モノクロ人生に華を

愛しのエリー

日常革命

マクドナルドで働いている高校生、マイクは部活動でテニスに励み、オフの日やその合間を縫ってシフトを入れていた。毎回同じ作業の繰り返しで決して面白いことではなかったが高校に入り初めて自分でお金を稼ぐということに触れ、そんなことはどうでもよかった。日曜日になれば朝から晩までバーガーを作り、ポテトを揚げ、ドリンクを提供する日々だったがそんなある日に彼の退屈な日々に革命を起こすかのような出来事が舞い降りた。

ある平日の午後、窓から射し入る夕日が少し眩しい頃いつもは厨房を任されていたがこの日はトレーニングとしてカウンターをやらせてもらっていた。初めて行う作業に少し緊張することもあったが新しいことをやっていくうちに緊張は消え、快楽に変わっていった。そんな中一人の老人が店に入ってきた。黒いスーツに白いシャツ、そして黒い帽子を深く被りどこか奇妙、いや神秘的な雰囲気を醸し出していた。

「いらっしゃいませ。」どこかふわふわした気持ちで声をかけると、老人はゆっくりと近づいてきた。

「いつものセットでいい。」老人はにこやかに言ったが、その言葉にはなにか違和感を覚えた。マイクは普段通りオーダーをとると、老人は興味深そうにカウンターにおいてあったメニューを見始めた。マイクが持ち帰りの準備をしている間、老人はずっと店内を見回していた。

「君にちょっとしたアドバイスをしようと思ってね、そんなに構えないでおくれよ。」

老人が急に話しかけてきた。突然のことに驚いたもののマイクは気にもとめず黙って準備を進めながら聞いていた。

「このバイトをしていると、君が思っている以上のことを学べる。」老人は続けた。

「ただし、気をつけなければならないことがある。」

マイクは「ありがとうございます。」と言ってもその意味は内心わからなかった。老人は微笑んで注文のセットを受取り、店をあとにした。

その夜、マイクは家に帰りいつも以上に疲れを感じながらシャワーを浴び寝る準備をしていた。すると突然激しいめまいに襲われた。視野が狭まり立っていられなくなりついには床に倒れ込んでしまった。眼の前が砂嵐のようになり何も見えなくなってしまった。

「どうしよう...」マイクはこころの中でさけんだ。意識を取り戻したとき、見知らぬ場所にいる自分に気がついた。まるで別の次元に迷い込んでいるかのような異様な空間が広がっていた。あたりは暗く、霧が立ち込めていた。マイクが唖然としていると突然目の前が光りに包まれ、その中に老人の姿が浮かび上がってきた。

「君が変わろうとしていることを私は知っているよ。」老人は言った。「これは君にとっての試練だ。君がどれだけ成長できるか見守っているよ。」

マイクは驚きを隠せずにいたがこの試練を乗り越えられないと帰れない、そう悟った。そして老人の言葉を受け入れ、決意を固めた。

目を開けると、マイクは再び自分の部屋に戻っていた。しかし何か違うと感じた。鏡を見てみると、自分の姿が変わっていた。普通の高校生だった彼がいきなり立派なマネージャーの服を着ていた。一体どういうことだ、理解するのに時間がかかった。

明くる日、マイクはマクドナルドに行くと自分がマネージャーとしての役割を果たさなければならないという状況に直面していた。驚くべきことに、スタッフたちは彼のことを普通のマネージャーとして接していた。以前やっていたポテトを揚げる仕事はすでに過去のものとなっていた。初めてのシフトでマイクは緊張していたが自分がマネージャーとしての役割を果たさなければならないことを理解していた。スタッフたちの指導や顧客対応、在庫管理など彼には新しい責任が課されていた。はじめは不安と戸惑いでいっぱいだったが、徐々にその仕事に彼は慣れ、自分のリーダーシップを発揮することができるようになっていた。彼はチームをまとめ、店舗の運営を改善していった。

マイクがマネージャーとして腕を磨いていくうちに彼の内面的な成長も明らかになっていた彼は限界を作らず新しい挑戦に立ち向かうことができるようになっていた。以前は単なるアルバイトだった彼がいまではスタッフたちの信頼を得るリーダーになっていた。

彼はまた、自分の変化を受け入れることで、自分の強さと弱さを理解し自分自身をより知るきっかけになった。マクドナルドでの経験を通じて彼はアルバイトから一歩進んだ存在となり、自分の可能性を広げていいた。

マイクの変身は一時的なものではなかった。老人の試練を乗り越えもとに戻った今でも彼は日常の中で新たな役割を担い成長を続けることで人生に対する考え方も変わった。

彼の変身はただの職場での役割の変化だけでなく自分自身の内なる変化も象徴していた。これからも彼は、新たな挑戦に立ち向かい、成長し続けることを決意した。彼はもう止まらないのだ。そして彼はどんな場所、役割であれ自分を成長させ続ける力を持っていることを示した。

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モノクロ人生に華を 愛しのエリー @shim0329hm

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