第5話

甘い太陽




神は甘いものが大好きであった。そのため、一番甘く、おいしいものを投票で選ぶことにした。候補には、チョコレート、飴玉といった菓子やりんごなどの果物はもちろんのこと、とある動物の糞といった意外なものもあった。甘い玉の候補は地球以外の場所にもあった。例えば、月のとあるクレーターにある甘い岩石がそうだった。甘い玉を選ぶということにちなんで、投票用紙は甘い砂糖菓子でできていた。最終的に、太陽が選ばれた。太陽は実はあつあつの砂糖でできているからである。






スマホのこだま




サトシは先週登山した。そのときに、山の頂上から大声を出して、こだまが返ってくるのを聞いた。彼はこだまを気に入り、普段それを聞けないか考えた。そこで、多くのスマホを用意した。それぞれのスマホにはアラームを設定しており、12時ちょうどに鳴るもの、12時1秒に鳴るもの、12時2秒に鳴るもの、というように、1秒おきにスマホのアラームが鳴るようにしていた。さて、12時になった。スマホが次々に鳴り出す。しかし、アラームの音はきれいな音ではなく、しかもそれがいくつも鳴っているので実に不快だった。失敗だ。






甘い魔法




とある魔術師が甘い魔法を発明した。この魔法を相手にかけると、その相手の舌にこの上もないほどの甘さが広がるのだ。彼はさっそくその魔法を自分にかけた。すると、どうだろう。チョコレート、飴玉、メープルシロップなど、さまざまな甘いものが合わさったような味が舌に広がった。彼は幸せな気分になり、もういちど自分に甘い魔法をかけた。すると、先ほどよりもさらに強く、おいしい甘さが舌にひろがった。こうして、彼は常に甘い魔法を自分にかけるようになった。するとだんだん、食事や睡眠など、生きるために必要なことを忘れるようになり、ほどなくして彼は死んだ。






玉を転がす神




神は玉を転がすことが大好きであった。最初は、虹色のビー玉を平らな地面の上で転がしていた。しかし、ビー玉の動きは単調でだんだんそれに飽きてきた。そこで、神の力でもって地面に起伏をつけ、その上でビー玉を転がすようになった。こうしてビー玉の動きは複雑になったが、神は次第にビー玉以外のものを転がしたいと思うようになった。そこで、神は巨大な大理石を磨いて象の大きさほどの玉を作り、それを転がすようになった。さらにそれに飽きると、こんどは鯨の大きさほどの岩を転がすようになった。こうしてどんどん神は大きな玉を転がすようになった。ついに、神は、地球を天の川の上で転がそうと思いついた。そうして、地球を天の川に移動させ、それを回転させた。しかし、神はあまりにも早く地球を転がしたため、地球の生き物は全て宇宙に吹き飛んでしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

テキストデッサン @ishiiyuriko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