台風の日は布団にこもって

あげあげぱん

第1話

 台風だ。外に出られない。外に出られないので、高校にも行けない。願ったりだね。


 こんな日は、ほどほどに冷房を効かせた部屋で、布団にこもって過ごすに限る。これが高校一年生の正しい、台風の日の過ごし方だ。そう思うだろう?


 俺は怠惰なんだと思う。怠惰な人間なんだと思う。何事もほどほどに、楽に生きていきたい。そう願ってもなにも悪くないだろ? 俺は怠惰に生きたい。


 将来の俺はほどほどに生きて、ほどほどの成果を得る。その成果でほどほどに暮らす。だから、今の俺もほどほどに暮らしてれば良い。本当に?


 布団にこもって、台風をやり過ごしながら、不安になった。本当に、ほどほどに、楽に、生きていくことなんてできるのか? 今を頑張らずに?


 もぞもぞと動く。サナギから羽化するみたいに。もぞもぞ、もぞもぞ布団から抜け出した。だるい体を動かして席に着く。未来が不安だから、今頑張るべきなのかもしれない。


 きっと、不安な気持ちがなければ俺は動かないんだろうな。不安な気持ちがなければ俺は勉強なんてしないだろうな。でも、皆そんなものかも。未来が不安だから、尻を叩かれたみたいに、今を頑張る気持ちになるのかもしれない。


 うん、ちょっと頑張ろう。将来、ほどほどに生きられるように。

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台風の日は布団にこもって あげあげぱん @ageage2023

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