面白い作品とは

大輪田ミナト

 


 面白い作品が書きたい。


 これは、小説を書いている方々なら常日頃から思っていらっしゃることではないでしょうか。

 私もそのうちの一人です。


 しかし、「面白い作品」というのはあまりに漠然としていて判断のしようがない。

 そこで私は考えました。ならば、面白い作品を評価する基準を考えれば良いじゃないかと。


 ということで、私が思う「面白い作品」を定義する、5つの項目を決めました。

 我ながらよくできていると思うので、ご自身の作品を見直す際、または行き詰まって何が足りないか分からないときなどに参考にしてみてください。


 さて、ここで3つほど注意があります(多い)。


 第一に、この項目は主に漫画原作のアニメを基にしてつくっています。そのため、web小説とは異なる点があるかもしれません。


 第二に、この評価基準は加点方式であり、言わば作品のポテンシャルを表すものです。

 テンポが遅い、筆者の文章力が低い、アニメなら作画崩壊がヒドいなどの減点対象となる事は一切考慮していません。


 第三に、本稿は面白い作品の書き方について考えるのではなく、面白い作品とは何かについて考えるものです。

 したがって、具体的な書き方などは一切ありません。

 ご自身の作品がこれらの基準を満たせているかどうか、チェックシート的な感覚でお使いください。

 (そもそも私はド底辺作家なので、具体的なことなど何も書けません)




 以上3点を加味したうえで読んでいただけると幸いです。


 それでは5項目見ていこう!の前に。

 正直、いくら面白い作品の基準をつくったところで活用できなければ意味がないと思うので、まずは比較的意識しやすそうな3項目からあげていこうと思います。


1.キャラクターの魅力


 分かりやすいですね。作中のキャラクターに惹かれるかどうかです。

 名作と呼ばれるアニメや漫画を思い浮かべていただければわかると思いますが、キャラクターに魅力のない作品は皆無だと思います。

 逆に言えば、キャラクターに魅力さえあればそれだけで作品は成立します。日常系なんてまさにそうですよね。


 私自身、どうすればキャラクターに魅力が生まれるかは分かりません。

 しかし、キャラが薄いもしくはブレるといったことはその反対な気がするので、まずはそこを避けてみてはどうでしょうか。



2.見どころがあること


 単純明快、そのまんまです。読者が読んでいて、視聴者が見ていて、ついつい引き込まれるもしくはすげぇ!となるようなシーン。


 とは言いつつ、でも見どころってなんだよと。


 一番分かりやすいのは、バトルシーンでしょう。

 大抵の有名ジャンプ作品には、手に汗握る白熱のバトルシーンがあるはずです。

 テレビの大画面で繰り広げられる、神作画のバトルシーンはまさに圧巻。


 また、恋愛モノなら告白のシーンやキスシーンも見どころのうちでしょう。

 主人公、もしくはヒロインが意を決して気持ちを伝えるシーンには、キュンキュンかニヤニヤかは分かりませんが、感情が昂らせられます。


 他にもお仕事系なら、独自の作業シーンなんてのも見どころでしょう。


 そして、これらを並べると思うのは、見どころというのは物語の山場が多いということ。

 要するに、盛り上がるところでちゃんと盛り上がる、受け手の感情をより大きく揺さぶることができるのが面白い作品だと思います。

(言われてみれば当たり前)



3.ストーリーの分かりやすさ


 読んで字のごとくです。どういうお話かが分かりやすい、つまるところ説明しやすい。

 これはジャンプ漫画に分かりやすいものが多いですね。


ONE PIEC◯

 →ルフ○が海賊王を目指して戦う話。


鬼滅の◯

 →竈門炭◯郎が、鬼になった妹を人間に戻そうと奮闘するお話。もしくは、鬼◯隊のみんなが鬼を滅しようと戦う話。


キングダ◯

 →信が天下の大将軍を目指して戦う話。 


 他にも例をあげれば、


ヴァイオレット・エヴ◯ーガーデン

 →自動手記人○の主人公が、「愛してる」を知ろうとする話。

 

