異世界に戻ったらたった10人の配下が最強になっていた

第2話 八王塔

ある程度調べてわかったんだが、どうやら俺は過去のユニークスキルだった『炎氷特別属性ファイヤーアイスアトリビュート』と『暴食ベルゼビュート』の二つのスキルを同時に得たようだ。そして新たに獲得した新しいユニークスキル『世界の宿敵:魔王』、これはおそらくだがその名の通りのことだろう。


そうつまり、俺は今から魔王となるのだ…は?

いや意味わかんねえ。何で俺が?そもそも魔王はどうなってる、まだ生きてるだろ。…いやもしかして、、死んだのか?


魔物の少なさといい平和さといい実はちょっとおかしいと思っていたんだ。

まあ仮に倒されたとしよう。では誰に?魔王はかなり強かった。俺は特別倒そうとはしなかったが、前回の俺でも勝てたかどうかの戦いになっていたと思う。

俺以外となると、、勇者か、、あいつらか?





ここはただ一つ海に孤立している大陸、”アルナンド”。他の大陸と接していないことから、この地域の魔物は特殊で強い。それ故かなりの強者たちが集うところである。


その大陸のど真ん中にはある一つの大きな城が堂々と建っている。そこは”八王塔”。8人の王が集う場所だ。この8人は社会的に最強と言われていなく、知る者はあまりいない。だが、歴然の強者は皆こう言う、「あいつらがこの世で一番強い」と。

そんな中今この八王塔は混沌に包まれていた。


「ついに帰ってきたのか?2王が」

「フォッフォッフォ。そのようじゃな。そして、、今のあやつは禍々しい気配をしておる」

「爺さんたちさ、いったい何の話をしているの?」


困った顔をしているのは最近前代王を打ち負かした2人、新たな八王と七王だ。


「お前たちは知らないじゃろうな。しかしこの謎ぐらいはわかるじゃろ。ーーなぜ二王はずっと不在のままなんじゃ、と?」

「確かに私もずっと思っていました。でもおじさんたちは二王はただ行動が読めない人ってーー」

「う〜む、ある意味そうじゃが、根本では違う。実はな、二王は姿を消したのじゃ」

「姿を消した?なぜ?」

「それは私たちも知らないーー」

「ワシは知っとるぞ」


白髪が目立つ巨体な一王はフォッフォッフォと声を鳴らす。


「ワシだけに教えてくれたわい」

「一王だけにですか?」

「あやつが消えた理由はーーーー」


他王の注目が集まる中で一王は言葉を止める。


「すまんが言えんわい」

「何でッ!」

「まあまあ落ち着け八王よ。二王にも事情があるのじゃ。それに、楽しみは戦いでじゃろ?」

「…ああそうだな。そいつがどんな奴でも俺なら倒せるぜ!」

「フォッフォッフォ。ワシすらも倒せんのに?」

「ん?いやいや爺さんあんたが一番強いだろう。この世界で」

「ーー今のワシは必ず1番ではない」

「は?!何でだよ!」


一王はある人物を思い浮かべる。それは二王が欠如して1年目、一王の前に現れた人物。


名はグラーリア。一王はその名をそれから一生忘れる時はなかった。たとえどんな楽しい時でも。あの完敗は忘れないとーー、一王の心はズタズタになっていたのだ。

グラーリアはこう言っていた、「我が主人が絶賛していたが、こんなものか。主人の言葉の質を下げさすな。この老ぼれが」


「絶賛?」

「お前の一つ下にいらっしゃる人だ」

「一つした…まさか二王か?」

「わかったならさっさと順位を変えることだな」


ワシは自分のことを自負しておった。世界はまだまだ広いの〜。



「ワシが今までに負けたことのある奴らは2人。1人は”グラーリア”という奴と、もう1人は」


一王は横にすっぽり開いた席を見る。

「二王じゃ」

「っな!?…あんたより上なのか?」

「ああ。そうだ。絶対にな」

「ふっ、面白いね〜二王。今すぐにでも会いたいよ」

「残念ながら今の二王はとてつもなく弱い。じゃが、さっきの重力をお主らも感じたじゃろ」


皆、さっきの今までに感じたことのない緊張感を思い出す。


「あれは二王によるものだ。フォッフォッフォ。あやつはどこまでも強くなる気じゃ」


一王はこう考えていた。もし、もしあいつが魔王になったら、ワシらには勝ち目があるんじゃろうか?まああの二王の性格ではありえんと思うが。

だがもしその時になったらーーー。。


フォッフォッフォ。その時はこの老ぼれ、死ぬまで付き合うぞ〜二王とその部下たちよ。


「ってまって、グラーリアって…」


実は一王がグラーリアと戦ったことは誰も知らなかった。そこで六王が慌てて声を出す。


「あの王様!?」

「そうじゃ。それがどうした?」

「い、いやいや実はあの王様私も戦ったのよ」

「…実は俺もだ」

「僕も!」

「私もよ」


七王と八王以外は皆戦ったと主張する。そう、実はグラーリアは生粋の戦闘狂なのだ。


「あいつの強さは異次元だったわ、、、まず魔法を使わないなんて信じられなかった」

「ああそうだ。あいつは背中に据えている腰の剣のみで我を圧倒させていた」

「確かあの剣は大切な我が主人から貰ったものって言ってたな」

「我が主人って誰なんだろう?」


一王がその事について話すことはなかった。





王たちの謁見中に神聖グラーリア王国の王は興奮していた。


「ど、どうしたのかしらグラーリア様は?」

「おかしいわね。いつも顔一つ変えずに玉座に座っているのに、今日はどこかと嬉しそうだわ」

「あんな表情をしたグラーリア様見た事ない」


ーーついに我が主人が帰ってきた!主人様!先程は場所が分からなかった故お迎えに行くことが出来なかったことは申し訳ありません。

しかし!このグラーリア、あなた様の”魔”を興奮するほど感じました。

今すぐお迎えにあがります故少々お待ちください。


「フレイヤ、ここを出てくる」

「…どうかされましたか?」

「いや、いつもの見回りだ」

「私には少し嬉しい表情をしているようですが」

「む、そうか。…嬉しい、、違う。”興奮”だ」


普段アサシンとして活動しているフレイヤでも分からなかった。なぜ今日の王はいつもと違うのか。もしかしてさっきの原因が分からない重圧が原因なのか?

フレイヤはひっそりと王の後をついて行った。





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