第12話 今後の方針

 勝者は…艦兵sideだった。


 軽傷とは言え、何度も砲撃をくらったことによっていつのまにか満身創痍に。そこにとある艦兵の雷撃が見事直撃した事で沈む事になったのだ。


 とはいえ艦兵側も見事に満身創痍。これ以上戦うのは危険って奴だ。辛勝とも言う。

 しかし男級怨骸と言う強大な敵を味方と協力して打ち倒し、生き残ったのだからあのチュートリアル艦兵達の絆は相当深まっているだろう。抱き合って喜んでいる者も居れば、疲れて肩を貸してもらいながらもニッコリと笑顔を浮かべてる者も居る。


 そんなチュートリアル艦兵達は廃基地をサッと調べ、見つけた怨骸化艦兵武装を手に帰る事となった。


(…物語の強制力か?いや、現実である以上怨骸共がたまたま設置した可能性もあるな)


 俺の武装であるカタリナには一応解析機能があり、遠目からでも解析できる便利な代物だ。

 その解析機能でチュートリアル艦兵が見つけた怨骸化艦兵武装を解析したわけだが…


【怨骸化艦兵武装:カタリナβ】


 こんな鑑定結果が出てきた。

 恐らくカタリナを再現しようとして生み出された武装なのだろうが…まぁ、弱い。そもそも武装であるカタリナは、機能の盛りすぎで人工知能的なカタリナが居ないと武装:カタリナはまともに機能出来ないほどの状態になっている。


 にも関わらず再現しようとすれば大幅な弱体化するし、それこそ艦兵が生まれた初期の技術の武装を再現する事となる。つまり、一番重要なパーツが無いのだ。

 人間で言う脳が無い状態だ…そんなの弱いに決まっている。汎用型武装と良い勝負かもしれない。


(…でもそうか、カタリナを再現しようとしたわけか)

『マスター、私は再現不可です』

(そりゃ分かってるさ。お前の事は俺が1番よく知ってる)

『ではマスター、あの出来損ない武装の破壊許可を』

(…艦兵を巻き込むからやめとけ)


 もし破壊許可を出せば数十個の魚雷が水中から艦兵達に向かって発射されるだろう。どうやらカタリナはあの模造品が非常に気に入らないようだ。怨骸化艦兵武装であるオーブが埋まった目からかなりの不平不満を感じるが…我慢して欲しい。


 そんなこんなしているうちにチュートリアル艦兵たちは放棄された鎮守府に向かって帰っていった。確かゲームでは一度鎮守府に寄ってある程度直したり装備を整えた後に帰還する予定だったはずだ。今の状態で怨骸蔓延る海上を移動するのは危ないからな。


 移動していくチュートリアル艦兵達に着いて行って無事に鎮守府まで辿り着けたのを確認し、俺はそっとそこら辺の海底にある機械部品の小山に身を隠し、休息を取る。

 艦兵たちは鎮守府で休息を取るだろうし、その間に俺が今後やるべき事を纏めようと思う。


 まず、俺はストーリーにガッツリ関わって物語を変化させようとは思っていない。

 もしこの世界がゲーム通りのストーリーで進むならば勝手に進ませといた方がいい。何せ少なくとも大陸の一部を取り戻すところまではストーリーが公開されていたのだから。


 下手に俺が手を出して人類全滅なんて結果を出してしまえば明らかに俺が戦犯となるだろう。

 俺が令奈を連れ出したり、カタリナを入手したりしたのはストーリーに直接関係無いからだ。令奈は遺書、カタリナは記念品なだけだしな。重要な事に繋がらないからこそ手を出した感じだ。


 まぁ、もしストーリーが追加されてカタリナがキーアイテムになる可能性大だが…それはどうしようもないだろう。その時はその時で動くしかない。


 つまり、俺が手を出すのは第二章【哀華の連合】が始まってからの負けイベント以外の全ての負けを阻止する事だ。

 正確に言うならば…主人公が死なないようにする事だ。


 そしてもしゲームのストーリーから乖離した話だと判断した場合はガッツリ干渉する。正直言って俺が居なくなった人類は滅茶苦茶ヤバい状態になっている。

 自分で言うのもなんだが、俺は言わば戦場で輝く華だった。平級や騎士級相手に無双し、更に上位の強力な怨骸すら撃ち倒す。


 華々しい戦歴に憧れた後輩艦兵達は刺激されて意欲的に戦闘を行えていたのだが…俺が居なくなった以上、士気の大幅低下に加えて前線で戦ってた者たちが戦意喪失してしまっている。


 …つまり滅茶苦茶ボロボロな状態なのだ。

 おそらく侯級怨骸1匹だけが襲撃してきたとしても滅ぶ程にボロボロだ。

 一歩間違えば滅ぶ様な状態…出来るだけミスは減らさないといけない。


 更に言えば上層部だ。ぬるま湯に浸かった様な奴等が上層部に座った事で余計に人類がガタガタになっている。たとえ怨骸がどうにかなっても内部から崩れる可能性もあるのだ。


(…とりあえず、今は待ちだ。下手に干渉して人類が滅んだら元の子もないからな)


 俺はそう思いながら機械部品の小山から身体を出し、鎮守府のとある所へと移動する。



 ………複数の怨骸が襲撃してくるだろうしな。



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【作者からの連絡】


https://kakuyomu.jp/users/kan_a_alto/news/16818093084522285497


こちらに書いてある通りの事です。

しばらく更新停止する旨を書いていますので、理由が気になる方はお読みください。


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陸から追い出された人類が生きる為に 冰鴉/ヒョウカ @kan_a_alto

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