宇宙よりも遠◯場所

→女子高生たちが、南極を目指す話。


 主人公(たち)の行動原理、動機が分かりやすいとも言えるかもしれません。


 登場人物たちは何のために戦うのか、そんなアクションを起こすのかが分かりやすい。

 それは読み手にとってとても快適なことだと思います。

 最終的なゴールが定まっていれば、たるまない限り常にストーリーが進んでいる感覚も得られていいですね。

 また、そうすれば途中で切る、という現象も起こりにくくなるでしょう。


 それこそ麦わ○の一味がどれだけ道中手こずっても、いずれ海賊王になると分かっているから見ていられる、というのはありますよね(本当になるかどうかは知らない)。



 さて、ここからは真似するのが難しい分野になります。

 そして以下の内容はweb小説では必ずしも必要とは言えない分野だと思うので、取り入れるかどうかはあなた次第。



4.伏線回収


 でました、面白い作品がよくやるやつ。

 これがなくても面白い作品はいくらでもありますが、ビタッとはまった伏線回収をされると面白さが格段に上がる気がしますよね。


 ONE PIEC○や進撃の巨○などは、これが特に有名だと思います。


 しかし一つ重要なのは、漫画とweb小説(特に小説家○なろう)ではユーザーの嗜好が違うこと。

 漫画では長く伏せられた伏線は歓迎され、天才的などと評価されることもあります。

 しかし小説家になろ○では何百話ぶりの伏線回収など、おそらくみな気付かないか忘れているでしょう。


 なので、これをやる際にはよく考えて。


5.構成力


 ストーリーを見せる順番とでも言いましょうか。

 4.の伏線回収とも通ずるところがありますね。

 要するに、未来の話や回想シーンの使い方ということになります。


 例えば五等分○花嫁。

 この作品は、新婦の名前が隠された結婚式のシーンから始まります。

 そして時が遡り、主人公の前に5人のヒロインが現れて高校生時代の本編スタート、という構成です。


 これにより読者は、5人のうち選ばれるヒロインは誰なのかと予想をしながら読んでいくことになります。

 この作品はキャラクターが超魅力的なので、時系列通りに見せて最終的にこの子と結ばれました、というオチでも楽しめると思います。

 しかし、最初に結婚式を見せられたほうが圧倒的に面白くなりますよね。

 これは未来の話に限らず、回想シーンの使い方なども当てはまると思います。


 また、視点の変更というのもある意味構成力にあてはまるのかもしれません。


 例えば、魔法少女まどか○マギカ。

 この作品の第10話「もう誰にも頼らない」は、一度見た人なら忘れられない神回でしょう。

 この話で視点変更をすることによって、今まで主人公や視聴者は知らなかった物語の全貌が明らかになります。

(気になる人は見てみてね)


 このように時系列や視点をいじるだけでも、面白さが格段に上がったり(下がったり!?)するのが分かると思います。


 また余談ですが、こちらもなろう受けはしない技法だと思うので、やる時はうまくやってください。

(どうやるのが良いかは分からない)




 さて、ここまで「面白い作品」とは何かについて考える5項目を提示しました。

 でも、なにか足りない気がする。そう思われた方もいるのではないでしょうか。


 はい、ズバリ「面白い作品」を決定づける要素はあと2つあります。

 ですが、この2つは真似できないものなので、別枠とさせていただきました。

 それでは最後の2つ、見てみましょう。




 6.クオリティ


 はい。面白い作品には不可欠。でも、一朝一夕でマネできるものではありません。

 これは作り手の努力次第です。みなさん、一緒に頑張りましょう(泣)


 具体的には、小説なら筆者の文章力でしょう。

 すなわち語彙力や表現技法など。

 アニメで言うなら、作画でしょうか。


 これこそ曖昧すぎて基準にならないんですが、事実なので言っておきます。

 また、これは最終的に作品の評価を決める最重要ファクターである気もします。


 改めてみなさん、頑張りましょう(泣)



7.秀逸な世界観、設定


 最後の項目です。どういうこと?と思われるかもしれません。

 あえて言い換えましょう。これぞオリジナリティです。


 そして、なぜ私がこれを5項目に含めなかったのか。それは、天才にのみ許された御業だからです。


 これこそ例をあげると分かりやすいでしょう。


進撃○巨人

 →人を喰う巨人から逃れるため、人類が三重の壁の中で暮らす世界。


東京喰種 トーキョ○グール

 →人の見た目をしながら、人しか食べられないグ○ルという人々?が存在する世界。


メイドイ○アビス

 →一度降りると呪いで戻れない秘境の大穴アビスと、そこに挑む探窟家たちがいる世界。


五等分の花○

 →超絶美少女で全員そっくりな五つ子の家庭教師をすることになる。


 どうですか?

