1つ目かくれんぼ

女神なウサギ

第1話 かくれんぼ

 逃げろ、逃げろ、逃げろ

息を切らしながら後ろを振り返らずに走り続ける。

きっかけは些細ささいなことだった。俺、ケンタは俺と友人のマキとカオルの3人で肝試しに来ていた。遊んでいたら突然空から声が降ってきた。

 "いまからかくれんぼを始めるよ。鬼は君だ。

人魂ひとだまから逃げながら友人のマキちゃんを探すんだ。

人魂に捕まったら負けで罰を受けてもらう。見つけたマキちゃんが一つ目小僧でも負けだよ"

「マキが一つ目小僧ってどういうことだよ」

"それじゃあ、スタートだ"

 馬鹿らしいと思ったがわざと俺が1人でいるタイミングを狙ってきたこと、さらには人魂に追いかけられている事実。そしてなによりどうやら参加者は俺だけではないらしく、すでに参加しているらしい人たちが"黙っていよ"と、謎の言葉とともに振り向いた友人の1つ目と化した顔を見て悲鳴を上げている光景を見ては逃げるしかない。

 とにかく逃げるんだ。マキはきっと無事だー

マキ、マキ、マキー

ようやっとマキを見つける事が出来た。地面にうずくまっている。

「マキ!」

振り向いたその顔はー1つ目だった。

「黙っていよ」

それからすぐ、俺たちを見つけたカオルが駆け寄ってきた。

「はぁ、はぁーマキ!? まさか、お前も!?ーケンタ、何があったんだよ! なあ、こっち向けよ!」

「黙っていよ」



 

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