらをはるとがかばい、2人とも救急車で病院に運ばれた。さくらは、軽傷だったが、はるとは意識不明の重症だった。

(私のせいだ...ごめんね、はると)


数日後

はるとが目を覚ました。そばには、太一と健児がいた。

「さくらは?」

「はると!目が覚めたのか!良かった。」

「んなことよりさくらは?」

「落ち着いて。はる君さくらちゃんは軽傷だったんだもう退院してる。」

「良かったー。」

「はると耳聞こえてる?」

「当たり前だろ!補聴器つけてるんだから...ついてない!どういうことだ!説明しろ!」

「はい、これさくらちゃんからの手紙。」

ーはるとへ

こんな別れ方をしてごめんなさい。私のせいで怪我しちゃってごめんね。はるとは優しいから私のせいじゃないって言ってくれるよね。でも、私があのとき道路に向かわなければあなたは怪我しなかったかもしれないと思うと今も胸が苦しいです。せめてもの罪滅ぼしに私の耳をあげます。はるとはふざけんなって思うんだろうなー。この先、私に会えなくなるかもだけど私は、あなたの耳で生きてるから安心して!(実質死んだわけじゃないし)はるとの歌っている姿見てみたいなぁー。最後に、私をはるとの彼女にしてくれてありがとう!バイバイ。

                                  さくらー

「2人とも俺のお願い聞いてくれるか?」

「もちろん!」


数年後ー

はるとたちのバンドは復活し、世界的に有名になった。そして、今日は、単独初ライブの日だ。

「今日は、俺達の単独初ライブに来てくれてありがとう!最後の曲は俺達を生み出してくれた人に送る歌だ。聴いてくれ!さくらへ。」


音のない世界は モノクロな世界だった あなたという女神が舞い降りた

モノクロな世界が カラフルになったよ ありがとう

もみじがさくらに変わって 俺は生まれて初めて 恋を知った

文化祭と誕プレ ホントに良いことばかりだった

俺は幸せものだ あなたに出会ったあの日から

俺の人生は変わった あなたのおかげで

だから今度は 僕の番だ あなたが俺の耳になったように

俺があなたの 目になろう もみじがさくらに変わろうとも  

ずっと愛してる


はるとは手話をしながら歌った。すると、涙をこぼしている女性が目についた。

そして彼は、手話で

「さくら、愛してる。結婚しよう」

と伝えた。

その女性は泣きながらうなずき続けた





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