文章のリズムについてマジで考えてみた

短編小説の話なのかわかりませんが、、

いや、短編小説は短いからこそ、読まれ方に気を配る必要があるんでは? というわけで。



少し前に、紅玉いづきさんの、『ミミズクと夜の王』という小説を読んで、その言葉のリズムに感動しました。


で、ちょっと繋がったことがあり。


合わせてですが、久しぶりに、

アーシュラ・K・ル=グウィンという作家の、『文体の舵をとれ』というエッセイを読みました。

まあ書き方系の本ですが、『まずは言葉のリズムが大事』みたいなスタンスで書かれていました。

基本的に僕は、文章から感じられるリズムが好きなのです。



もう少し話がとっ散らかっていきますが、

僕は一時期ドラムなどのパーカッションをかじってました。

リズムを打つときは、いろいろとテクニックがあるのですが、『反復とずらし』が根底にあったと思います。


たとえば、

タンタカタン

という、リズムのテーマあるとしたら、


タンタカタン

タンタカタン

タタンタタン ←ずらす

タンタカタン


これがずらしであり、音楽ではシンコペーションとかって呼びます。

単調だけど陶酔的な反復の中にずらしを入れることで、やがてグルーヴが生まれます。


これを小説で説明すると、

『韻を踏みながら、韻をずらす』ってことかなぁとか。



そこで考えると僕は、理解を阻害しないピュアな言葉で、リズムを刻んでいるものが好きだな、と感じました。


さらに、音素の律動から、色や映像、感情のうねりになったものが、小説なのかも、と思います。



まあこれだと、感覚的になりすぎて、複雑な話を描きにくそうですが。。

いや、複雑な話だからこそ、素敵なリズムで演出(ごまかす)のが書き手の技でしょうかね。



やばい、、

話がふわっとしすぎているので、実際の文章で説明します。



まず自作の長編小説の、蛇霊記を題材にします。

https://kakuyomu.jp/works/16817330656184798794/episodes/16817330656185864768


▼蛇霊記より

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 ふと目をあけた鹿彦を迎えたのは、壁の隙間から射しこんでくる朝日であった。

 まばゆい白光にさらされながら、長いあいだ鹿彦は呆然としていた。

 よほど深い眠りについていたようで、視界にはいる様々なものが目新しく見えた。

 天井から吊るされた土瓶の黒も。棚に載ったひびだらけの器や茶碗も。たがの曲がった水桶も。土間におかれた釜や薪も。

 あらゆるものがその朝に産まれ、はじめの光をあびているようにすら思われた。

————


基本的に、『ラーラーラーラー』みたいなリズムなんですが、後半でいったん、『ラーラーラー』が続き、また元に戻ります。


これがシンコペーションだと思っています。

同じリズムが続きすぎると退屈だし、乱れすぎると読みづらいので、この、『基本は揃えてたまにずらす』のが心地よいと思います。


世の中のいろんな音楽も、この反復とずらしが基本にあるので、聞いてみてください!

お経とかも、そんなところがありますよ。




ちなみにこの、苺パンナコッタとかは、わざとリズムをガタガタにしています。

https://kakuyomu.jp/works/16817330654099021957/episodes/16817330654099339253


▼苺パンナコッタ より

————

 俺は姉さんと叔父さんと、ファミレスにきていた。

 土曜日の午後2時だった。折りいった話をするために。

 というか、俺の大学の学費を支援してくれる話だった。ありがたいことに。

 叔父さんは土建屋の社長で、亡くなった父さんの弟だ。

————


これだとリズムのちぐはぐさが、荒っぽい感じを出していると思うんです。

まあガタガタだけど、特有のリズムもありはします。

音楽だとパンクやラップ的な。



やはり文章を読む時って、頭の中で朗読します。

音にしたときに、音楽理論をもって心地よくするって、大事だと思うのです。



……というわけで、言葉やイメージのリズム。韻を踏みつつ、韻を壊す。その先のシンコペーションとグルーヴ、みたいな話でした!


変わったこと考える奴がいるなー、くらいに思っていただけると嬉しいです。

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