日常に潜む魔界の影。姉弟が紡ぐ不思議な物語と、妖が交錯する奇妙な体験。

この作品は、本土と島に離れて住む姉弟の体験談を通じて、日常の中に潜む魔物の存在を描く不思議な物語です。姉の独特な感性と弟の冷静な視点が対比され、物語に緊張感とユーモアが加わっています。特に、姉の楽観的な性格が弟の心配を和らげるシーンが印象的です。

読み進むにつれ、上半身が見えない偉人の像や風呂場の結露に映り込む指の跡から不思議な雰囲気が感じられる一方で、姉弟が支え合う温かい関係性が魅力です。姉の奇妙な体験と弟のリアクションが絶妙に絡み合い、読む者を最後まで飽きさせません。

特に、スマホを通じて送られてきた幽霊や妖怪のような写真といった要素が現実と交錯する描写が秀逸で、読後にじわじわと怖さが増してくるような感覚を味わえます。

写真の中で幽霊や妖怪が描かれる奇妙な体験談の怖ろしくも温かい作品をありがとうございました。少しだけ怖かったですが、ふたりが支え合う姿に涙が誘われました。