多分、怖くない話。
豆ははこ
怖くはないはずです。多分、きっと。
とても若い頃、女子高生の豆。
いわゆる豆高生時代のお話でございます。
日本史はほぼ満点、世界史はぶっちぎりの赤点と、世界史の教員の精神力をゴリゴリと削り取ったりもしていましたが、実は豆高生、いわゆる学級委員的なものも務めておりました。
そして、何故かその頃は、学級委員と副委員の合宿などもありました。
部活動の生徒の合宿棟みたいなところに集まり、学級委員と副委員の高校生活に於ける役割、みたいな話し合いをしたはずなのですが、それなりに成績もいい子達の集まりなのでだいたい話したらあとは自習、みたいな感じでしたね。
豆高生も、世界史は壊滅的でしたが、日本史と国語くらいならまあ質問されましても教えてあげられるので、教えてもらったり、解き方を話し合ったり、たまには教えたりもしておりました。
そのあとは、ほぼ自由時間。
全員ジャージなので、校庭に出たり、だらだらしたり。割と楽しかったです。
豆高生はもちろん、だらだらしたりしていました。
そんな感じで無事に、布団を敷いて、あとは就寝時間を待つだけ、となりました。
「……ごめん、この場所、変わってくれないかな?」
そう言われたのは、そういうのが分かる(らしい)子からでした。
分かる子曰く、豆高生は霊感がほとんどないらしく、その場所に寝ても、多分大丈夫だろうと。
そんなことを言われた、豆高生。
何故か、場所の変更を了承してしまいました。
どうして、了承してしまったのでしょうか。
多分ですが、ほとんど霊感がない、というその子の言葉を信じたからではないかと思います。
あと、単に、豆高生は早く寝たかったのではないでしょうか。
それに、周囲の皆も、そんなことを言われて場所を変わる物好きはおりませんでしたから。
場所替えに応じる、これが、一番早く眠ることができる方法だと思ったのでしょう。
そんなこんなで、場所を変わりました。
消灯時間とともに、豆高生、熟睡です。
ですが、やはり。
足首をつかまれているような、おかしな感触。
脂汗をかいているような感覚。
……これ……言われたやつでは?
声が出せない、とにかく何かを!
豆高生、頑張りました。
何かをしようとはしたのです。声は出ませんでしたが。
そうしまして、なんとか目を開けましたら。
もう、(多分)明け方でした。
例の、場所を変わってくれと言ってきた子は起きていました。
すると、彼女からは。
「大丈夫かと思ったんだけど、ごめん」
こう言われました。
実際の豆高生、かなりうなされていたようです。
脂汗は、かいてはいませんでした。
「でもね、今回でこれくらいなら、もう大丈夫だから」
……確かに、それ以来、こういう体験も、ああいう体験も、してはおりません。
実は、ある意味、安心してもおります。
ただ、場所を変わってくれと言ってきた子。
あの子はあれ以降、大丈夫だったのかなあ、と。
ごくたまに、そう思います。
※公式自主企画応募期間が終了いたしましたので、豆高生と世界史の教員の話のリンクを貼らせて頂きました。黒歴史公式自主企画、KAC2024参加作品です。
『多分、ささくれ。』。よろしくお願い申し上げます。
多分、怖くない話。 豆ははこ @mahako
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