不思議な出会い

たかてぃん

第1話

それは、ある出張先での出来事でした

私は1週間の出張で1人でとある場所に来ました。

ホテルの最寄りから電車で5駅行ったところで、駅は無人駅、周りは山に囲まれたのどかな場所でした。


出張先が工場だったため、緑が多く出張なのにかなりリフレッシュ出来ました。

1日目の業務の後、その無人駅に戻ってきたら次の電車が来るまで1時間あったので、暇すぎて駅のホームをブラブラしていました。


すると、ホームの端にお便りノートという物があり、なんでも駅に来た人達の交流目的で設置したと書いてあった。

ノートはかなり古く、以前書かれたものなのか、色々と書いてあったが字がすり減っていて読む事が出来なかった。


今の時代、書く人もいないだろうと思ったが、あまりに暇だったので面白半分で書いてみた。


「東京から来ましたが、何も無くて暇で書きました笑

でも、のどかでいい場所で、ここに住むのもいいかもしれないって思いました!」


書き終わり、誰か書くかなという期待を持ちつつ、電車が来るまでの残りの時間はスマホで時間つぶししました。


翌日、再び無人駅に戻ってきた俺は、現場での業務前にあのノートを見てみた

何とそこには、コメントが書いてあった。


「ここに住む女子高生です!

東京いいなぁ

私も1度は行ってみたかった、、、

でも、ここを好きになってくれたみたいで嬉しい♡」


まさかの女子高生からのコメントで嬉しさが爆発した。

27にもなって女子高生と交流出来るとは思っていなかった。


俺は返事を書いて、現場に向かった。

その日の仕事はいつも以上にやる気が出て、早くに終わった。

現場から急いで駅に向かいノートを見ると返事が書いてあった。


嬉しかった。

1週間の出張で1人寂しい思いから解放された事が何より嬉しかった。


それに対しまた、返事を書く

その日から朝、女子高生からの返事を見て、俺の返事を書いて現場に向かい。

そして、現場から帰ってきて、また返事を見てから返事を書く。

俺の出張先でのルーティンになった。


でも楽しかった時間は短いもので、もう終わり。

7日目、最終日の朝になってしまった。

お別れを書かないとと思い、女子高生に向けた思いを告げた。


「1週間ありがとう。俺は今日が最後の出張で東京に帰ります。君がいてくれて本当に1週間楽しかった。本当にありがとう。」


別れというものは悲しく、少し泣きそうになった。

その日も現場での仕事を終え、ゆっくりと駅へと向かった。

日が落ちるのが早くなって、辺りは真っ暗だった。


駅に着くと仄かに光る蛍光灯がノートを照らしていた。

最後の返事を見るため、ノートを開くと唖然とした。

俺の頭は真っ白になる

そこには赤い文字で


「ここにずっといてくれるんじゃないの?

あなたもわたしをおいていくの?

逃がさない、絶対に逃がさない

逃さない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない」


正体不明の恐怖で俺は腰が抜けた。

こんな文字ホラーゲームでしか、見た事が無かったからだ。

でも、違ったこれは現実で起きている。


嫌な予感を感じ取った俺はその場でうずくまる。

電車が来るまであとどれ位か、いつも以上にその時間が長く感じる。


こういう時は嫌な予感が当たるものだ。

うずくまった俺の後ろから、ひた、ひた、と足音が聞こえる。


足音が止まるが、気配はずっと後ろにある。

振り返ってはいけないと言う考えと、振り向きたいという本能がせめぎ合う。

だが、本能には勝てない。


俺はゆっくりと目を開け後ろを振り返る。


「あ、、、あ、、、」


俺は声にならない声を漏らしていた。


目の前には全身血まみれの女性が立っていたのだ。


「ニガサナイ、アナタはワタシトズット一緒にイルノ」


目を閉じ、終わったと思った瞬間、大きなブレーキの音が聞こえた。

ちょうど電車が来たのだ。

電車の音と電車の光の安心感で目を再び開けた俺の目の前には先程の女性はいなかった。


電車が止まると急いでドアを開けるボタンを連打し、電車に乗った。

電車の中には他に2人ほど人がいたが恐怖で足が震え、目を開ける事が出来なかった。


その様子に乗客の1人が声をかけてきた。


「大丈夫?何かあったのかい?」


俺は今あったこと、1週間の出来事を全て話した。

話を聞いてくれた方は、ここの近くに20年住んでいたとの事で、何か思い当たるものがあったらしい。


聞いた話をまとめると

・あの無人駅の近くで昔、婚約者のいた女子高生がいた。

・女子高生の相手はしばらくの間、東京に出て新しい女を見つけた。

・女子高生はこっぴどく振られ、自○したとの事。


※詳しい話はかなり凄惨でここでお話出来ないのはお許しください。


俺は恐怖とは別に悲しさを覚えた。

その方にお礼を伝えると物思いにふける。

まさかこんな、漫画みたいな展開に会うとは思わなかった。

もう二度とこの場所に来たくない。

今回が工場の閉鎖の案件だったため、仕事で来る事も無くなる。


でも、彼女から逃れることは出来ない

いつの間にか胸ポケットにいられてた喉仏の遺骨がある限り。


※後日、お寺でお祓いしてもらい、その遺骨は供養してもらいましたので、今私は元気に生きてます笑

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不思議な出会い たかてぃん @takatin1020

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