第三回 文章上達法(2)
今回は具体的な文章上達法です。
といってもなにも複雑なことはなくて、方法はいずれも大変ではありますが単純で分かりやすいものとなっております。
テンポよくいきましょう。
まず文章の上達のために絶対的に必要なのは、「読む」ことと「書く」ことです。
インプットとアウトプットというのは執筆に限らずどのような創作活動においても必須ですが、小説がそれらと違うのは実際の上達具合が目に見えにくいという点で、これのせいで商業作家を挫折した人も少なくないでしょう。
しかし他の人から見れば間違いなく文章は上達していますから、自分の実力に自信がなくても上達を信じてください。
また、本当に上達していれば過去に自分の書いた文章を読むとダメな点が鮮やかに浮かび上がってくると思いますから、それを試してみてもいい。
あるいは上手い人の文章と比べるなども、結構分かりやすいかと思います。
それで、肝心の文章上達法ですが、大体六つあります。
・乱読
・熟読
・音読
・執筆
・写経
・模倣
それぞれ簡単に説明していきます。
乱読とは、とにかく片っ端から本という本を読みまくることです。
これのメリットは、飽きが来ない、楽しい、さまざまな人の作風や文体を知ることができる、など。
デメリットは熟読よりも上達ペースが遅くなる(そうでない人もいるにはいます)、一つの作品に対する理解が浅くなる、文体が安定しなくなる。
正直言ってしまうと私は乱読しまくって文章技術を上達させてきました。
森鴎外や谷崎潤一郎なども乱読よりは熟読の方がいいと言っておりますが、飽き性な人はべつに乱読でもいいんじゃないかと思います。(敬称略)
熟読とは一冊の本を徹底的に読みまくることです。
これのメリットは、作品に深い理解が得られる、最も上達速度が早い(多分)、など。
デメリットは、飽きる、本の選択を誤ると逆効果になる恐れがある。
ただ、デメリットにある逆効果は文章があまり上手くないものの場合というだけで、そんなに心配することはありません。
また、熟読は一冊の本だけではなく何冊も行った方がよく、一冊のみだと文章の雰囲気がそちらにだけ偏ってしまいます。
無論好きな作家のような文章を書きたいという方はそれでもいいと思いますが、プロを目指すなら少しぐらいオリジナリティが欲しいです。
それから、熟読をするにはライトノベルよりも明治から戦後あたりの本や古典をおすすめします。
音読に関しては特に説明もいらんでしょう。
音読は文章のリズムや韻律を鍛えてくれます。
最近に書かれたものよりも昔のものの方がリズムの意識されたものが多いのでそちらをおすすめします。
あとは俳句や詩なんかも音読には最適です。
以上です。
執筆は文章を書くことです。
結局のところ、文章力向上に一番の近道はひたすら書き続けることだと思います。
これも特に説明することはありませんね。
まあそれでも言っておくと、書き始めた作品をエタらせる*より完結させた方が成長速度が断然違いますから、極力エタらないようにしてください。
*エタる、エタらせるとはネット用語で作品を完成させないこと、途中で投げ出すこと
写経は作家の文章をただひたすら書き写すことです。
なんか今までのものと比べるとゴリ押し感が半端ないですが、非常に時間がかかるだけあって効果も確かなものです。
必要ないかもしれせんが、写経におすすめの作家とその作品を載せときます。
芥川龍之介 「地獄変」「鼻」
川端康成 「眠れる美女」「掌の小説」
志賀直哉 「城の崎にて」「暗夜行路」
太宰治 「駆け込み訴え」「ヴィヨンの妻」
谷崎潤一郎 「痴人の愛」「少将滋幹の母」
中島敦 「山月記」「光と風と夢」
夏目漱石 「こころ」「三四郎」
三島由紀夫 「金閣寺」「潮騒」
村上春樹 「ノルウェイの森」「風の歌を聴け」
森鴎外 「渋江抽斎」「舞姫」
模倣はその名の通り、作家の真似をすることです。
これをするとびっくりするぐらい文体が安定しなくなりますが、その分文章に対する観察眼が非常に冴えるようになります。
正直言うと、私は修練としての作家の模倣はおすすめできませんが、誰それみたいな文章が書きたいという方はやってみてもいいでしょう。
前回は想定以上に長くなってしまいましたが、今回は想定以上に短くなってしまった。
ま、いっか。
次回は最近カクヨムで話題っぽい「視点」について語ります。
高校生の文章読本 三輪徹男 @Hachi0805
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