はい

本編

　数年前、職場でガチで遭った話である。

　その日は定時帰宅日で数人と喋りながら更衣室で着替えてました。

　すると。

「はい」

　と更衣室の外から聞こえて来ました。

　声からして同じ職場のAさんだと私含め、その場にいた人達は思いました。

　Aさんはハキハキと喋る人で遠くから話していても解るほどでした。

　ですが、Aさんは私達よりも先に帰っていました。だから、忘れ物でも取りに行って上司にでも会って返事したんじゃ？　となったのですが、その声のあとに暫くしてBさんが更衣室に入ってきました。

　Bさんに。

「Aさんに会った？」

　と聞いたら。

「Aさん？　会わなかったよ」

　と答えられました。

　その言葉に和気藹々としていた場は一瞬で凍り付きました。

「だって、さっきAさんの声聞こえたよね！？」

「うん、私も聞こえてAさんだと思って返事したら居なくて･･････。もしかして、私、Aさんじゃない何かに声かけちゃったの！？」

　Bさんはパニックになったものの私達の部署を束ねるお局様がBさん！　えんがちょ！　と言って某釜爺の如くえんがちょをしたので、少し和んだ思い出。

　翌日、Aさんに聞いたがAさんは会社に戻っていなかったようで話を聞いて怖がっていました。

　それから数ヶ月後、Bさんは病気で会社を退職しました。

　Bさんが病気になったと聞いたとき、上記の話を思い返し、まさかと私は思ったのだった。