最終章 神話

マキオの話はここまでだ。



 そしてマキオは、あれ以来我々の前から姿を消してしまった。


アキオの前にもタケオの前にも表れなかった。


アキオは何度かマキオの携帯に連絡を取ったが、すでに、その電話番号は使われていなかった。


 結局、佐藤の企画した「バイク人物伝」は成立しなかった。


なにせ、まともな映像らしき映像が残っていないのだから。


しかし、佐藤はどうしてもこの事を記録として残したかったらしい。


苦慮の果て、番組でフィクション形式のドキュメンタリーとして制作しようという計画が持ち上がった。


もちろん高山は反対した。


しかし佐藤の説得で、最後はこの企画に同意したのだ。



タイトルは「神話」



 その内容には、マキオの語った謎めいた話が断片的にちりばめられていた。


アキオ、タケオも代役が彼らを演じ、再現フィルムの形でストーリー構成された。
しかし、その内容はマキオの真実を解明する手掛りには程遠いものだった。


「絶対速度」「進化」そして「OMEGAPOINT」


マキオの語った事は、いまだに謎だらけだ。


 

 しかし、偶然にも佐藤がタイトルに選んだ「神話」というフレーズが、その後
マキオの謎に迫ることを、その時は誰も知らなかった。


そして、マキオが起こした小さな波紋がその後次第に大きな波となって襲ってくることを知るものもいなかった。


その渦中の人物であるマキオは、月光に照らされた関越で消息を絶った。

あれから多くの月日が流れたが...今だに不明である。


マキオ伝説 / 絶対速度 <完>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マキオ伝説 / 絶対速度 Speed Guru OMEGA @MC-OMEGAPOINT

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