御札のカード
yas
御札のカード
朝起きて仕事場に行く時に、道端に不思議なカードが落ちていた。
化け物のような不思議な絵が描いてある。トランプのJOKERみたいな感じだが、見てみるとトランプのカードではなかった。タロットやクレジットカードなどでもない何やら不思議な物。
俺ももう四十代。この歳になると色々なカードを見たことがある。しかし、このカードのようなものは今までの人生でも見たことがなかった。
拾ってよく見ようと思ったが人の目を気にして手を止めた。背後を振り返ったり左右を確認するが通行人はともかく建物からの視線も無い。少し拾ってみるか。
「そういえば、この辺りに変わった古物商があったっけ。変な物は拾わないようにしよう」
俺はふとこの辺りに怪しい物を売り買いしている古物商を思い出してカードを拾うのを思い直す。そして、いつも通り仕事場に向かうことにした。
「急いで向かわないと…」
タッタッタッタッタッ……………。
男が去ると道の外れの路地の方から紫色の祭服のようなものを着た白髪の老人が現れた。
「おお、あったあった。」
老人はカードを拾うと懐に入れて路地裏の自分の店へと帰った。どうやら男が知っていた古物商の店主のようだ。
「全くこのカードだけは外に出すわけにはいかん」
老人は店の奥の部屋に入るとカードに向かってなにやら話しかけた。
「古代何千年か前に封じられた悪魔が入っているというこの“御札”まったく現代のトランプやタロットカードとそっくりだから危うく拾われてしまうところじゃったわい」
「あと人間何人か分の魂で復活するという大悪魔」
「私ももう歳じゃからこの古物商もあと何年か後には無くなってしまう。このカードが御札じゃと理解している人も少ない。このカードを守ることだけがわしの使命じゃったが」
そうすると老人は何やら呪文を唱え始め、カードに向かって封印のようなものを施した。
「アンゴアクラコア、アンゴアクラコア」
「わしが今までの人生で出来ることはこうやってあと何人か分の魂で復活するカードを何百人分かのカードにすることだけじゃ」
老人は封印を施し終わるとカードを厳重に箱の中に保管した。
「まあ悪魔との契約の仕方も分からんやつも多い。何千年か前にいたという悪魔を封じ込める大賢者が現代にもいつか現れるとよいが」
老人はそう言うと、生い先短い古物商の経営に戻った。
御札のカード yas @yas0223
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