伊達強介と掲示板

「おい緋呂斗?大丈夫か?」


緋呂斗は返事をしない


俺達は倒れていたた生徒たちを医務室に運んだあと、緋呂斗と一緒に生徒たちが目覚めるのを待っていた


「緋呂斗こいつらは誰なんだ?」


「こいつらは俺の友達です」


緋呂斗がやっと口を開く


「こいつらは小学校からの幼馴染で、ずっと一緒にいた家族みたいなもんす」


「俺の親はギャンブル依存症で家に帰ってこない事が多かったす、その時こいつらやこいつらの親が家に泊めてくれたりしてくれたおかげで俺は生きてこられたっす」


「そうなのか、それで何でこいつらはこんなぼろぼろなんだ?」


「だけど、、、あいつは、、、こいつらを、、、」


緋呂斗の口に怒りの感情がこもる


「あいつって誰なんだ?」


俺がそう聞くと緋呂斗はスマホを見せてくる


そこには伊達強介から送られてきたメールがあった


内容はこうだ


”体育館に来ないと君の友達が痛い目に遭っちゃうかもよ?伊達強介より”


「あ?何だこれ」


俺は自分の拳を強く握る


他のやつもブチギレてたと思う


医務室は暗い雰囲気で包まれていた


その時零が医務室を出る


「いっしー、しっきー帰るよ」


しっきーは感菜のことか


「何で帰るんだ、目を覚ますの待ってた方が良いだろ」


「良いから帰るよ」


俺は零に引きずられる


俺達は緋呂斗を医務室において3人で先に寮に帰る


「なあ零なんで帰ろうなんて言ったんだ?」


「いっしー何にも分かってないね、ああいうのは1人にさせた方が良いの」


零が呆れた声で言ってくる


「あと緋呂斗があんなにキレてるのを初めてみたから、どう接すれば良いのか分からなかったていうのも付け足しておく」


それは俺もわかるかもしれない


「たしかに緋呂斗があんなにキレてるの初めてみた」


「取り敢えず今日は解散しようか、もう割と遅いし今日のことはまた明日考えよう」


「分かったそうしよう」


そうして俺等は自分たちの部屋に解散した


〜翌日〜


あれから緋呂斗は帰ってきてないらしい


怪我をした生徒は意識が戻ったらしく今から話を聞きに行こうとしているところだ


だが零と感菜は予定があったらしく俺1人で医務室に行くことになった


「集合時間まで時間あるし朝ご飯どこで食おうかな?適当にカフェにでも行こうかな」


俺はスマホで近くのカフェを探す


「この時間はやっぱり人が少ないな」


周りを見渡すと席はガラガラでいるのは店員と1人の生徒くらいだ


「今日のニュースはどんなのかな」


俺はSGバンドでニュースを見る


これは俺のいつもの日課だ


SGバンドでは学校からの連絡、学校であったニュースなどを見ることができる


「何だこのニュースやたら人気だな、、、、、この学園内で空き巣事件!!おい嘘だろ」


この学園が一番安全だと思ってたのに


「あでもこれって昨日掲示板にあった事件か?今は暇だしやってみようかな」


この学園にはSGバンドからアクセスする掲示板というものがあり、掲示板に書かれている事件などを解決することでGPをもらえたりする


まあゲームで言うクエストみたいなものだと思ってもらって構わない


「いやー掲示板から事件を解決するのは初めてだな」


俺は自分のアカウントで掲示板にアクセスしてさっきの事件を探す


「あったあったこれだな、報酬は20GPかまあ空き巣だし高いほうだな」


「承諾っと」


俺が承諾ボタンを押すと、事件現場のホログラム化されたデータと現場にあった証拠、依頼主の詳細が表示される


「依頼主の目的は犯人の特定と取られた物の回収ね」


ホログラム化されたデータとは事件現場をホログラムで再現したものでどこでも事件を解決することができるように作られている


「このままカフェで事件を解決してみるか」


俺はまず事件に残された証拠を確認する


「ええとまず指紋は、依頼主だけか、他の人のものが見つかってくれたら楽だったんだけどな」


「そして盗まれたものは金品などではなく部屋に干してあったサンマ!!一体部屋で何してたんだ、、」


次に俺は事件現場のホログラムを目の前で展開する


大きさは自由に変えられるようで俺はミニチュアサイズに設定した


すると俺の手の上にちっちゃい部屋が作られていく


「やっぱお金持ってるなこの学園」


「ええとまず入り口付近に目立った問題はないな、次に問題がありそうなのはサンマがあったところらへんか」


サンマは紐状のものに引っ掛けるように置かれていたらしく床にはサンマの鱗のようなものが落ちていた


「他には、、これは動物の毛か?」


