第7話 席替えの奇跡

「帰ったはずじゃ……もしかしてさっき俺が見た風華は幻? 幻覚なのか?」


 俺はひどく混乱していた。


「アハハ! すーくん驚きすぎ!!」


「いや! だって帰ったと思ったらいきなりしかも俺のベットに普通に横たわってるから普通にビビるだろう!」


「なんで私がここにいるか……知りたい?」


 すると風華は小悪魔的な笑みを浮かべて俺に言ってきた。


「いや……別にいい知らなくてもいい」


「そんなに知りたいんだ……もう! すーくんったら!」


 俺は今知らなくてもいいって言っただけだぞ?

 

「いや……別に知らなくてもいい……」


「ガビーン! いいから! 聞いて聞いて!!」


 結局こいつは俺に聞いて欲しいのか?


「じゃ! 話すよ!!」


 ーーーーーー


「すーくんのお家楽しかったな! またこようと!」


 風華は昴の家を出た後駅に向かって歩いていた。

 すると風華は何かを見つけたように向かいから歩いてくるある一人の女性に話しかける。


「もしかして! 紗奈さなおばさん?」


「あら? あなた! もしかして風華ちゃん?」


「やっぱり! 紗奈おばさんだ!!」


 すると風華は風華が紗奈おばさんという一人の女性に抱きついた。


「あらあら! こんなに可愛らしくなって……もしかして昴の家に遊びに来ていたの?」


「うん! うんー!! すーくんのお家に遊びに来ていたの!」


 ちなみに風華が今抱きついている紗奈おばさんとは鈴木昴と鈴木和奏の母親である。


「あ! そうだ風華ちゃん! よかったらうちでお夕飯……食べて行かない?」


「うん! 食べる食べる!!」


 ーーーーーー


「というわけで……紗奈おばさんの後について行ってまたすーくんのお家に戻ったってわけ!」


 そういうことか……まぁ、大体予想はついたが……


「すーくんいっぱい漫画持ってるね!」


「まぁな俺……漫画好きだし……」


 それから俺と風華は漫画を読んで過ごしていた。


「ご飯ー! できたわよ!!」


 すると俺と風華のことをお母さんが呼ぶ。


「はーい!!」


 すると風華は元気良くそう言って俺の部屋を出た。


「ん? ……お兄ちゃん!! あたしおかしくなっちゃったかも!」


 すると風華と入れ替わりに俺の部屋には入ってきた俺の妹が俺にそう言ってきた。


「あ? どうしたんだ? おかしくなったって?」


「今! 風華姉ちゃんの幻影が見えたの! あたし相当やばくない?」


 もしかして……風華のやつは和奏に家に戻ってきたことを言ってないのか……


「いや……やばくないぞ! あれは正真正銘本物は風華だ……」


 俺は手を左右に振ってそう言った。


「へ? どういうこと?」


 俺は戸惑う妹に事の事情を説明した。


「なんだ! そういうことだったのか! びっくりしちゃったよ! さっきあたしの部屋から出てリビングに向かおうとしたらねちょうどお兄ちゃんの部屋から出てくる風華姉ちゃんが出て来てさ……」


「和奏ちゃんこんばんわ! そう言われたけどあたしびっくりしちゃって思わず無言で無視しちゃったから後で風華姉ちゃんに謝らないと!」


 妹はそう言ってリビングへと向かって行った。

 俺も妹の後を追ってリビングに向かった。


「すごい! 美味しそう!!」


 リビングに到着するとリビングのテーブルに腰掛ける風華が目の前にあるオムライスに目を輝かせてそう言った。


 今日の夕飯はオムライスか……


 俺は妹に続いてオムライスが置いてあるテーブルに腰掛ける。


「おばさん! これすっごく美味しそう!!」


「あら! 嬉しいこと言ってくれるじゃない! さ! さ! 和奏と昴も来たことだし食べましょ!」


「わーい!」


 お母さんも席に着くと風華はそう言ってはしゃぎ始めた。


 そして合唱をして俺たちはオムライスを口に入れた。


「ねえ、風華ちゃん! 風華ちゃんって可愛いから学校でもモテるでしょ〜〜」


 俺がオムライスを味わっているとお母さんが風華に聞いた。


「うん!! 前の学校でもいろんな男の子から告白とかされたよ!」


 なに!? こいつそんなにモテるのか?  

