第3話
「あらあら、若いわねぇ」
通りすがりの老婆はどこか懐かしそうな目で僕たちを見る
「こんにちは」
僕は軽い挨拶をかわすと、足早にその場を去った。その間、君はどこか遠くを見つめていた。しばらくして、僕は口を開いた
「君はどこを見つめていたの?」
君は視線を少し下げると、
「......何も」
とそっけなく返した。そして、君はまた口を開く
「あなたはあの虹のように綺麗でどこまでも透き通っている。...でもそれは、あなたが本当の空を知らないから」
僕は微笑むと、君にこう言った
「僕が君の言う空を知ったとしても、きっと変わらないよ」
君は詰め寄って聞く
「根拠がない。人に感情があるかぎり、あなたはきっと染まってしまう。......それが心配」
僕はハッとした。そして、僕は君の手に握って
「君は僕のことを心配してくれるんだね。今までの君の言葉で一番嬉しいよ」
君はそっぽを向いて答える
「心配なんてしていない。それに根拠について答えていない」
「あぁ...そうだね。根拠と呼べるものかは分からないけど、僕がそう思っていたいから。どれだけ空模様が変わろうとも、最後には必ず晴れる空のように、心もきっと雲一つない青空を夢見ていると信じている」
君はプッと吹き出し、「何それ」と笑った。君が笑っていると、僕も嬉しくなって一緒に笑った。二人の笑い声は夕焼けの空に消えていった
小説家になろうからの者です @09053805858
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