サンマの鱗と同じ場所に動物の毛が落ちていた


「この毛ってもしかしたら猫のかもな」


「だとしたら犯人は猫かな、でもこんくらいは誰にでもわかると思うけど」


何かがおかしい気がする


「この事件って多くの生徒が受けているはずだけどまだ誰も正解できていないはずなんだが」


「ていうかそもそもサンマが盗まれただけで、空き巣事件ってのもなにか引っかかるんだよな」


そう、ただサンマが盗まれただけなら空き巣には絶対にならない


「じゃあサンマに何か細工がしてあったとか?」


「考えられるとしたら、薬物かな?」


だったら全ての行動に説明が行く


この掲示板は学校側が一切確認しない唯一の安全なフィールドだ


「だとしたら空き巣事件にするのも納得だな」


「薬物なら学校側にも隠したいだろうしな」


だって学園側に薬物をしているなんて知られたらどんな罰が待っているか分からない


そりゃあ隠してぇよな


「だったらどっかに証拠があるはずだ」


俺はもう一度部屋をよく確認する


「俺があと見てないのは、、、、何だこれベッドの下に変なボタン?」


「これってもしかして隠し扉のボタンか?」


「でもこれホログラムだから押せないんだよな」


押そうとしてみるがやっぱり反応しない


「はーやっぱ行くしかねぇか事件現場」


「だったら被害者の情報から被害者の寮と部屋を導き出せば」


俺は被害者の詳細と仲のいい友人などから寮と部屋を導き出す


「なるほど俺と同じ寮っぽいな部屋は1階の端っこ、なんとまあ大きな音を立てやすい部屋の場所だな」


「えーと集合時間まではあと3時間くらいか」


「まあ3時間もあれば解決できるだろ」


俺は喫茶店の会計を済ませ自分の寮に向かって走る


〜10分後〜


俺は自分の寮についた後、奥の部屋を目指した走る


「ここかな、今部屋の中に人はいないみたいだな」


俺はドアの前で耳を澄まし部屋の中に人がいないことを確認する


「さーてちょちょいのちょいっと」


俺はピッキングでドアを開ける


「いや~昨日動画でピッキングのコツ見といてよかった」


「さてと確かベットの下にボタンがあるはず」


俺はベッドの下に手を伸ばしボタンを押す


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「うわっ何だ本棚がいきなり動き出した」


本棚が横に動き出し後ろに階段が現れる


「まじかよ、、、」


俺は階段を下っていく


「これは薬物を作っているのか?」


そこにあったのは薬物のもととなる植物と薬物を作られるのに使われる装置があった


「なるほど、薬物を作ってたから学園側に知られたくないだから掲示板を使ってたのか」


「だとしたら被害者の詳細なども全部ウソと見て良いかもな」


「取り敢えず写真を撮るか」


俺はスマホを出した後、写真を撮る


不意に後ろから鈍器で殴られる


「かはっ」


やべぇ意識が遠のいて


ドサッ


〜?分後〜


どんくらい寝てたんだ


俺はスマホで時刻を確認する


大体10分くらいのようだ


「これは縛られてんのかうまく動けねえ」


「オーやっと目が覚めたか勝手に人の部屋に侵入しやがって」


なるほどこいつがこの部屋の主か


見た感じ俺等の1個上くらいかな


「先輩が殴ったせいでまだ頭が痛いんですけど」


「それは申し訳ねぇなまあでもすぐに痛みはひくさ、なんてったってオメェはすぐに死ぬんだからな」


「なるほど口封じか案外先輩もビビリなんだな」


俺は軽く挑発する


「言うじゃねえかおめぇこの状況怖くねえのか」


「ああ怖くねえよこういうの慣れてるし」


なんてったって元借金生活だぞ


暗い部屋に閉じ込められたりするの慣れっこだっつーの


「まあ良いやこの場所を知られた以上生かしておけねえあばよ」


そう言ってもう1回殴ろうとしてくる


「ちょ、ちょっと待ってくれ冥土の土産に教えてくれよここは薬物を作っている場所なのか?」


「ああそうだぜこの学園にいるやつに意外と高く売れるんだ先月は300GP稼いだ」


「ああそれだけ聞ければいいやああ後先輩、あんたはもう詰んだぜ」


「はあてめえ何言って、、、、」


「後ろを見ろよ」


俺は後ろに指を指す


先輩が後ろを向くと壁からカメラが生えていた


どんどん先輩の顔が青ざめていく


「おいそこに誰かいんのカハッ」


俺は先輩を殴り気絶させる


「おいおい目をそらしちゃだめだろ〜先輩、だから俺が縄をほどいたことにも気づけない」


「ありがとな零、間一髪だったぜ」


壁から零が出てくる


「いやーいっしーの連絡がなかったら危なかったよ」


