第6話 幼馴染ドミノ

 俺たちは家に向かって歩いていた。


「いやー! 結菜ちゃん!! お久しぶりだな!! 楽しみだな!!」


 風華は、嬉しさ全開だった。


 まぁ、妹には、あとで俺の家に風華が来ることを伝えてあるので、急に来てとびっくりすることはないだろう……


 そして俺たちは家の目の前につく。


 そして、俺は鍵を開けて、風華を玄関へと招き入れる。


 すると、妹が我先へと玄関にやってきて、風華に抱きついた。


「風華姉ちゃん!! 会いたかったよ!!」


「私も!! 結菜ちゃん!!」


 二人はお互いにそう言って抱き合う。

 俺はこれは邪魔しちゃいけないやつだと思いほんとにそーと足跡をたてず、家の中に足を踏み入れようとした。しかし


「ほら! お兄ちゃんも!! こっち来て!!」


「早く!! すーくん!!」


 俺は妹たちに呼ばれたので、妹たちに近づくと

 急に妹たちは円陣を組んできた。


 ……は? なんだこれ……


「おい! 結菜よ! これは何だ!!」


 俺は今の状況が理解できず結菜に思わず呟いた。


「あれ? お兄ちゃん知らないの?」


「なにがだ?」


「ラブコメで主人公と幼馴染のヒロインとその主人公の妹が久々に会った時にした円陣だよ!! なに? お兄ちゃんご存知ないの?」


「いや、もちろんご存じだけれども……てか、それに風華を巻き込むな!! ほら風華困ってらだろう!!」


「これ! あの「幼馴染ドミノ」の名シーンの再現でしょ!! いやー! わかってるね! さすが結菜ちゃん!!」


 え? 風華さん……

 風華は、困ってなどいなかった……むしろ作品知っててノリノリだった。


「それじゃあ! 皆さんやりますよ!!」


 円陣を組んでいる中、そう妹が俺たちに呼びかける。

 妹がそう言うならもうあれしかない……

 そう、これは幼馴染ドミノ屈指の名シーンの中での掛け声


「いくよーーー!! お兄ちゃん! 風華姉ちゃん!! せーの!」


「ソフトクリーム!! ドミノー!!」


 そう俺たちは、幼馴染ドミノと同じセリフを天井にぐーを突き上げてそう叫んだ。


 ーーこうして風華が俺の家に遊びにきた。


 俺は風華をリビングに招き入れた。


「わぁ!! このリビング昔と変わっていない!!」


 風華が自分の記憶にあった俺の家のリビングと全く変わっていないのかそう喜んだ。


「ねぇ、お兄ちゃん!! 風華姉ちゃん超絶可愛いんだけど!!」


 すると妹が俺にそう呟いてくる。


「やっぱり可愛いものなのか? 風華は」


 確かに最初転校してきたあの一瞬は心を奪われたが……今あいつがあの風華と知った今……どうしても昔の風華がチラついて可愛いとかそういうのが、よくわかんなかった……いや、多分可愛いんだけど……


「お兄ちゃん!! 今から言うこと正直に答えなさい!!」


「なんだ?」


「風華姉ちゃんの事、可愛いと思うか? 思わないか?」


 は? なんだその二択……

 俺は妹にそう言われてしばらく考え込む素振りを見せる……まぁ、答えは可愛い一択なのだがなんか、可愛いっていうのも恥ずかしいし……とか言っても可愛くないって言ったらまた面倒なことになりそうだし……


「可愛いと思うよ……多分」


 俺は長考の結果そう言った。


「ふーん! ねぇ!! 風華姉ちゃん!! お兄ちゃんが姉ちゃんの事可愛いって!!」


「おい! ちょっと和奏!! おま! 急になに言って!!」


 妹が俺の言ったことを風華に告げ口したところ風華は恥ずかしそうに……


「えへへ、ありがとう〜すーくんもかっこいいよ!!」

 

 そう言ってきた。


「がはっ……!?」


 俺は今の言葉を聞いてノックアウトされた。

 そして、その場に座り込んだ……


「ちょっと、お兄ちゃんなにしてんの?」


「気にするな……ちょっと……焼きおにぎりの気分を味わって見たかっただけだ……」


「は? ……」


 あれ? 俺なんか今変なこと言った?

 俺は妹に意味不明な眼差しを向けられるままゆっくりとソファリビングにあるに腰を下ろした。


 それから俺たちはリビングにあるソファに座り昔の話に花を咲かせているといつのまにか午後六時を迎えていた。


「なぁ、風華……そろそろ帰らなくていいのか? 親……心配しないか?」


「あ! もう午後6時!? 全然気づかなかったよ! よいしょ!」


 俺が彼女にそう言うと風華は座っていたソファから立ち上がり帰る様子を見せた。


「えー! 風華姉ちゃん帰っちゃっちゃうの?」


「おい、和奏……もう遅いんだから、これ以上引き止めたら風華に迷惑だろ……」


 俺はそう不満を漏らす妹にそう言った。


「むぅ〜また来たね!! 風華姉ちゃん!!」


 妹も俺の言葉に納得したのか風華にそう言った。


「うん……絶対にくるよ!! すーくんもまたね!」 


 そう言い終わった風華は玄関へと向かった。


「じゃーね!! 風華姉ちゃん!!」


「また学校でな……風華……」


「うん!! バイバイ!! すーくん! 和奏ちゃん!!」


 そう言って風華は玄関を出て家へと帰っていった。


 さて……俺も自分の部屋に行くか……

 さっき玄関で幼馴染ドミノの何故名シーンをやることになったからな……そのせいで幼馴染ドミノ久しぶりに読みたくなったよ……


「さてと……」


 俺は自分の部屋に行くとベットの横に寄りかかり本棚から取った幼馴染ドミノ一巻を手に持って読み始めた。


「懐かしいな……てか、案外……覚えてるものだな……」


 俺は久しぶりに読んでみたが覚えているシーンが多くてそう独り言を呟く。


「すーくん! このトマトソードっていう漫画面白いね!」


「うん……そうだな……」


「…………っ? ……!?」


「風華……!? お前帰ってたんじゃ!?」


 俺は突如誰かにそう言われて反射的にそう答えたがよくよく考えたらそれが風華の声だったのでしかもベットの上から聞こえてきたので俺はびっくりしてベットの上を見てそう言った。


「すーくん! こんばんわ!!」


「なんでお前……」

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