【最終回】“生”は最高っす!
土曜日を迎え、ボクと陽菜さんはバイト先の“マコール”の開店準備をする。準備中でも、昨日彼女から聞いたあの内容が頭から離れない。
佐下君の友達? が言った『“マコール”って店は、エロいおばさんが集まるところなんじゃね?』の事だ。もし彼らが面白半分で店に来たら、女性客が不安になってしまう。それだけは避けないと!
開店時間になり、ボク達はそれぞれお客さんの相手をする。ここで働き出した頃と比べたら、ボクと一部の女性客の壁はなくなりつつあるような…。
さすがに全員は無理だけど、少しでも多くのお客さんから信頼されるように頑張ろう!
昼近くになり、店外から何やら視線を感じるようになった。気になって確認すると、佐下君が近くから店内を観察してるじゃないか!
周りに友達らしき人は見当たらないけど、本当に“マコール”に来たぞ。すぐ陽菜さんに報告しよう。
「陽菜さん、アレ…」
ボクは手が空いている彼女を小声で呼び、彼に悟られないように注意を向かせる。
「佐下君じゃないですか。本当に来たんだ…」
「あのまま店内をジロジロ見られると迷惑だから、声をかけてくるよ」
「わかりました。店の事は任せて下さい」
「ありがとう」
ボクは店を出て、佐下君の元に向かう。
ボクが佐下君の元に着いて間もなく、彼に気付かれた。店に意識が向いてると思ったのに…。
「兄貴。俺に何か用っすか?」
「兄貴?」
何でそんな風に呼ぶんだ?
「古川さんがあそこで3年バイトしてるのは、こないだのおばさんから聞いたよ。好みじゃないとはいえ、Hできたのは兄貴と姉貴のおかげっす」
姉貴は陽葵さんの事だな。確かにボク達が出会ったり“マコール”でバイトするようになったから、巡り巡って佐下君は吉井さんとHできた事になる。
『兄貴』呼びは、彼なりに感謝してる証拠か。
「俺はここでタイプのお姉さんが来るのを待ってるので、邪魔しないともらえると助かるっす」
「そういう訳にはいかないよ。不審者に声掛けするのはボクの仕事だから」
「不審者? 俺が?」
「君が店内をジロジロ見てると、お客さんが下着を選びにくいんだ」
「兄貴の前で選んでる人いたじゃん?」
「その人達は常連なんだよ。最初はすごく警戒されたけどね…」
「……」
佐下君は考え込んでいる。
もう一押しすれば何とかなるか?
「君は受験生だから、問題を起こしたら推薦に関わるんじゃない?」
「それは困るなぁ…」
「でしょ? だから店の周りから離れてくれると助かるよ」
「…わかったっす。最後に、1つだけ良いすか?」
「どうしたの?」
「女の下着の店でも、男は採用されるもんなの? 兄貴はコネ?」
「いや、普通に面接を受けて採用されたよ。『男目線の下着選び』と今のような『声掛け』を理由に、店長さんが男手を必要としてたんだ」
「なるほど、良い事聞いたっす」
「あの店に応募する気なの?」
「いや、別のところ。俺の志望校の近くに、そういう店があったら受けるつもりっす。今の兄貴の話は参考にさせてもらうよ」
余計な事言っちゃったかな? その店の店長さんの判断に委ねよう。
「だったらボクも、佐下君に1つだけ訊きたい事があるんだ」
「何すか?」
「吉井さんは何で“マコール”の事を君に教えたの?」
彼女が意味もなく教えるとは思えないんだよな…。
「あのおばさんは生をOKするぐらいドスケベだったから、『常連』について詳しく訊いたんだよ。別に変な事じゃないだろ?」
「そうだね…」
真面目な陽菜さんと吉井さんの関係が気になってもおかしくない。
「んじゃ、俺はこれで」
これで彼が帰れば、“マコール”に平和が訪れるな…。
「そういえば兄貴って、姉貴か古川さんと生でヤった事ある?」
帰り間際、足を止めて振り向いた佐下君がとんでもない事を訊いてきた。
「ないよ…」
「生は最高っす! 早くヤった方が良いって!」
そんなセリフを残し、彼は去って行った。
生か…。部屋でHする時に、2人は足を広げて“下”を見せてくれる。回数を重ねる度に時間は増えてるものの、恥ずかしそうな様子は変わらないな…。
前々から気になってたし、今日2人に本番をお願いしてみよう。明日は日曜日で“マコール”は定休日なうえ、学校もない。タイミング的にベストなはずだ。
ボクはそう決意してから、店に戻る。
店に戻ると、陽菜さんが心配そうな顔をしながらボクの元に来た。
「朝日さん、大丈夫でしたか? ずいぶん長かったですけど…」
佐下君と思ったより長く話してたからな。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「それなら良かったです。昼休みまで頑張りましょう!」
「そうだね」
夢中になって頑張っていたら、あっという間に昼休みになった。陽菜さんは勉強するために昼食後に退勤なので、もうすぐ来る陽葵さんと交代する。
陽菜さんに『本番』について言うのは昼食中の今しかない。幸い、相沢さんはスタッフルームにいないから2人きりだ。
「陽菜さん。お願いがあるんだけど…」
「もしかしてHに関する事ですか?」
「何でわかったの?」
「何となくですが、佐下君の長話が関係すると思ったんです。『本番』の事とか言ってませんでしたか?」
「言ってたよ。“生”でヤったみたい」
「その話を聞いてヤりたくなったと…」
「うん…」
陽菜さんはなんて言うんだろう? 緊張しながら次の言葉を待つ。
「……遅かれ早かれ、こうなりますよね。今日ヤりましょう」
「良いの?」
「はい。もしかしたら、お姉ちゃんはあの日かもしれませんけど…」
「ありがとう」
彼女の負担を最優先に考えないと!
