U・Kへ

蒼井 狐

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 あなたに手紙を書くのは、付き合って一年目の記念日に書いて以来です。それからもう四年が過ぎ、時間の進みとは早いものだなと感じています。

 私は自殺未遂をしました。それは、あなたと別れた数ヶ月後のことです。たまらない後悔と寂しさ、空っぽの日々に嫌気がさしたのです。あなたと付き合っている時、約束をしました。別れた後にそれが原因で死ぬなんて無しにしようね。そうあなたに言われました。死のうとはしましたが、死に至らなかったので、約束は守ったように思うのです。

 手紙を書こうと思ったのはこんなくだらない自殺未遂の報告のためではありません。理由なんて特にないのです。ただ、書き始めにどんなことを書こうかと考えたときに最初に出てきたのがそのことだっただけです。

 あなたは今何をしているのでしょう。私があなたについて知っているのは、当時の友人たちの連絡先を消してしまって、音信不通になっていることぐらいのものです。同じ地域にまだいるのでしょうか。そもそも生きているのでしょうか。私はあなたに似た人を街で見かけては、弾むような、緊張するような、怖いような、どれとも言えない心臓の動きを感じています。あなたもそうなのでしょうか。

 夢を追いかけていますか。絵をずっと描いていますか。当時の私はあなたと違い、心の底から叶えたいという夢はありませんでした。ですから、あなたの絵を描く姿は眩しかったのです。あなたが頑張っている姿に、小さな嫉妬を覚えていました。ですが、私があなたと別れ、夢を持つようになり、わかりました。夢を追うとは、苦しいのだと。それを応援してやれなかった私は、ダメなのです。今更ごめんなさいと言っても、あなたのことですから、決して謝って欲しいだなんて思わないことでしょう。

 あなたと別れ、二年経っているにも関わらず、忘れきることができずにいます。あなたの部屋に置いてあった本を思い出して、購入し、読んだり、貰ったものを見返してみたり、あなたが好きだったことをやってみたり、あなたに貰ったリングを今でもつけていたりするぐらいです。余韻が静かになってくれないのです。それは、まだあなたと結んだ一つの約束を果たしていないからでしょう。覚えていますか? この約束もあなたから言われたことです。別れたら、その時にはお互いがあげたプレゼントは返そうと。だからあなたに貰ったものは全部残しています。そのせいであなたを忘れられず、たまに貰ったものを見返しては泣くのです。

 私があなたに貰ったリングをずっとつけているのは、あなたとばったり会ったときに返せるようにするためあるんです。

 リングには、一度つけたら外さないで、なんてあなたらしい言葉が英語で彫られています。あの時、あなたは、どうせリングなんて邪魔になって外してしまうんでしょ、一回外したらつけるのなんて忘れてしまうんでしょ、と言って泣いていました。私はその時、ずっとつける、外さない、とあなたをなだめました。だから今でもつけているのです。あなたに会った時、言ったことが嘘ではないと信じてもらうために。

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