第2話 引きこもり出会う

コンビニを出た後、男は僕に声をかけた。

「面白い子だな。名前は?」

「…え、あ、はい。山田太郎です」

咄嗟にそう答える。山田太郎という名前は、僕が子供の頃からずっと使っているネットゲームでの名前だった。

「ふむ、山田か。俺は、黒崎剛という」

男、黒崎は、長身で筋肉質な体つきをしていた。鋭い眼光は、まるで獲物を狙う獣のようだった。

「…黒崎さん、あの、僕に用は?」

「用?いや、特にない。ただ、面白いと思っただけだ」

黒崎はそう言うと、ニヤリと笑った。

「…面白いって、どういう意味ですか?」

「いや、お前、さっきの高校生を助けようとしただろ。普通なら、そんなことしない。お前は、何かが違う」

黒崎の言葉に、僕は戸惑いを隠せない。

「…僕、ただ、誰かの役に立ちたかっただけです」

「役に立ちたい?ふむ、それは立派な志だ。だが、世の中はそんなに甘くない。お前は、まだまだ何も知らない」

黒崎は、そう言うと、僕をじっと見つめてきた。

「…黒崎さん、あなたは何者なんですか?」

「何者か?俺は、ただの一人の武道家だ」

黒崎は、そう言うと、唐突に構えを取った。

「…武道家?」

「ああ、様々な武道を極めた男だ。お前も、武道に興味はないか?」

「武道…ですか?」

僕は、黒崎の言葉に、一瞬、心が揺れた。

「…僕、運動なんて苦手なんですけど」

「苦手?そんなことはどうでもいい。大切なのは、心だ。お前は、心から何かをやりたいと思っているか?」

黒崎の言葉に、僕は考えさせられた。

「…やりたいことですか?」

「ああ、例えば、誰かを助けたいとか、強くなりたいとか、そういうことだ」

黒崎の言葉に、僕はハッと我に返った。

「…はい、強くなりたいです」

僕は、そう呟くと、黒崎の方を見た。

「強くなりたいか。ならば、俺が教えてやる。お前を、史上最強の弟子にしてやる」

黒崎は、そう言うと、にやりと笑った。

それからというもの、僕は黒崎のもとで厳しい修行を受けることになった。

黒崎の稽古は尋常ではなかった。朝は早朝から走り込み、昼は型を繰り返し、夜は実戦稽古。

最初は、体も心もボロボロになった。何度も諦めようと思った。しかし、黒崎の言葉が、僕の背中を押してくれた。

「諦めるな。お前には、無限の可能性がある」

黒崎の言葉に励まされ、僕は必死に食らいついた。

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