第2話

激痛が終わった。目には色鮮やかな虚無の空間が映っていた。初めて見る世界は無だった。色鮮やかなのに、何もない。矛盾した空間だった。綺麗なのに何もない。ただ、虚無の空間だけが広がっていた。

(世界はこんな色をしていたのか。クラスメイトがいない。教室でもない。核兵器でも落ちたのか?違う。核兵器でもここまできれいにすべてをなくすことは出来ない。死んだのか。死ねたのか。やっと死ねた!なんて素晴らしい世界なんだ!)

と、零が考えていると巨大な存在が現れた。

(なんだ。このとてつもなく大きな存在は。)

金縛りにあったかのように動けなくなる。逆えない。そう本能で感じた零は黙っていることしかできなかった。

「初めまして。中央世界の神。管理者の一柱ひとりです」

(誰だ?それ以前にどこにいる?)

「あれ?見えてない?おかしいなー。なんで見えてないんだろう?それ以前になんで存在が形をとらないんだろう…?あ。君か!オディちゃんが言ってたのは。」

(何を言っているんだ?)

「君は盲目だと思ってたんだと思うけど、君の目はすごい力を秘めてるんだよ。魔眼の何千倍、何万倍も希少な神眼だからね。」

(なるほど。これが俗にいう異世界転移ってやつか。)

「そうそう。そんな感じ。と、いうことで本来は望みを聞いてから祝福云々を授けるんだけど君は例外。私たち神が勝手に授けるからじっとしてて。」

(何を言っているか全然理解できないけど、何か言っても無駄だろうし、従うしかないか。)

「はい。同意が取れたので力を授けます。」


「君に授ける力は『叡智』。すべてを知る力。全知零能として、世界を導きなさい。君が自己の本質を見出す時、試練は終わるだろう。」


「さあ、行ってらっしゃい。新たな同胞よ。」

新たな存在が増える。すべてが口を揃えて言う。


「試練を乗り越え、帰ってくるのだ。抗え。どんな手を使ってでも。悩め。すべてを見通して。導け。世界の運命は君に委ねられた。」


「君の行く先に光があることを願って。」


己が変化したことを感じながら、零は意識を落とした。

世界から零の気配が消えた。


【管理者の定義が完了しました。これより、試練を開始します。】

【第1試練 神に抗う力 】

【神眼 叡智の支配者に管理者権限 Lv.1を付与します。】

【…さあ、私を楽しませて下さい。】


世界の進化が進み、混沌としていく。

祝福が祝福となるのか。まだ、誰も知らない。


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真・神眼  神楽坂星雲 @Odin-Uranos

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