第2話 靉靆と光
ほうれんそうをたべている。今日も元気だ。
窓の向こうを女が一人流れていた。俺はそれをなが目ていた。昨日も同じような光景があった。だから、
「ああああ、今日もか」と呟くのが俺だった。カレーライスをたべていた。おいしい。
昼を過ぎていた。南天に火の光が広がっていた。煌々と皓々皓と光り輝いていた。ある一点から始まる光が広がっている光景を眺めていると、これが太陽なのだな、と俺はいつも思うのだった。雲がゆっくりと流れている。今日も空が広がっている。
で、そんな感じに流れていたんだ。青い空を白い雲が飛んでいる。その白い雲が青い空を流れていく様のように、窓の向こう側を見つめると、女が一人、流れていたんだ。ゆっくりと、じっくりと、目が、動きに慣れるまで、ぼんやりとそれを見つめている必要があった。その過程を経てようやく、ああ、流れているのだな、鳥海が至るのだった。
俺はいつも真夏を好んでいた。
今は、そう、真夏だ。真夏以外は偽夏である。ある命題は死んである鍵であるかのどちらか一方のみが論理的には成り立ちはい中立というのがあって、どっちつかずとかそうではないとかそういうなーガルジュナ中論的な話は、現実の世の中というものを科学的に立証実証主義的に組み立てそれを工学的に経営経済実業てきに人間の営みとして実践理性の発言などとしてまあそういうためには、ありえないのだ。つまり、死んである鍵であるかがそれのみがバートランドラッセルなどが入っている事柄なのである。
俺は、そんなわけだから、今は真夏だけれども、明日になればきっと、偽夏がやってきてはじまってしまうことを知っている。まあ俗に挽歌などとも呼ぶのだろう。そして晩夏が過ぎ去れば、秋が来る、冬が来る、春が来る梅雨が来る、初夏が来る、そして真夏である。
つまるところ、晩夏、初秋、中秋、晩秋、初冬、真冬、小春日和、春、が偽夏にあたる。
一方で、じゃあ、真冬以外は偽冬である。しかし、ならば、真夏は真冬的には偽であり、真冬は真夏的には偽であることが浮かび上がってくるだろう。しかし、真夏は死んであるのだ。真なのに偽である。これははい中立ではない。困ったな、って思っていたら、きっと、アリストテレスも困っていたのだろうな、と気持ちが広がっていった。きっと、あれこれ悩んだことであろう。ばかめ。
真夏の窓の向こう側を、女が一人靉靆とながれてゆくのだ。まってくれ。
思わず、そんな言葉が俺の心からでてくる。
「まってくれないか」と俺は入っていた。
「どうかしたの」女は言った。
「どうもしないさ」俺は言った。
「どうもしないのね」と女は言った。
俺は笑ってしまった。話が合うな、まるで生まれてからずっと一緒に暮らし、毎日のように1日8時間以上会話を続けてきたのではないかと思われた。初対面なのに。これが初めての会話なのに。女も俺も恥ずかしそうなそぶりを一切見せずに、しかに内心ではそこはかとなくはにかみながら、話しているのだった。
「俺はどうにも、俺はどうにも、君のことがすきなようだ」
「へえ、そうなんですか」と女は言った。女の声が、響いてた。まるでトンネルの中で蝋燭が燃えているかのようだ。ちろちろと赤い炎がゆらめいている。消えそうだ。
「へえ、そうなんですよ」いうまでもないが、彼女発した、へえ、と俺の発したへえ、の発音や語感や意味はことなる。俺のへえが吾作が庄屋にむかってへこへこするかんじのへえ、であるのだとしたら、彼女のへえ、はふーん、みたいな感じだ。実質ふーん、そうという意味内容を、へえ、の一言に圧縮しているということだ。俺は思わず笑ってしまった。彼女は面白い。
「あなたには、わたしが、どうみえているの?」わたしにはよくわからないの、と彼女は言葉を付け足した。
「俺には」と俺はかんが始めた。
「考えているのね」
「考えているんだぜ」と俺は言った。俺はそういえば6歳で小学生という役職を得て久しいもう一年も経つのか入学の季節は桜が咲いていた。しかし今は真の夏だ。そうか、わかったぞ、俺はもう二年生なんだ。ガッテンが言った。そして、もしかしたら7歳なのかもしれないな、と予感し、ちょっと加齢を感じた。足腰が伸びている。身長が伸びている。そんな気がしたんだ。
「考えているのね」と彼女は言った。しかし、どこか、思いやりのあるめをしていた。
「わかったよ」
「うん」
そんなふうに彼女と会話をしていた。女が笑っていた。俺はその笑い顔に手を伸ばそうとして、右手が空中で粒子レベルで分解してしまうのだった。彼女に向かって伸ばした手が指先から、肩の付け根まで、さっと、分解してしまった。右手も左手も。周囲を、埃っぽい部屋に日差しがさしたときのようにきらきらとかつて俺の腕だった微粒子が浮かんでいて漂っていた。あ、俺も俺も流れている。流れているな、と思った。微粒子隣俺の腕だったものが風に泛び流れている。
「もしかしたら、君は、雲のように、流れて、いるのですか」
「正解」
「やったあ」
「やっぱり、違う。はんぶんくらいせいかい」
「そっか」
それからなんとなく彼女とてをつないで 周囲を散歩した。
朝だったので犬の群れが街中を徘徊しており、可愛かった。
俺たちは散歩をした。俺たちは
俺たちは
すごい話だ @DojoKota
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