7.後輩メイドのご奉仕(健全)耳かき
「ご飯も食べました、お風呂にも入りました。では、残りの夜の時間にすることは、わかりますね……?」
(先輩、ゲーム?と問いかける)
//明るく
「いえす、夜通しゲームです!」
//一転、呆れたように
「……って、いや、違いますよ。人のことをなんだと思っているんですか」
「正解はですね……耳かきです。マッサージとどちらにするか悩みましたが、お仕事で弱っているよわよわな先輩の身体をめためたに殴打するのも、それはそれで酷かな、と思いまして」
「それに、耳かきってなんだかメイドっぽいじゃないですか」
「わかりますか? こう、お貴族のおぼっちゃまが年を経てやんちゃになったり、大人びていくけど、昔から面倒を見てくれている少し年上のおねーさんメイドさんが耳かきをしてくれるときは昔みたいな距離感になる、みたいな?」
//間を置かずに
「……細かすぎて伝わりにくいですか? まあいいんですよ、ニュアンスさえ伝われば」
「はい、では今から私は、先輩……もといご主人様の、年上あこがれおねーさんメイドです。いいですね? よし。決定です」
「しかしそうなると、床に座って、というのも違う気がしますね……そうだ、ベッド、お借りしますよ」
//SE ベッドに座る音
「うむ。やはり耳かきと言えば、こうしたベッドやソファーに座った上での膝枕でしょう」
「そして、メイドの万能ポケットから、梵天付きの竹耳かきを召喚します。しゅばっ」
「ではでは準備もばっちりということで……」
//以降、優しい声色で
「ご主人様、膝枕、どーぞ?」
(先輩、大人しく膝枕されに行く)
//左耳から、囁くように
「……メイドの言うことを素直な聞いてくれるご主人様で助かります」
「しかし私と反対側を向くだなんて、相変わらずシャイなご主人様ですねえ」
「じゃー、左耳からしていきますね」
//SE 耳かき音(左耳)、開始
//少し間を置いて
「結構溜まってるみたいですね。忙しくて、できてなかったんでしょうか。それとも、単に忘れていただけでしょうか」
「大人になったら自己管理をしろと言われる昨今ですが、適度に外注してもいいと思うんですよね、私」
「大人と言っても、所詮は誰しも子供が大きくなっただけですから。急に休みたいときも、誰かに甘えたいときだってあるはずです」
「その点、ご主人様は私がいますから、お得ですね」
//少しとぼけたように
「私は……どこかの誰かさんをからかうことでストレス解消させていただいているので。ですので、問題ありません」
//少し間を置いて
「……む、ここに大きいのがいる気がする。ちょっと集中するので、話しかけないでくださいね」
//SE 耳かき音、小刻みに早めに
「かりかりかり、かりかりかり……うりうりうり……あ、とれた。ティッシュティッシュ……あった」
//SE 耳かき音、一度停止
//SE ティッシュを取る音
「耳かきを拭いて、と。続き、していきますよ」
//SE 耳かき音、再び通常の速度で
「ちょっとしたゲームみたいで面白いですね。人の耳をいじるというのも」
「しかしまあ、私が言い始めたこととはいえ、よくもまあこの私に耳を預けようと思いましたね。そこまで信頼されていたとは、内心驚きです」
「そう、先輩と命運はいま、この私が握っているのです。ふふふ……」
「……何も変なことはしません。しませんよ。しませんて。今の私は後輩ではなく、しごできクールメイドですので」
「まあ、脅して部屋にいさせてもらうことも考えなくはないですが……先輩に自分から、みずきちゃんいて欲しいー、って思ってもらわないと、意味ないですから」
//約十秒程度、無言で耳かき(左)
//SE 耳かき(左)終了
「こちら側の耳かきはこんなものでしょうか」
「仕上げに梵天、していきますね」
//SE 梵天(左耳)、開始
「このふわふわ、気持ちいいですよね。耳かきをした後に使うためだけに存在していると思うと、奇妙極まりないですが」
「鋭利な耳かきの反対側に、こんな使われた人を籠絡するみたいにやわらかーい綿毛みたいなものをつけようとするなんて、考えた人はよっぽどのワルです。ワルワルです」
「ご主人様は、そんなわるーい梵天で、癒やされてくださいねー。ふわふわー。ふわふわー。ふわふわふわー」
//SE 梵天(左耳)、終了
「よし。左耳はこんなものでしょう。では、最後の仕上げに……」
//右耳に息を吹きかける音
「ふーっ」
「あ、びくってしましたね。不意打ち成功です」
「では、右耳もしていきますよ。ごろーん、してくださいな」
(先輩、大人しく回転)
//SE 膝枕の反対側を向く音
「む……今度は遠慮なくこちらを向いてきましたね。膝枕で相手のお腹側を向くの、結構な高難易度だと思うのですが」
「もしやいつぞやからかったことの仕返しでしょうか……どうしましょう。心当たりが多すぎてどれを謝ればいいのかわかりません」
「むぅ……先輩がその気なら、私も、しちゃいますよ。このまま」
「じゃ、動かないで……変なことを考えたりもしないように」
//SE 耳かき音(右耳)
//少し間を置いて
「こちらもだいぶ荒れ放題ですね。まあ、片耳だけ綺麗だったら、それはそれで不思議なのですが」
「かりかり、かりかり、かりかりかりー」
//SE 耳かき(右耳)速度上げる
「こうして早くしたりー」
//SE 耳かき(右耳)速度下がる
「遅くしてみたりー」
「速度を変えてみたら、ご主人様も飽きずに楽しめますよね」
「私の耳かきは、エンタメですので。ふふん」
「まあそれはそれとして……先輩はあまり、こういうのドキドキしないんですか? こういうのというか……女の子と一日中、一緒に過ごしたりするの」
「……はっ、もしやそういうお店に夜な夜な行っていたり。いけません、いけませんよ先輩。ふけつです。どこかの名前も知らない相手にお金を出すくらいなら、身近な可愛い後輩を可愛がるべきですよ。そうは思いませんか?」
「とまあ、気さくな冗談はさておき、です」
「私はこう見えて、今日一日、結構ドキドキしているんですからね。そこのとこ、ちゃんとわかってくださいよ」
「……そうは見えない、ですか? まあ、鈍感な先輩が私のポーカーフェイスを読み取れないのも無理のない話でしょう」
「それに、いまの私はメイドですから。それもアットホームで愉快に楽しい、一家に一台新しいメイドです」
//地震少しなさげに呟くように
「……いえ、楽しいのは、私だけかもしれませんけど」
//間を置かずに
//少し呆れたように
「とか思ってましたが、耳かき、気持ちよさそうにされてくれますねえ。杞憂も杞憂でよかったです。というかちょろすぎです」
「というより、そもそも先輩、私に甘いですよね。私が好き勝手しても、なんだかんだ受け入れてくれますし」
「まあ、私に都合が良いのでいいんですけど」
//SE 耳かき(右耳)終了
「ではこちらも、こんなものでしょう」
「それでは締めのふわふわ梵天、していきますよ」
//SE 梵天(右耳)開始
「ふわふわ、ふわわー、ふわふわわー」
「んー、気持ちよさそうなお顔で何よりです」
//SE 梵天(右耳)終了
「そしてこちらも仕上げに……」
//右耳に息を吹きかける音
「ふーっ」
「はい。これでおしまい、です」
「お疲れさまです、ご主人様」
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