第24話 同衾と添い寝
「そして何しれっと自分の
寝床に私のダメ男を連れて行こうと
しているのかしら??」
「…」
無意識的に、いえ寧ろ無自覚の内に
惚れた男を連れ込もうとした事にどうやら
他人に言われて初めて気付いてしまったようで
ゴザレッドは顔までも真紅に染めたまま
何度かガチ寝してるシンジの寝顔を見返して
そして私に振り返った。
「…ダメ?」
「ダメって…そんなの」
…???
ダメという事もないような気がする。
物の貸し借りは人間社会の中では当たり前に
行われている行為(らしい)の様だし、
それが機会になって交友関係が深まるのだと
(アンサイクロペディアが)云っていた。
「…」
「ダメで…ござるか?」
シンジはよく観察すると
何やら口元をグニャグニャと動かしている様子。
魔王聴力によって拾えた寝言は「友…達…」と
宣っていた。
(これは上下関係なんて下らない要素への
拘りから脱却した思考力を持てない、
バカシンジから
『Neshiar is my BFF A. K. A.
ZUTTOMO』
という言質を引き出すチャンスね…!)
パラソムニアでも何でも、
本人が発してさえしまえばそれはもう
まごう事なき友達宣言なの。
友達宣言をしてしまったが最後、
私とシンジの関係は上下でもありながら
対等でもある友人関係へと変わる。
「許可するわ。
見せてつけてやりましょう、
新しい時代の友達って奴を…!」
「えっ嬢ちゃんも一緒にでござるか!?」
「あら? イケナイかしら」
「え、あー…」
「なるほど」
どうやら
「安心なさい。
私は2人が盛っているのを見て
調書を取るだけにしておくから」
「そ、そんな事考えてなかったでよ?」
はい、ダウト。
最早心の中を除くまでもなく。
顔が赤過ぎていっそ白いし、
眼球運動も右往左往してまるで落ち着きがない。
「夜這いという奴よね。心得てるわ」
「心得られてないでござるよ…」
カウンターの裏側は
小さな仮眠室になっているらしく
徳利と酒臭い瓶の転がる布団にシンジを
投げる。
「コイツこれだけ乱暴に扱っているのに
全然起きないわね」
「かなり疲労したのでござろう」
「もしかしてビーチで既に複数回にわたって
◯姦して来た後だったの?」
「あ、あお…流石にそんな真似は…恥ずい」
「ふ〜ん」
「ホントーにまだしてないで、ござる!」
これは本当らしい。
なら逆に夜の海で疲れが溜まるような
ナニをしたというのだろう??
纏っている服を脱ぎ捨てたござるは
寝顔を眺める為にシンジの真横に寝そべる。
意外な事にすぐさまシンジを食べるような真似はせず、手を握ったまま静まりかえってしまった。
そして一言だけ。
「シンジは…主の事を守ったのでござる。
今までもこれからも…良き男子じゃ」
そしてフニャけたシンジの頬にキスをして、
そのまま眠りこけた。
「つまらないわ…」
折角シンジと酒狂い女がナントカフレンドになる
瞬間を見られると期待していたのに。
スフレ?だったかしら…
「…」
どうしてか分からないが、
私も身に纏う物を一切脱ぎ捨てて
バカなフニャけた寝顔を間近で観察してしまって
いた。
「意外と普通な顔をしているのね」
今日はとことんに不可思議なことばかりだ。
何か…女の身体であるが故の矜持…みたいなものもそのひとつだ。
料理が出来るチャラい女にも、
酒癖と手癖の悪いサムライ女にも、
何というか———
(シンジは渡さない…?)
これは私のものなのだと、完全に理解させたい。
私以外の全ての女に。
何なのかしら、この心。
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〜再転生先は、ぼっちな魔王様の奴隷でした〜 溶くアメンドウ @47amygdala
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