コミケ(コミックマーケット)で、ジャムおばさん(親子)と… 3/3

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 コミケ(コミックマーケット)からの帰り道。バトルは続くよ、どこまでも…。って、正直、続いてほしくはない(彼、涙)

コミケの魔法は、終わらない。

 コミケ会場から、帰宅するときにも…。

 コミケおばさん「たち」とのバトルは続く!

 …え、ここでも?

「マジか!」

 満員に近い状況の帰宅用車内に、また、あの悪霊コミケおばさん「たち」がいたのだ!

「…ねえ?」

 ガキが、おばさんに声をかける。

「なあに?」

「つかれたあ…」

 そうして、その言葉を合図におばさんが彼をにらむ。

きっと、こう言いたかったにちがいない。

「ちょっと、あんた!この子に席をゆずってあげようって、思わないの?」

「ママ…」

「なあに?」

「つかれたよう!」

 コミケ帰りは、恐怖劇場。

「がまん、しなさい!」

「でも…」

「このお兄さんに、悪いでしょ?」

 もちろん、おばさんのいうお兄さんとは彼のこと。

「だってえ…」

「がまんしなさい」

「つかれたよう。すわりたいよう」

「がまんしなさい!」

「だってボク、こどもなんだよ…?」

「やめなさい!」

「だってえ…」

「前に座るお兄さんに、悪いじゃないの?」

「ボク、こどもなんだよ?」

「そんなことは、お母さんが、1番良く知っています!」

 やっぱり、親子。

「つかれたあ…」

「がまんしなさい!」

「すわりたいよう…」

「でも、ダメです!」

「…」

「座っているお兄さんに悪いでしょう?」

 また、おばさんが彼を見る。

 ガキまで、彼をガン見してきた。

「日本の電車の中って、いつから、死刑場になったんだろうな…」

 小さくつぶやくと、おばさんが彼をあわれむようにも見てきた。

 こう言いたがっていたに、ちがいない。

「うちの子が迷惑をかけますが、ゆるしてくださいね?」

 目をつむる、彼。

「ゴトン、ゴトン…」

 コミケ帰りは、もはや死刑場。

「ママ…。あしが、いたいよう…」

「あら、あら。困ったわねえ…」

 ああ、ダメだ。

 もう、ダメだ。

 耐えられなくなった彼は、せっかくの席から立ち上がるしかなくなった。

 が、それで終わらないのが、コミケおばさんたちの恐ろしさ。

「よっこらしょ」

「はあ?」

 彼の立った場所に座り込んだのは、ガキではなくおばさんのほうだったのである!

「ママ、よかったね!」

「席をゆずってもらって、良かったわねぇ。新しいマンガのネタも、できたし」

「ぶぶ~!」

彼は、泡をふいて倒れた。

コミケって、楽しいね。





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