case3 四度の告白《おもい》は果たされる
彼女は彼を想っていた。
ただそれは無自覚なもので、二人きりで笑顔になれる時間を、心の底では喜んでいた。
一年かけて育まれたその
では、その告白をもし受け止めることが出来たなら?
これは最後のもしものお話……
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この学校にいる、学年を問わず人気のある女子生徒達の一人。
しかし彼女はあまりその人気に興味はなく、むしろ度重なる告白に辟易としていた。
「はぁ……贅沢な話なのは分かっていますが、それでもこう告白されてばかりなのは疲れます」
「今日もなんだ、大変だね……」
図書室にある椅子、その背もたれに身を預けながらどんよりとしている観月さんは、今日も告白されたようで随分と疲れた様子だった。
もう四日連続だ、そりゃ疲れるだろう。
「ホントです。私には樹くんとの時間があればそれで十分なんです」
「そっか、ありがとう」
「むぅ……どういたしまして」
嬉しいことを言ってくれる観月さんだが、俺の返答に何故か口を尖らせてしまった。
なにか不満でもあったのだろうか?
「いつも樹くんが話を聞いてくれるおかげで、気分が楽になりますから、こちらこそありがとうございます」
「いやそんな……えっと、どういたしまして」
「はい♪」
最近、観月さんがとても素敵に見える。
いや元々素敵だったんだけど、最近は笑顔が増えてより可愛くなった。
ちなみに俺は彼女が好きだが、好きになった時よりも段々と魅力的になっている。
具体的に言えば、明るくなったのだ。笑顔が増えて、よく笑いよく話す。
そんなコミュニケーションの増加が、彼女の魅力をより引き立てているのだろう。
もっと言えば、俺が彼女に告白し始めてから、告白をする度に笑顔が増えていく。
勘違いしそうになるな……これ。
三度も告白を断っているのに、どうして彼女は俺の隣に座っているんだ。
どうしてそうも笑いかけてくれるんだ。
俺との時間があれば十分だなんて、そんなこと言われたらもっと好きになるじゃないか!
これだけ思わせぶりなことをしてくる観月さんと一緒に本を読みながら、いつも通り図書室が閉まる時間がやってくる。
正直頭が焼かれそうだ。勘違いしない方がすごい。
「行きましょうか」
「うん」
観月さんの言葉に頷いて、彼女とならんで学校を出る。そんな折に、俺はもう一度だけ彼女に告白することに決めた。
この告白を最後に、俺は観月さんから距離を置くことにするよ。
これ以上彼女との関係を続けていると、多分持たないと思うから。
「観月さん、ちょっといいかな」
「はい、どうしました?」
彼女との帰り道、俺たちは校舎から裏手に回った場所で、彼女と二人きりで向かい合った。
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私には、とてもとても大好きな男の子がいる。
彼は
自分で言いたくないけれど、私はどうにも異性から声をかけられる。それも告白が特に多い。
繰り返される告白に辟易している私だったけど、私を
度々放課後の図書室で一緒に本を読んでいる彼に、私も無理には声をかけまいと思っていた。
もちろん休み時間の時にも顔を合わせることもあるけど、彼は素知らぬ顔で通り過ぎていく。
何日も何ヶ月もそんな日々が続いて、半年ほどの期間が経った頃に私から声をかけさせてもらった。
私から話しかけられることを想定していなかったであろう彼は、あまり乗り気では無さそうだった。
どこか警戒するような目を向けてくる彼だったけど、私は気になっていたあまりそれに気付くことはなく、繰り返しずっと話しかけていた。
そんな日々が続いてついに二年へと進級した頃、ちゃんと話が出来るようになり、遂には笑いかけてくれるようになった。
幸せな日々が続き、遂に彼から告白された。すごく嬉しかったけど、同時に困惑もした。
唐突のことで断ってしまったけど、それで距離を置かれたくなくて、私は樹くんが離れていかないようにと、積極的に話しかけたりした。
それが繰り返し続いて、先日三度目の告白を受けた。嬉しかったけど、やっぱり私はまだ心の準備が出来ていなくて、断ってしまった。
でも好きな気持ちは抑えられなくて、私はついに、放課後の図書室で樹くんの隣に座ることにした。
いつもより近くなり、顔を寄せるといい匂いがしてくる。
私の心も身体も疼いて、悦びに身体を震わせながら、その隣にいられる時間を堪能した。
そして今日、帰りに彼に呼ばれた。多分四度目の告白だろう。
いつまでも彼の好意から逃げてはいられないと、私はその告白を受け入れると決意した。
四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても サカド @udonge1366
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