俺はこの学園に来る途中に零に連絡しといた万が一のために


「で、こいつどうすんのいっしー?」


先輩を指さしながら零が聞いてくる


「取り敢えず今撮った動画を学園側にこの場所と一緒に送れば万事解決だな」


「あれ今何時?」


俺はスマホを見る


「やっべえもうすぐ集合の時間だ零も来るか?」


「僕も用事終わったし一緒に行こうかな」


俺は医務室に向かって走る


〜15分後〜


「はあはあギリギリセーフ」


俺は肩で息をしながら言う


「ねえ今日ってどんな話を聞くつもりなの?」


「昨日のことを聞くつもりだよ」


俺はそう言いながら医務室のドアを開ける


「失礼します!!高田さんと岩井さんはいますでしょうか」


高田と岩井は昨日の被害にあった緋呂斗の友達の2人の名前だ


「はいそれは僕らですけど」


医務室の奥から声が聞こえてくる


「どうも初めまして俺は石田志向、こっちは五色零」


「初めましてと言ってもここに運んだのは僕らなんだけどね」


零が俺の後ろから出て言う


「あなた達が運んでくれたんですねありがとうございます!!なにかお礼をさせてはいただけませんでしょうか」


「えーとじゃあ、昨日のことを詳しく教えてくれませんかね?」


「そんなことでいいのでしたらもちろんオッケーですよ」


高田達は快くオッケーしてくれた


「えーと確か昨日の14時のことでした、急に知らない名前から連絡が来ました」


「内容は消されちゃったけど確か体育館で待ってるみたいなそんな感じでした」


なるほどそれで体育館にいたわけだ


「体育館についた後俺は他の人がいないか探しました、その時に後ろから急に殴られて気を失いました」


「多分2時間くらい眠っていたと思います、起きたら縄で縛られていました」


「あたりを見回すと幼馴染の岩井が隣にいました」


別々で縛られたんだな


「何分かたった後、伊達と名乗る男が俺等の前に現れました」


やっぱり伊達が深く関わっていたか


「そいつは俺等のもう1人の幼馴染緋呂斗の情報を要求してきました」


緋呂斗の情報か何か引っかかるな


「俺達が断ると複数人が体育館に入ってきて、ボコボコに殴られました」


「緋呂斗の情報を言わないと殴るのをやめないと言われました、その後も殴られましたが俺等が気絶したとわかるとどこかに行ったようです」


「その後は皆さんに助けられ今に至ります」


なるほどそれはひどいな


「今の状況はよく分かった、それであいつらが知りたがってた緋呂斗の情報ってなんなんだ?」


「緋呂斗を知ってるんですか?」


「ああ俺達の友達だが」


俺は当然だと答える


「じゃあ話しても良さそうですね、だけど秘密を説明するにはあの事件を話さないといけないですねあれは中学1年生の頃です」


「俺等が通ってた中学校には、格差社会がひどく染み付いていました」


この時代にそんな学校があるなんて


「俺等は中学校に入ったばっかでその格差社会があることを知りませんでした」


「なるほどそのせいで上の階級のやつに目をつけられたんだな」


「はいそうです、ちょうど緋呂斗が休みの日でした」


「俺と岩井が学校にいくと急に生徒が殴りかかってきたんです」


それはひでえな


「そして縛り付けられ色々言われました、俺等より楽しそうにすんなとか色々です」


何だその理不尽な理由


「そして緋呂斗が学校に来た時に事件は起こりました、あいつは僕達がいつものようにいじめられているのを見て耐えられなかったのでしょう」


なんだろう言葉で負かしたとかそんなのかな


あいつが暴力を振るうとか考えにくいもんな


「俺等をいじめてた首謀者他の生徒合わせて、100人くらいいたと思います」


「緋呂斗はその100人の生徒を


まじかよあんな優しい緋呂斗が100人をボコボコにしたのか


「それからはいじめがなくなりました」


「でここからが本題です」


そういえばそうだな


「緋呂斗の親がギャンブル依存症なのは知っていますよね」


「ああ知っているがそれがどうかしたのか?」


「多分緋呂斗は精神的にきつかったのでしょうある病気にかかりました」


おいおいもしかして


「多分あなたの考えと一緒です」


「緋呂斗は解離性同一性障害いわゆる


「そしてそのトリガーは友達が傷つけられることで発動します」


「じゃああの殺意に満ち溢れてたのがもう1人の緋呂斗だってのか!!」


高田が頷く


「まじ、、、かよ、、、、、」

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