第3話引きこもり修行する
山田は、神崎との激闘の勝利で、武道場での地位を確立しつつあった。しかし、黒崎は決して満足していなかった。「まだまだだ、山田。お前には、もっと強くなる可能性がある」そう言い放ち、山田に新たな試練を与える。
それは、武道場の歴史に名を残す伝説の武術家、風魔一刀の残した奥義を学ぶことだった。風魔一刀の奥義は、型を重んじる他の武術とは異なり、自然の摂理を体現した、極めて流動的で自由な武術だった。
黒崎は、山田に古びた巻物を見せながら語る。「この巻物には、風魔一刀の奥義の一部が記されている。だが、これだけでは不十分だ。お前自身で、この奥義を体得しなければならない」
山田は、巻物に記された複雑な図や文字に目を奪われた。しかし、同時に、強い興味と好奇心も湧き上がった。彼は、黒崎の指導のもと、風魔一刀の奥義の修練を開始した。
最初は、全く理解できなかった。型にとらわれない自由な動きは、山田のこれまでの武術観を大きく揺るがした。何度も壁にぶつかり、挫けそうになった。しかし、黒崎は諦めさせなかった。「焦るな、山田。自然の流れに身を任せて、心のままに動けばいい」
黒崎の言葉に導かれ、山田は自然の中へ出た。森の中を歩き、風の流れを感じ、鳥の鳴き声を聞き、流れる水を眺める。自然のあらゆるものに、武術の動きが隠されていることに気がついた。
ある日、激しい雷雨に見舞われた。雨の中、山田は必死に走り、雷鳴に耳を澄ませ、閃光を目で追った。そのとき、ふと、風魔一刀の奥義が閃光のように彼の心に浮かんだ。山田は、自然の力と一体となり、渾身の力を込めて、木に向かって一撃を放った。
木は、見事に真っ二つに割れた。
その瞬間、山田は、風魔一刀の奥義を体得したことを悟った。彼は、自然の一部となり、あらゆる動きを自在に操ることができるようになっていた。
再び武道場に戻った山田は、神崎との再戦に挑んだ。今度は、以前とは比べ物にならないほど強くなっていた山田は、神崎を圧倒し、見事勝利を収めた。
「よくやった、山田。お前は、もはやただの武道家ではない。自然と一体となる、真の武術家になった」
黒崎は、そう言って山田を称えた。
山田は、黒崎の言葉に大きく頷いた。彼は、武道を通して、自分自身を見つめ直し、成長することができた。そして、これから、彼は、この道場で学んだことを胸に、さらなる高みを目指していくことを決意した。
引きこもりは世界の頂点を目指す。 @wata098765
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