 いつも俺のことをすーくん! すーくん! 言ってるあの風華だぞ!? いや……ありえないね……


「てことはさ! 風華姉ちゃん! 今彼氏とかいたりするの?」


「彼氏? ううん、いないよ!」


「じゃあ! 今好きな人とかいるの?」


 妹はすかさず風華にそう言った。


「うん!! 和奏ちゃんも! すーくんも! おばさんもみんな大好き!!」


「あらあら……ふふふ」


 風華はそう答えると、お母さんが嬉しそうにそう微笑んだ。

 てか、妹が風華に聞いたのはそう言う意味の好きな人じゃないんだけどな……


「ごちそうさまでした!!」


 俺たちはそう合唱してオムライスを食べ終わった。


 それから風華を玄関まで見送って俺は自分の部屋に戻った。


 そして月曜日……


「おはよう!! 昴っ!!」


 俺は教室に入るととてもご機嫌がいい武蔵が俺に肩を組んできてそう言ってきた。


「どうした? なんかいいことあった?」


「今日……聞いた話だ……今日一ヶ月に一回か二回かあるかないかのビッグイベントが開催される!」


「ん? テストか? まさか!? 抜き打ちテストか!?」


 いや! 違うな……抜き打ちテストならば武蔵がこんなにご機嫌なはずがない……

 となると!? まさか……


「ふふふ! 席替えだ!!」


 武蔵は俺から組んでいた肩を離して黒板を指さして手を広げた。


「せ! 席替え!? ほんとか?」


 これは学校あるあるかもしれないが……なぜか席替えがあるとわかった日はわくわくする……全く何故なんだ……


 俺も例に漏れず心が波打っていた……それは……なぜか……好きな人と! 高崎さんと隣の席になれるかもしれないからだ!! 


もし……高崎さんと隣の席になったら……

 ーーーーーー

 (昴の妄想です。)


「鈴木くんってさ……授業中の顔……かっこいいよね……わたし……好きになっちゃったかも……」


「んふふ! そうかな?」


 俺はそう言って髪をかきあげカッコつける。


「うん……今度から昴って呼んでもいいかな?」

 

「もちろんさ! 何とでも呼びたまえ!」


「キャー!! 好き昴ーー!!」


 そう言って高崎さんは俺に抱きつく。


「アハハハハハハハ!!!」


 ーーーーーー


「へへへ! もう……仕方ないな……」


「おい! 戻ってこい!! 昴!!」


「は! どうした? 武蔵……?」


「どうしたじゃねぇよ! お前! 今すごい顔してたぞ!」


 俺はどうやら高崎さんとのあんなことを想像して教卓に倒れ込んでニヤニヤしていたらしい……


 すると先生が教室に入ってきた。

 先生の持っているものを見ると席替えの座席表見たいなものを持っていた。


「はい! みなさん!! 席についてください!」


 そう先生が言うので俺たちは席に座った。


「ところで突然ですが! 今から席替えを実施します!」


「席替え!?」


「きたきたきた!!」


「いええーーーーいい!!」


 先生がそう言うとクラスメイトの人たちがめちゃくちゃ騒ぎ始めた。

 これが……席替えマジックか?


「今から座席表を黒板に貼るのでみんな目を通すように……それともし目が悪くて見えずらいよって人は先生に言ってね!」


 そして先生が座席表を黒板に貼った。


 ここからはもうお祈りしかない……

 高崎さんの隣! 来い来い来い来い!!!

 ラブコメ展開……ラブコメ展開……

 カモン!!!


 すると俺は座席表に俺の名前を発見する。

 俺は真ん中らへんの席だった。

 俺は名前の左隣を見た……今川……違うか……

 そして俺は名前の左隣を見る。


 ……高崎!? 高崎穂乃果……


 そう……俺は高崎さん……好きな人と隣の席になったのである……


 ラブコメ展開!!! 来たーーー!!!

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