第10話 最終話 別れ…

雫と柊が結婚して1年が経った…


陸は、中学生になっていた。



雫と柊は、陸の為に2人の子どもを作らないようにしていた。



でも、柊は自分の子どもも欲しいに決まっているよね…



どうしたらいいのかな…


実は…


雫も、柊との子どもが欲しいと思っている。



悩んでいると…


いつものようにテツが現れた。



「雫ちゃん、悩んでいるね…」



「そうなんだよ。私も歳を取って子どもも出来にくくなってるから、子作りするなら早い方がいいかなって悩んでる…」



「テツさん、どう思う?」



「う~ん、じゃいつものように映像を見せるよ」



そう言って映像を見せた…



子どもを作った場合…


新しい家族を可愛がる陸の姿があった…



子どもを作らなかった場合…


子どもが居なくても幸せそうな3人がいた…



「テツさん、これじゃ分からないよー」



「どうするか決めるのは、雫ちゃんだよ」



「それとね…オジサンが雫ちゃんの所に来るのは、これが最後だから…」


とテツが言った。



「えっ、テツさん何言ってるの?テツさんがいなくなったら、また悩んだ時にどうしたらいいの?」



「雫ちゃん、君は確かに悩んでいたけど…僕がどんな映像を見せようが…



「それは、そうかもしれないけど…不安だよ」



「雫ちゃんなら、大丈夫…君はきっと幸せになれるよ」



小さい頃から、迷ったらテツさんが来てくれた…


だから…頑張って来れたのに…



「テツさん…別れたくないよ…また来てよ」



「それは、出来ないんだよ…ごめんね」



「もう、君に僕は必要ないんだよ」



「そんなことない!テツさんは何処に行っちゃうの?」



「また、僕を必要としている子どもの所に行くんだよ」



「そうか…きっとテツさんが必要な子どもは沢山いるんだよね…わかった。これまで本当にありがとう。最後の悩み…きっと自分で決めて幸せになるから」



そう言うと…テツさんは



「雫ちゃん、ありがとう。オジサンも楽しかったよ。元気でねー」



「うん…テツさんもね…ありがとう」


テツさんは、消えてしまった…



雫は涙が止まらなかった…



―――いや…テツさんと約束したから…


―――私は、幸せになる!



それから…雫は柊とも話し合って…子どもを作ることにした。



そして…それから1年後…


女の子が産まれた…


陸はすごく可愛がって…


妹が可愛いばかりに…


口うるさいお兄ちゃんになった…



それから、雫が迷ってもテツは現れることはなかった…


雫は…


映像がなくて不安だったけど…


迷っても、テツの映像のように色々なことを想像して自分で決断した…



子ども達が巣立っていっても


雫と柊は、いつまでも仲の良い夫婦で…


穏やかな老後となった。



私の人生は、色々あったけど…


幸せだった…


それはハッキリ言える。



これも、小さなオジサンのおかげかな…


テツさんありがとう…


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人生の選択にはいつも小さなオジサンが… 秋風 爽籟 @sourai-a

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