葬式

葬式

遠い親戚のおじいさんが亡くなった。

私は会った事もない人だったが、親に連れられて葬式に参列した。

特段変わった事は無く、粛々と葬式は行われた。

そして私達家族は、早々にお焼香を終え席に座り参列者を見ていた。

すると、ある参列者の男性がお焼香をすると……

「パーーン」

と大きな音を立て、その人が持っていた数珠が弾け飛んだ。

そして、誰も居ないのに勝手に出入り口の扉が大きな音をたてて、閉まると、一瞬停電した。

会場は一気に静かになり、男性はバツが悪そうに、足早に会場を出て行った。

「よっぽど恨んでいたのね」

隣のおばさんが一言、そう呟いた。

後で聞いた話だが、数珠が弾けた男性は、亡くなったおじいさんの娘の元夫だったそうだ。

おじいさんの娘が子供を残し、早死にしてしまうと、元夫は子供の養育費を払わず、早々に別の女性と結婚したらしい。

年老いた夫婦は、年金だけでは足りないと、共働きをしならが、子供を育てていたそうだ。

ただ高齢だった為、無理がたたって、亡くなってしまったらしく、相当恨んでいたと言う話を聞いた。

なるほど、だからあの男性は幸せになれないのか……