中秋の里山の凄まじき廃寺曼珠沙華、鰯雲そしてK L。その正体は。

中秋の頃、郷愁に誘われて里山を行く。
頭上には鰯雲、枯色に染まる足元の草に
混じり、天上を突く赫い曼珠沙華。

 その寺の様子は余りにも凄まじく、
年月と風雨とに壊れ打ち捨てられていた。

寺社仏閣を見るのは好きだが、何故そこに
足が向いたのかは、わからなかった。
半ば崩れかけた襤褸散とした廃寺だろう。
寺の奥には忘れ去られた墓地が広がる。

 ここに留まっては、いけない。

無意識の警告が、本能として駆け巡る。
引き返す視線の先には、かつてはきっと
商店だった造りの民家。

その陳列台に K L が、一袋。

          K Lとは…?

ヒント: 美味しいお菓子。でも何故に?
関東地域では売らなくなったのも何故だ!
好きだったのに…そんな気持ちを皆んな
持つのではないだろうか。

「忘れないで欲しい。でも実名は出しちゃ
ダメだ。」そんな囁きを秋風が運んで来る
K L…それも未開封のチーズ味。

これはまさに怪異だ。