おじいさんとおばあさんが大事に育てた桃太郎はいつの間にか村にきた鬼をいじめて追い出し、それに飽き足らないから鬼ヶ島に乗り込んで財宝を奪うという極悪人になりました。

こわき すすむ

昔々・・・

 昔々、太平洋のある島々の一つにおじいさんとおばあさんが仲良く暮らしておりました。二人は大分前に海賊を辞めていて、島にある山の麓で暮らしておりました。

 

 このおじいさんは海賊の親分で、おばあさんは別の海賊の娘でした。二人はよぼよぼの体をしていましたが、腕っ節はとても強かったのでした。しかし普段は相手に手を出すようなことはしませんでした。それどころか相手に情けを感じると助けているのでした。

 

 そこが二人の甘いところでした。


 

 ある日、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯をしに行きました。おばあさんが洗濯をしていると川から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。おばあさんはびっくりしましたがなんとおいしそうな桃だろうと思って、それを持ち帰ってしまいました。


 おばあさんが家に帰るとおじいさんがいました。おばあさんは川であったことをおじいさんに話しました。二人はその桃を食べてみようと思いました。おじいさんとおばあさんが桃を切りました。


 すると中から大きな泣き声がする赤ん坊が出てきました。二人はあっけにとられました。何が起きたの?と二人とも思いました。しばらくして二人は元気な赤ん坊を見ました。

 

 二人は思いました。これは子供のいない私たちに神様が恵んでくれたと思いました。おじいさんとおばあさんは赤ん坊を大事に育てることにしました。赤ん坊は桃太郎と名付けられました。 



 月日が流れ、桃太郎は青年になりました。


 勇猛果敢な青年でした。特に剣術に長けていました。桃太郎に敵う人は村にはおりませんでした。それで桃太郎は強い相手を探しました。

 

 ある日、村に鬼がやってきました。村人は鬼の角を見ると怖がりました。鬼は村人の様子に面白くなっていい気になっていました。鬼たちは角があることを誇りに思っていました。

 

 しかし、「頭に角があるだけで村人を怖がらせるなんて許せない」桃太郎はそう思いました。

 

 そこで鬼を捕まえました。なんと鬼をいじめだしました。


 鬼はびっくりしました。人間にいじめられたことが無かったからです。そして鬼は村から逃げていきました。

 

 桃太郎は家に帰るとおじいさんとおばあさんに鬼のことを言いました。するとおじいさんとおばあさんは桃太郎に「いじめるのは止めなさい」と言いました。


 ところが桃太郎は鬼が悪いのだから当然ですと言い返しました。

 

 次の日。鬼が村にやってきました。すると桃太郎は鬼を木に吊り下げていたぶりました。あまりに強引にしていたので、木の枝が折れて鬼は地面に落ちました。鬼は叫んで村から逃げて行きました。


 桃太郎は家に帰るとおじいさんとおばあさんに鬼のことを言いました。桃太郎はおじいさんに殴られました。桃太郎は、なぜおじいさんに殴られたのか分かりませんでした。

 

 次の日。桃太郎が家の外で体操をしていました。すると鬼が三匹やってきました。この鬼たちは挨拶をしてきました。一見従順そうに見えましたが、何か悪さをしてくるのではないかと桃太郎は思いました。


 そこで、おばあさんが失敗したきびだんごを三匹に渡しました。鬼たちは喜びました。そして口に入れました。


 すると、三匹は泡を吹いて気絶しました。


 桃太郎はしょうがない奴らだなあと笑いました。そして島の砂浜に鬼たちを置いていきました。

 

 3日後。


 桃太郎はおじいさんとおばあさんに鬼ヶ島に行って遊んでくると言いました。おじいさんとおばあさんは鬼をいじめるのだけはやめなさいと言ってしぶしぶ桃太郎を行かせました。しかし桃太郎の乱暴ぶりを心配して、こっそりと桃太郎の後をついていきました。



