遅効性のち成功

「若いからどうにかなるよなんて時期はとっくに過ぎると、まだまだこれからだよと肩を叩かれて、次はもう十分じゃないかなんて言葉が変化してゆく。

皆悪意はないのだ、たちが悪いことに。きっとそうに違いない。だって笑顔で言うんだもの。そうでしょう。」

「罵倒の語彙力も良かれの言葉もそれぞれの記憶にしかないそうだ。つまり鏡として利用されているだけ。人にかけることで、自分に言い聞かせている。そういうこと。」

「たまに悪意がある人間が、それも底なしの汚泥のようなものを撒き散らす存在がいる。それだけは別枠として考えなければならないのだけれど。」


「じゃあさ、愛だの恋だのでベラベラと嘯くやつってなんなんだろうね」

残り少なかった安酒を勢いよく飲み干して、マドラーで氷をガラガラと無意味にかき混ぜながら眼前の人は言った。

「こういうこと?」

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