 ほんの少しの設定を聞いただけで面白そう!ってなりませんか?


 実際、「面白い作品」を書くうえでもっとも重要なのはこの項目だと思います。

 なぜなら、世界観や設定が秀逸なだけで、全てがその作品の色に染まるからです。

 たとえストーリー自体は王道のありふれたものであろうと、世界観が良いだけで全て特別に見えます。


 しかし、これは上の6項目と違って努力すれば伸びるものでもないと思います。

 なので、最後の最後に書いておきました。


 私自身、オリジナリティあふれる作品を書いてみたい!と思うことはありますが、なかなかふってきてはくれません。

 我々凡人は、常日頃からヒントとなり得るものを探すしかないんだと思います。


 とはいいつつ、web小説の読者様というのは真新しいものには抵抗があると思います。

 ありきたりは嫌だけど、ほんの少し他と違うのが読みたい。

 おそらくそんな読者様が多いはずです。

 なので、web小説なら我々凡人にもチャンスは十分あるのではないでしょうか。



 さて、せっかく自分の作品が面白いかどうかを考える項目を作ったので、実際に点数化して採点できるようにしましょう。

 本稿では皆さんが真似しやすそうな順番で項目を示しましたが、そのまま1〜5の項目で考えるのはナンセンスな気がします。


 ということで、7つの項目の中でも以下の5項目を、各種2点満点の計10点で計算してみてください。


・キャラクターの魅力        

・ストーリーの分かりやすさ     

・見どころでの感情の揺さぶり具合  

・伏線回収             

・秀逸な設定、世界観


 さて、ここでご自身の作品を評価して、点数の低さに絶望した作家様もいらっしゃるかもしれません。

 ですが、それには及びません。

 この評価項目では、4点を超えていれば十分にポテンシャルが高い作品と言えます。

 アニメで考えれば、6点を超えれば良作、8点を超えれば傑作だと思います。


(もっともこれは、アニメ化作品ということでクオリティが担保されているからこそ言えることですが)


 また、今回は分かりやすく各2点の計10点満点としましたが、作品の「面白さ」ではなくリアルな「評価」を考えるなら、以下のような採点だと思います。(特にweb小説では)


・キャラ……10点

・ストーリーの……3点

・見どころ……5点

・伏線回収……2点

・世界観、設定……5点


 そしてこの5項目の和に、クオリティを掛け算するイメージです。

  つまりクオリティは低くとも5項目の和が高いのならば、あなたは努力次第で大化けする可能性があるということです。


 また構成力に関しては、やり方次第で大量加点にも大幅減点にもなり得るので省きました。


 

 7つの項目の例としてあげた作品たちは、どれも高ポイントを獲得しているとわかると思います。

(だってどれも傑作ですから)


 逆に、自分の作品は3点以下だという方は、まだまだ伸びしろがあるということになります。

 自分に何が足りないのかを考えて、ぜひ色々試してみてください。

(もしキャラが弱い場合は致命的なので、そこからテコ入れすると良いと思います)


 おいおい、せっかく基準を作ったのに結局は主観で採点するのかよ、と思った方には申し訳ないですが、その通りです。


 結局、面白いとは人の感じ方の問題。

 主観的判断なしには評価できません。なので、そこは勘弁してください。


 また、最後に注意しておくとこの基準は作品の序列をつけるためのものではありません。

 そして、有名作品ではこんな点数計算では評価を決めるなんてことはできないので、あくまで我々底辺作家の指針としてお使いください。




 さて、ここまで面白い作品について考えてきましたが、いかがだったでしょうか。

 面白い作品や良い作品を作りたいと思っても、何が面白いのかというのは案外分からないものだと思います。


 私も今回こうして考えてみて、自分なりにいろいろ発見がありました。

 これが私だけでなく、少しでも皆さんの役に立てたなら幸いです。

 

 たくさん書きましたが、納得いかない点もあると思います。

 異論があればコメントでビシバシ書いてください。


 それでは皆さん、良い創作ライフを!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

面白い作品とは 大輪田ミナト @niseouji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