剛力壊伝説 閉幕

雀荘を出て、次の賭場を目指す剛力ごうりき かい

そこにたかが追いつき勝負を挑む。


「おい、剛力ごうりき!俺と賭けをしないか?」


「賭けだァ?」


「勝負はコイントス。俺の投げたコインが、表か裏に所持金を全部賭ける。どうだ?」


壊に負け、人生を終わらされた鳶蔵えんぞうの為の復讐か、はたまた負けて悔しいからリベンジに来たのか…

壊は迷ったが、勝負を受ける事にした。


「いいぜ、乗った」


「おぉ!本当か!」


「ただし!2つ条件がある。」


「1つ目、コインは俺が投げる。

  2つ目、先に俺が選ぶ。どうだ?」


たかは驚くほどあっさり要求を飲んだ。

壊はそれに何かを感じ取り、穏やかな表情になる。


そして、ポケットの中で2枚のコインを縦半分に割り、表面同士で合わせ、力で接合した。


壊はそのままコインを空中に投げ、手の甲で受け止めて言う


「俺は表だ」


たか何かを考え出したままはしばらく喋らない。

しばらくして、決心した様子で一言


「原理はよく知らねぇけどよ、そのコイン、表面しかないんだろ?」


たかは壊のイカサマを見被ったのだ。

やはりな、というような顔をして壊が言う。


「引退、か。」


鷹は驚き「なぜ?」と言いかけたが

ぐっと言葉を飲み、二言目を待つ。


「俺のイカサマは力技、バレても別の技は無い。見破られたらおしまいだ。」


「たった今、俺のギャンブル人生は終わったんだよ」


壊はその場に持っていたチップを置くと、真っ直ぐ外へ歩き出した。誰も自分を知らない、何処か遠くの場所を探して


たかは追わなかった。

ただ呆然とその光景を眺めていた。


剛力ごうりき かい、理不尽を擬人化した様な男だ。俺…、」


こうして、伝説のギャンブラー 剛力ごうりき かいの物語は終わった。

しかし、「ときより闇カジノに、見破れないイカサマをする男が現れる」という噂が後を絶たない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パワー系ギャンブラー 剛力壊伝説 日月 希 @hituki-nozomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