その話をしてから数分後、陽葵さんがスタッフルームにやって来た。彼女にも『本番』の話をしたら、喜んでOKしてくれたよ。どうやらあの日じゃなかったみたいだ。
それにしても、一体どんな流れになるのか。まったく予想ができないな…。
夕方にバイトを終え、ボクと陽葵さんは急いで帰宅する。すぐ帰ろうとする様子に相沢さんが不審がってたけど『本番をするために急いで帰るんです』なんて言えるはずもなく…。
そしてボク達は帰宅する。玄関に入って早々、陽菜さんが来てくれた。
「朝日さん・お姉ちゃん、おかえりなさい」
靴を見る限り、陽子さんは在宅中か…。
「お母さんには正直に言っておきました。途中でノックされたくないので…」
それはありがたいような、恥ずかしいような…。
「朝日君。母さんからもらったゴム持ってる?」
「もちろん」
ついに使う時だ!
「陽菜。アタシはお風呂入るから、朝日君の相手お願い」
「任せて。朝日さん、行きましょう」
「そうだね」
お父さんの部屋に着いてから、ボクと陽菜さんは服を脱いで体を重ねる。お互いヒートアップしてる時に、お風呂上がりの陽葵さんも加わる。
3人で色々やる事で全員気持ち良くなり、ついにその時を迎える。
「お姉ちゃん、先にお願い」
「アタシで良いの? 朝日君も初めてなんだよ?」
「朝日さんに最初に知り合ったのはお姉ちゃんだから。それに、お姉ちゃんの反応を見てイメージトレーニングしたいの」
「そういう事ね。朝日君もそれで良い?」
「良いよ」
ボク達は深呼吸と準備をしてから、本番を行う。
「陽葵さん、大丈夫そう?」
「まぁね。動くのはアタシの体が慣れるまで待って欲しいな」
「わかった」
「お姉ちゃん、どんな感じなの?」
隣で見つめている陽菜さんが尋ねる。
「体が朝日君のあそこに合わせようとしてる。なんて言うか、支配されたみたい♡」
「そうなんだ…」
「朝日君。ゆっくり動いて良いよ♡」
陽葵さんの許可をもらったので、動いてみる。
「凄すぎる♡ 癖になりそ~♡」
ずいぶん嬉しそうだ。ボクもやる気が出てくるよ。
そんな風に十数回動いたら、彼女が突然制止してきた。
「陽菜の相手もしてあげて♡ ハーレムなんだから♡」
この状況で陽菜さんを想うのか。優しいな。
「朝日さん。わたし、我慢の限界です♡」
2人のリクエストに応え、第2ラウンドを始める。
「…これがさっきお姉ちゃんが言ってた『体が合わせようとする感じ』なんだね♡」
「そう。凄いでしょ?」
「うん♡ 身も心も朝日さんに支配されるよ♡」
その感覚をボクは知る事ができない。でも2人が満足そうだから、細かい事は良いや。
ある程度時間を置いた後、ボクは再び動き始める。
「この感覚を知ったら、元に戻れないよ♡」
「陽菜もハマったみたいだね。朝日君、交互にお願い♡」
「了解」
それから適度に動いて入れ直すという行動を何度か繰り返し、最後はぶっかけて終わった。
「ねぇ朝日君・陽菜。アタシ考えてた事があるの」
全てが終わった後、陽葵さんが口を開く。
「どうしたの? 陽葵さん?」
「将来はやっぱり、3人で頑張る方向にしようよ!」
「お姉ちゃんもそう思った? 実はわたしもなの」
どうしてこのタイミングで言い出すんだ? 前回話した時に結論は出なかったのに…。(38話参照)
「さっき陽菜が言ったでしょ? 『身も心も支配される』って。あの感覚はアタシもあったの。アタシ達は、朝日君の虜になったんだよ♡」
「そういう事です。3人で頑張る障害はたくさんありますが、少しずつ乗り越えましょう。わたし達ならできるはずです!」
現実的な陽菜さんがそこまで言うなんて…。元々ボクはその方向を望んでいるから、意見が合うのはありがたい。
「そうだね。陽葵さんと陽菜さんがいれば、何があっても大丈夫だよ!」
「よ~し、早速母さんにこの話をしようよ。“善は急げ”だよね」
「説得は大変だと思うけど、わたし達の誠意を見せればきっと…」
ボクも頑張って陽子さんを説得するぞ! 3人は覚悟を決めて部屋を出る…。
【完結】肉食系母娘に翻弄される日々 あかせ @red_blanc
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