第2話 おかえり

「ただいま!」

「おかえり。入って」

「お邪魔しまーす!」



彼女の名前は、比高七夏。

大学時代に意気投合して付き合った。大学を卒業した後も関係は続いている。

少々事情があるせいで彼女とは1年に1回、この時期にしか会えないのだが、それでもいいと思っている。なぜなら毎年のこの上ない唯一の楽しみだからだ。


「あ!大きいスイカあるー!食べよ食べよっ!」


飾っておいたスイカを見つけた途端、彼女は目を輝かせて一緒に食べようと誘ってきた。


「今切り分けるから、待ってて。」


両手でスイカを持ち上げ、キッチンへと運ぶ。

包丁を取り出し、まずは半分に切っていく。

ザクッ…ザクッ……。

パカッと綺麗に切れた。甘い香りと共に真っ赤な果肉が現れる。黒い種もチラホラとそこに散らばっている。美味しそうだ。更に食べやすい大きさに切っていく。


彼女の方に目をやると、何やら部屋の中を物色しているようだ。こら、面白そうなものなんてないからやめなさい。と、心の中で叱った。


2人で食べる分にカットできた。残りの分はまた後で使おう。冷蔵庫に入れて…っと。


「お待たせ、切り分けたよ。食べよう」

「やったー!ありがとう〜!」


しゃくっ、しゃく。ひと口ひと口、齧る度に果汁が口の中に広がる。奮発して買った甲斐があった。流石農家さんのスイカ。甘くて美味しい。正しく脱帽ですわ。ありがとう。


「美味しいね、このスイカ!いくらでも食べれちゃうよ〜!」

「ほっぺた落ちちゃうくらい甘いもんね。まだあるから、ゆっくり食べよう?」

「うん!」


涼しい部屋の中でスイカを食べながら、2人で楽しく談笑した。

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きみと過ごす夏の日 もち @yzk_mochi

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