魔女と呼ばれた女

 超新星ってのは、死にゆく星の放つ最後の光だ。

でも、死んだって跡形もなくなるわけじゃない。超新星爆発は輝く星雲を遺し、新たな星が産まれる手助けをする。


『えーっと、S.D.の皆さん、初めまして』


オレは死ぬまでレーサーだ。たとえマシンに乗れなくなっても、どんな形でだってフォーミュラに関わっていたい。


『2046シーズンからディー・ルーセル・カゲツ選手の専属トレーナーフィジオを務めます、照――』


おっと、間違えた……もう四六時中イメージトレーニングする必要もないんだし、考えごとしながら話しするクセはいい加減治さなきゃな。


『――茉莉花・ルーセル・カゲツです。よろしくお願いします』


右手の薬指を飾る指輪が、冬の柔らかな陽射しを受けて金色に煌めいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ジャスミン・ラブ 黒井咲夜 @kuroisakuya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