8.メイド服の彼女と、また明日

//正面から

//リラックスした感じで

「はー、つかれました。メイドというのも、楽なものではないですね」


//少し楽しげに

「それにしても、今日はいろんなこと、しましたね」


「いままで先輩にしたことが無いようなこと、たくさんしました」


「流石の私も、ここに押しかけたときはちょっと迷惑なんじゃないかなーとも思いましたが……結果的には、来て正解でした」


「まさか先輩が私を放置して眠るほどだとは、思っていませんでしたけど」


//間を置かずに

「ああ、急に押しかけたのは私ですから気にしないでください。それに、先輩が癒やされてくれたのであれば、それで十分ですので」


//少し間を置いて、切り出すように

「……それで、先輩。どうでしょうか」


「私を家に置いて頂ければ、今日みたいに、楽しい時間を過ごせますよ」


「……先輩。私、先輩の家にいてもよろしいですか?」


(先輩、いてくれるなら嬉しいと返す)


//ささやかに嬉しそうに

「ふふ、ふふふ、やった」


//嬉しさをにじませつつ、表に出さないクールな感じで

「……まあ、私は初めから、先輩がそう言って頂けると思っていましたけどね」


「では要件も住ませましたので、私はそろそろ帰ろうと思います」


//SE 立ち上がる音

//SE 歩く音


(困惑する先輩)


「……あれ、どうかしましたか? 先輩。そんな目の前で魚が空を飛んでいたのかというような、ずいぶんと不思議そうな顔をして」


「……ああ、家のことですか。そんなことも言いましたね。住む場所がなくてここに来た、と。はい、大丈夫です」


「あれ、嘘ですので」


(先輩、嘘? と困惑した様子で問う)


「はい、嘘です。口実です。ああでも言えば、お堅い先輩でもお部屋に入れてくれそうですし」


「その節はご心配をおかけしました。てへ」


(先輩、絶句)


「……まあ、嘘をついたことは悪いとは思ってます」


「ですが、そもそもですよ。先輩は気にならなかったんですか? 私が着ているこのメイド服について」


「私がどうして、メイド服を持っていたのか」


「別にここに来るからって、別に急いで用意したわけじゃないですよ。私物です。ずっと前から持っていました」


「……ねえ、先輩」


「どうして私が、先輩の好きだというメイド服を持っていたのか、先輩は、わかりますか?」


「メイド服の後輩は、一体何を考えて先輩の家に来たのか」


「賢い先輩なら、分かりますよね。それとも、私が言わなくちゃダメですか?」


//少し間を置いて

「はぁ、仕方のない先輩ですね。やれやれです。もう」


「一度だけ、ですからね。一度きりになるかは……先輩次第ですが」


「それでは、耳、お借りします」


//右耳、間近から囁くように

「先輩。私、先輩のことが……大好きです」


「……ふふふ。言っちゃいましたね」


//SE 離れる音


「では先輩、また明日、です」


「……あ、次に会う時には、合鍵、用意していてくださいね?」



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ここまで読んでいただきありがとうございます。


これにて物語は終了となります。




本作は『第3回「G'sこえけん音声化短編コンテスト』ASMR部門に参加中です。

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メイドごっこ ~自称クールでお茶目な後輩メイドが転がり込んでくる~ 大宮コウ @hane007

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