警察庁探偵課

小説魂

第1話 探偵科

この探偵課ただの探偵たちの集まりではない。警察学校を卒業しているので、家宅捜査を行うことが出来れば、逮捕までできてしまうのだ。そんな彼らの課はとても小さな課なのである。



「天利さーんお仕事ですよー」そう呼ぶと気だるそうな顔をした彼が起き上がる。天利奏斗さんは警視正で、ぼく伊藤悠真は巡査なので、直属の上司である。「甘利さんお客様です。」「本当かい!?さとうくん! 」「僕は伊藤ですよ!」「まぁまぁ。僕は天利奏斗と申します。探偵課に務めております。それで、貴女は何を解決して欲しくてここに?」さっきまでのあほ面がうってかわり、真剣なようでどこか心躍るような顔をした天利さんが問いかけた。「私は、岩田久美子と申します。夫の行方を探して欲しくてここに来ました。」「ほう。まぁ、腰をかけてください。ゆっくり話をうかがいましょう。」僕は甘利さんのその言葉を合図に探偵課にある小さなキッチンにお茶をつぎにいった。3人分のお茶をだし終えると、岩田さんは深刻そうな顔で喋り始めた。「私は2児の母で、専業主婦です。夫の名前は岩田雅志今年、32歳になります。ここ半年くらい夫の不信行動に心配していました。残業が多くなったり、休日は朝早くから家を空けたりもしていました。何度か問い詰めたこともあります。何をしているのだとか浮気じゃないよね?とか、でも、夫は私にいつも決まった笑顔で大丈夫だから。と言うんです。別に夫との中は悪くなかったと思います。子供たちの事にも夫は親身になって行動してくれていました。」「なるほど。次は旦那様の情報を伺っても?」「はい。まず、夫は1週間前から連絡もつかず、行方が分かりません。夫は小学校の教師をしています。夫の行方について分からないというは、勤め先の校長先生にだけ伝えてあります。夫の生涯をお伝えします。夫は生まれてから向日葵児童施設に入所しております。届出はされておらず、施設の職員の方がして下さったようです。そこから、小中高と進んでいき大学は加賀鳶大学教育学部をでています。」

「わかりました。今度は奥さんの経歴をお聞きしても?」「私は、夫とは幼なじみの関係でしたので、向日葵児童施設の隣の家に住んでおりました。小中高大と同じ道を進み、交際を始めたのは高校1年生からです。私は、夫を支える人になりたいと思い、教員の道へは進まず、専業主婦になりました。一子を産んだのは9年前の25歳、二子は5年前の29歳です。」

「わかりました。もう1つ質問しても?」「はい」天利さんの雰囲気が変わった。この顔はなにか気になることがあった時にする顔だ。僕はこの情報を聞いてもなにも引っかからなかったのに天利さんには引っかかる点があったようだ。「では、一つ。貴女、何故ここにきたのです?」「え」どういうことだ?夫を探して欲しいからに決まってるじゃないか。天利さんは何が言いたいんだ。そう思い彼女を見ると、彼女は少し怯えたような顔をしていた。「だから、言ってるじゃないですか、夫をさがしてほしくてッ!「そうじゃない。夫を探して欲しいだけなら普通の探偵を雇えばいい。何故、警察庁の探偵課に来たのか聞いているんです。貴女何か伝えるべきこと隠してません?」甘利さんは笑顔でそう言った。彼女が完全に怯えた顔をしている。「天利さん、その笑顔怖いのでやめてください。岩田さん、持ってる情報は開示してくれないと、僕たちも捜査できません。」そう言うと甘利さんは拗ねたような顔を僕に向けて来たが、無視をかます。

彼女は少し緊張が解けたようだ。「隠していてすみません。実は少し前から私、ストーカー被害にあっているんです。ちょうど夫がいなくなった、1週間前から。被害内容としては、ストーキング行為や、無言電話、盗撮などです。夫と関係ないとは願いたいのですが、期間があまりにもピッタリすぎて、証拠もあるんです。なので、今回は探偵さんではなく、警察庁の、探偵課さんに依頼をお願いしました。」「なるほど。」つまり、彼女は夫とストーカー被害が何か関係していると考えて警察庁探偵課に、来たわけだ。「盗撮写真を見せてもらっても?」「はい、。」彼女のカバンから出てきた無数の写真。家の中にいる彼女を外から撮ったものや、外出時のもの、中にはシャワー時のものまである。「これは、酷いですね。こんなに、盗撮されてると思うと生活もままならないですよね」「そうなんです。誰かに見られてると思うと、毎日怖くて怖くて」そういいながら彼女はポロポロと泣き始めてしまった。「よかったらハンカチ使ってください。」僕は自分のハンカチを差し出した。彼女はおずおずと手を伸ばしハンカチを使ってくれた。天利さんは写真をじっくり見ているようだ。しかも入浴中の。「天利さん!本人の前でそんなまじまじと見るのはどうかと思いますよ」「あぁこれは失敬。どうにもこの写真が気になってね。」「この写真がですか?」写真の中の、彼女は布を纏っておらず、ましてや浴室なので周りにヒントになるようなものもないように見える。浴槽に入る彼女を真っ直ぐとったものだ。彼女はうたた寝している時なのか目をつぶっており、カメラには気づいていない様子だ。「誰かを家に入れたことはありますか?」「いいえ。怖くてここ一週間は入れたことがないです。それより前なら、私の両親が家に入ったときがあります。でも、両親がいる時にお風呂に入ったことは1度もないです。」「少し気になることがあるので、お家にお邪魔していただいても?」「はい。大丈夫です。」僕らは岩田さんのお家に向かわせてもらうことにした。

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