第2話
「雨、なかなか止みませんね」
そういった僕は、おもむろに君の顔を見た。君はまだ悲しそうな顔をしている。...寒い。氷のような冷たさだ。それはきっとこの雨のせいだけじゃない。君は腕で瞼を拭うと、手を雨の中に晒した
「何をしているの?」
僕には君の意図が分からない。すると君はこう言った
「雨を見ているとなぜだか、悲しみが込み上げてきます。私が悲しみにくれるとき、いつも雨が降っている」
僕は空を見上げて、それから目を閉じた。...聞こえる。アスファルトの地面に雨が当たる音が。それにまじって、僕らの息遣いが近くにあるようでまるで遠くにあるような不思議な感覚。
「...それは天があなたの涙を洗い流そうとしているのです」
それを聞くと君は、少し不機嫌そうにこう言った
「...それなら天にいる神様は私の気持ちを分かっていませんね。雨が降ると余計に悲しくなる」
僕は何も言えなかった。そうして僕は君と同じように雨の中に自身の手を晒した。冷たい水が一つ、また一つ肌に落ちる。...不思議と落ち着いてくる。そうしているうち、やがて雨は止んだ。真っ暗な空の隙間から太陽の光が差し込み、空に虹がかかる。僕たちはまた歩きだした。幸い僕たちには時間がある。また他愛もない話を続けよう。
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