汗だくのおっさん

白川津 中々

◾️

俺はすっかり、汗だくだった。


市役所へ行った帰り。あまりの熱に発汗しびしょ濡れ。移動の大半は電車だし肌着なんて着なくてもいいかぁなんて気軽に思っていたら大間違い。ギラつく太陽光が大地を焦がし日本列島サウナ化計画。シャツがまだらだ。これは堪らんと喫茶店へ入り瓶ビールをオーダー。小瓶である。これをグイと飲めば漏れなく汗倍増。そしてエアコンが当たり冷却は完了する。完璧な作成である。




「ビールでーす」




置いていかれたグラスを端に追いやり直で潤す。キリリと冷えた苦味が食道を通り胃にダイブ。こいつは効くぜと飲み干して追加で一杯。あとはナポリタンを注文。暑い日は赤いものが食いたいんだ。何故だか知らんが無性に美味い。ビールを二杯、三杯、四杯、五杯空けるとようやく届いたナポリタン。焦げたトマトソースの匂いが実によろしい。タバスコを馬鹿ほど振り掛けズビリズバリ。音を立てるな? 知るもんか。ナポリタンなんざ日本生まれの日本育ち。即ち和食。和食の麺は啜って食べると相場が決まっているもんだ。その方が美味いのである。ともかく食べる。飲む。食べる。追いタバスコをしつつビールも追加。ひたすら楽しみ、満足。金を払って退店。暑い。タバスコとアルコールのせいで汗が吹き出す。こりゃますますビールが必要だ。立ち飲み屋にでも行こう。



夏の商店街。酒を求めてふらりふらり。


俺はすっかり、汗だくだった。

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