第40話 これが俺のイキる道!

「ギャハハハハ! 弱い、弱すぎるぞクソ雑魚がぁっ!」


 俺は正義の神の使徒、ジョーを足蹴にしてイキり散らしていた。


 クレレンマー滅亡から3ヶ月。クレレンマーの領土を全て支配下においたシェルカラングはあちこちの国から敵視されることとなった。


 んでわざわざ正義の使徒とやらが遠路はるばるこの俺に決闘を申し込んで来たわけだ。なんか諸悪の根元は俺だとか抜かしてたがシランガナ。


 変身ヒーローみたいな格好してるんだけど、もしかしてそっちのマニアなんかね?


「く、クソッ! この正義のヒーローが敗れるなどあってはならんのに……!」

「ぬぁにが正義だ! 勝者こそが正義に決まってんだろうが。負けるてめぇが悪なんだよ。俺の方がジャスティス過ぎてぐぅの音も出ないかぁっ!?」


 いやーしかしこいつよえーな。ペドラよりは強いみたいだがこの程度じゃ話にならんわ。


「いいや、俺こそが正義だ!」

「んなわけねーだろ。死ねや」


 ずしゃっ!


 俺は全力でジョーの頭を踏みつけた。するとスイカを潰すようにジョーの頭が割れ、赤い液体が白い石床を血の色に染め上げる。


 自分で挑んだ勝負で返り討ちにされてりゃ世話ないな。これで正義の使徒死亡っと。


「さすがジェノスさん、素晴らしい戦いでしたね!」

「おうキール。お前のリクエスト通りたっぷり血を流させてやったぞ」


 俺の決闘をリングのすぐ近くで見ていたキールが興奮して俺に話しかける。こいつが興奮してるのはきっと流れた血に対してだろう。こいつドSだからな。


「はい、心が洗われるような美しい戦いに僕は感動しました!」

「そ、そうか……」


 こいつが将来の国王なんだが、大丈夫なんだろうな?

 圧政で国が荒れたりしないことを願っておこう。


「いやー、でもこれで大国であるオルガニムに戦争吹っ掛けられますね」

「そうなのか?」

「ええ。だってこの神の使徒は決闘の際に国の名前出しちゃいましたからね。その国の意思で動いたということです。そして仮にも我が国を悪と断じてしまったんですからね。絶対呑めないような謝罪と賠償を要求してやりますよ」


 キールの奴、めちゃくちゃ悪い顔してやがんな。まぁ鉄巨人も20機くらいプレゼントしてやったからな。相手が大国だろうとひねり潰せるだろう。


「素晴らしい! ならいっそ世界征服でもしてみるか? 大陸統一とかめちゃくちゃ楽しそうじゃねぇか」

「いいですねぇ! ジェノスさんが協力してくれるならできるかもしれません。歴史に名を残す偉業ですよ」


 歴史に名を残す偉業だと……!

 つまり俺の伝説が幕を開けるわけか。まさにそれは俺の目指すイキり道を極めた証となりそうだ。いいかもしれん。


「いいなそれ。よし、世界中でイキり散らかして俺様最強伝説を作り上げてやるぜ!」

「そしてシェルカラングがこの大陸を統一ですね! 夢がありますね」


 うむ、なんとも壮大な夢よのう。そう、俺はこれからもイキり続ける。この生がある限りな。


 なぜならそれが俺のイキる道だからだ!




        FIN

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺に加護をくれたのは邪神でした。〜イキリまくるの気持ち良すぎだろ〜 まにゅまにゅ @manyumanyu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