第8話 好きな人が隣の席って……最高かよ……

「この座席表を見たら席を自分の名前があるところに移動させてね」


「はーい!」


 先生がそう言うとクラスメイトはそう言って席を移動させ始めた。


 かくなる俺はと言うと好きな人と隣になれた嬉しさとドキドキでちょっとその場で止まっていた。


 そして俺はドキドキを抑えながら新しい先の場所へと席を移動させた。


「あ、隣……よろしくね鈴木くん……!」


「あ……うん……よろしくお願いします……」


 まさか高崎さんの方から挨拶してくれるとは!?

 俺は自分の席に移動し終わると高崎さんにそう挨拶したのでそうぎこちない挨拶を返した。


浜原はまはらくんもよろしくね! 隣!!」


「おう! よろしくな!」


 なんだ……俺だけに挨拶してくれたわけじゃなかったのか……俺はそう思うとちょっと残念がった。


 それから一時間目の授業は国語だった。


 俺は国語の現代文の先生が黒板に書いた注目ポイントをノートに淡々とまとめていた。

 いや……まとめているだけだった。

 先生がなにやら話をしていたが俺は今それが一ミリも頭に入っていなかった……


 それよりも好きな人が隣にいる事実に俺は高揚していた。

 授業中……天国かよ……


 授業が終わると俺は前の席の方の席となった武蔵の元へと向かった。


「よう! 昴!! ここの席すごいな! 前の席すごい黒板見えやすいぜ!!」


「それはよかったな……」


 武蔵はとても嬉しそうに俺にそう言ってくる。


「お前の席って? あ、そうか真ん中か……真ん中って黒板見えやすいか?」


「まぁ、普通だな……」


 俺は休み時間武蔵とそういう話をして過ごした。


 そして四時間目まで授業を受けてお昼休みがやって来た。


 俺と武蔵は一緒に学食へと足を運んだ。


「なぁ? お前の隣って穂乃果か?」


 穂乃果って高崎さんの事だよな……?


「え? そうだけど……」


「だよな! さっき穂乃果によ鈴木くんの隣の席になったんだ! って聞いたからよ!」


 なに? 高崎さんがそんなことを……!?

 俺は武蔵からそのことを聞いてとても嬉しくなった。


 そして俺たちはお昼ご飯を食べ終わり教室へ向かおうと廊下を歩いていると教室前で一人の男子が風華に話しかけているのが目に見えた。


「姫野風華さんだよね? ちょっと俺と来てくんない?」


 そうある一人の男子生徒が風華に話しかけていた。

 

 その男子生徒は俺たちの一個上の先輩でイケメンで女子から絶大な人気を誇る先輩だった。


「え? ここじゃ……ダメなの?」


「いや……ちょっとここでは……」


 風華がそう先輩に答えると先輩は恥ずかしそうにそう言った。

 俺は通り過ぎざまに先輩の顔を見た……

 すると先輩の顔は真剣だった。


 これはあれしかないな……

 俺はそう思った。


「行って来なよ! 風華ー!」


「そうだよ! 先輩がせっかく話があるって言ってあげてるんだからさ……」


「うん……わかった……ちょっと行ってくるよ……」


 おそらく風華と一緒にいたのだようか……

 女子二人が風華にそう言ったことで先輩の後ろについて行ってどこかに行ってしまった。

 

「いいなー! 風華ちゃん! あれってもうあれだよね!」


「うん! でもお似合いだと思うな……」


 俺は女子二人の会話を聞いて何故か居ても立っても居られないくなり武蔵に


「なぁ、ちょっとトイレ行ってくる……」


「お? あぁ、行ってらっしゃい……」


 そう言って先輩と風華の後を追いかけた。


それで……その……話って?」


「ああ……」


 今……風華とその先輩は学校の中庭にあるでっかな木の下で向かい合っていた。


 俺はと言うとそこから少し離れた場所にある物陰に隠れて風華と先輩をみていた。


 なんで……俺こんなことしてるんだろ……

 俺は衝動的にこんなことしてしまったことによる後悔にさらされた。


 てか、俺は高崎さんのことが好きだから別に……風華が誰と付き合おうが俺の知ったことじゃないだろ……あいつとはただの幼馴染なだけだし……


「あの! 姫野さん! 俺はあんたを一目見た時から惚れてしまったんだ! 俺と付き合ってくれませんか!」


「…………」


 先輩が風華にそう言うとしばらく沈黙の時間が流れる。


 風華は一体何て答えるんだ……?

 俺はこの様子を固唾を飲んで見守った。


「……ごめんなさい……」


 風華はそう言って頭を下げて先輩の告白を断った。


「そうか……伝えてくれてありがとう……」


 先輩はそう言ってその場を後にした。


 俺は風華が告白を断って少しほっとしてしまった


 ……何で俺は今……風華が告白を断ってホッとしているんだ?

 俺は高崎さんじゃなく……風華の事が好きなのか?

 俺は青い空を向きながら少しの間そこに留まった。


 そして五時間目……

 数学の授業で俺が眠そうにうとうとしていると

 俺の方に一つの消しゴムが転がってきた。

 俺はそれをとって辺りを見渡すと


「鈴木くん……それわたしの! 取ってくれてありがとう!」


 俺に向かって高崎さんがそう言う。

 てかこれ、高崎さんの消しゴムだったのか……


「はい……これ……」


 俺は高崎さんに落とした消しゴムを渡す。


「ありがとう! やっぱり鈴木くんは優しいね!」


 ……っー!! 

 俺は今彼女にそう言われた時の彼女のとても可愛い笑顔に思わずやられてしまった……

 それと同時に俺のさっきまでの疑問も吹き飛んだ。



 俺はやっぱり高崎さんが好きだ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋という字は十画数 アカペン @akapen3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画