ありふれた不通の関係

上せた女子高生の心境描写から冷たく人間味を帯びた隔絶へ雪崩込む構成の妙が活きる温度差が良かった。作品のそれが適切に人間関係の実態にも適用されていて。語り方や表現も多彩で、段落の組み方から目が滑る箇所もあるが最後まで面白味は途切れない。前半の私の語りは この詰め込み方の語りが有効に作用しており、”話の通じなさ”に対する違和感が後に回収される点も含めて好ましく感じる。一方で藤堂の語りもまた同じ書き方なので、隔絶を表現るにあたり違和があり、事前に語られる淡白さを孕んだ人物像が反映されたそれとは思わなかった。前半と後半の尺が同じなのは対比構図の短編の判断として正しく思え、翻って偏りを感じる構成配分でも斬れ味の良さの方向性で発揮出来たと考えるとまだまだ楽しい。世界からズレた人間の悲哀がしんと滲むオチも好きだ。