 桃太郎は途中で猿のように元気な猿男と犬のように従順な犬男と二人の世話を焼く頭の良い雉男を見つけました。そして三人を家来にしました。


 なんとこの三人は力を合わせると妖術を使えるのです。桃太郎は面白くなってきたぞ、と思いました。


 桃太郎はさっそく鬼ヶ島に行くために三人を使って舟を用意させました。そして舟に乗って鬼ヶ島に向かいました。


 するとおじいさんとおばあさんは桃太郎の後に続いて舟を手配しました。桃太郎が見えなくなった後に続けというように舟に乗りました。

 

 しばらくして桃太郎たちの乗る舟は鬼ヶ島の浜辺に着岸しました。すると鬼が待ち構えていました。 桃太郎たちは鬼と戦いました。桃太郎は苦戦するかと思っていましたがあっさりと手下の鬼を倒しました。ついでに鬼の頭領も倒しました。


 参ったと鬼たちは言いましたが、桃太郎は家来の三人に命じて鬼に罰を与えました。三人が妖術を使いました。


 すると、鬼たちの角がチョコレートのお菓子になりました。鬼たちが驚くとお菓子は地面にぽとりと落ちました。


 鬼は角があるから怖かったのです。角がない鬼は怖くありません。パンツ一丁の者なのです。


 この時、おじいさんとおばあさんは鬼ヶ島に到着しました。

 

 鬼を倒した桃太郎は舞台役者になった気になっていました。鬼たちを跪かせ「これにて一見落着」と言いました。そして鬼たちが大事にしていた宝物を奪いました。そしてさっさと撤収しました。桃太郎たちは舟に乗って去って行きました。

 

 鬼たちはこれまで、さんざん桃太郎にいじめられていたので悔しくてしょうがありませんでした。


 ある鬼は桃太郎に手足を縛られて木に吊されたことを恨んでいました。ある鬼は浣腸されたことを恨みました。ある鬼は毒入り(おばあさんの失敗作)のきびだんごを食べさせられて死にかけたことを恨んでいました。

 

 そして今回は鬼の誇りである角を失ったのです。鬼たちはその屈辱が募って、ついに我慢が出来なくなりました。 


 鬼の一匹が島の奥へと駆け出しました。すると大砲を持ち出しました。

 

「桃太郎め、調子に乗るのも今のうちだ」


 鬼の一匹はそう言って桃太郎たちが乗る舟に大砲の標準を合わせました。そして標準がぴたっと合いました。鬼の一匹はいよいよ桃太郎に仕返しが出来ると思いました。

 

 そこへおじいさんとおばあさんが現れました。

 二人は鬼たちに謝りました。

 

 しかし鬼たちの怒りは治まりません。

 鬼たちの怒りはもっともだ、と二人は感じていました。

 

 鬼に情けを感じた二人はしばらく考えました。おじいさんとおばあさんは真剣でした。

 

 そしてある提案を鬼たちにしました。


 「村を差し上げますから許してください」


そう二人は言いました。

 

 これを聞いた鬼たちはあっけにとられました。笑い出す鬼もいました。そして鬼の頭領は二人の言い分に満足して桃太郎と二人を許しました。鬼の頭領はこれで人間の村からたくさん搾り取ることが出来るぞと思いました。

 

 そんな鬼たちの姿を見て、おじいさんとおばあさんはさすがに言い過ぎたかと後悔しました。しかし二人は桃太郎が可愛くてしようがないのでした。これから村人が苦しめられても桃太郎にだけは甘くするのでした。



 一方、鬼ヶ島を離れた桃太郎はこのことを知らずに意気揚々と村へ帰るところでした。

 

 舟の中で桃太郎と猿男、犬男、雉男は回収したチョコレートのお菓子を口に入れました。


 そして、うまい!うまい!と言って気持ちがすっきりしたのでした。

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おじいさんとおばあさんが大事に育てた桃太郎はいつの間にか村にきた鬼をいじめて追い出し、それに飽き足らないから鬼ヶ島に乗り込んで財宝を奪うという極悪人になりました。 こわき すすむ @kowaki

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