第13話 ブレスレット

 砂金が貯まったので母に相談すると、

「どうする? 延べ棒にする?」

「延べ棒以外に何かできるの?」

「この量なら金貨かな? もしくは小物かマークを作ってブレスレットに付け加えるとか」

「それ! ブレスレットに付ける!」

「分かったわ。それじゃあ、デザイン考えておきなさい」

「デザイン?」

「こっちで適当に考えてもいいけど?」

「ううん。自分で作る」


  ◇ ◇ ◇


 さて、どんなデザインにしましょうか?

 私は自室に戻り、机に紙を置き、右手に鉛筆を手にしてデザインを考えていました。

 でもなかなか良い案が思いつかず、頬杖をついていました。


 ハート?

 可愛いけど、少し子供っぽいかな?


 星?

 まあ、無難ですかね?


 イニシャル?

 面白味はないですね。


 何か面白いマークはないでしょうか。

 私は何かヒントとなるものを求め、部屋を見渡します。


 花、太陽、三日月、結晶、ウサギ、鳥、……ふむ。


 考えると何も浮かばないけど、周りを見渡すとあれこれとあります。

 私はさらなるインスピレーションを求めて、紙とペンを持ち外に出ます。

 葉っぱから四葉のクローバーが連想。

 そして花や蝶を見て、ノートに書き足します。

 家に戻ろうしたところで、母が外に出てきました。


「どこか行くの?」

「ちょっとサザリーさんのおうちに」

「ふうん」

「お留守番よろしくね」

「はーい」


 私は部屋に戻り、テーブルの上にノートを広げます。そこには数多くのマークが描かれています。

 さて、これらの中から一体どれに致しましょうか。それとも一つではなく二つ選んで合わせるとか。三つは……流石に多いですよね。

 では、どれとどれを合わせようか。


  ◇ ◇ ◇


 夕食時、母が、

「そういえばブレスレットのマークは何に決まったの?」

「うーん。まだ決めてない。候補はいくつかできたんだけどね」

「ゆっくり考えなさい」

「うん」


 そして夕食を食べ終えた私は自室のベッドに仰向けになっています。

 マークについて考えれば考えるほど分からなくなります。

 あれもいいし、これもいい。

 一つには絞れないし、二つくっつけてようにも組み合わせに悩みます。


「もやもやするー」


 目を閉じて、息を吐きます。

 と、そこへドアがノックされました。


「なーにー?」


 ドアが開かれ母が部屋に入ります。


「ミウ、お風呂入りなさい」

「分かったー」

「どうしたの? お悩み中?」


 母は机のノートを見て聞きます。

 ノートには色々なマークが書かれています。


「うん。どれがいいか分からなくて。ねえ、その中でどれか1番良い?」

「そうねえ。……四葉のクローバーかしら。作りやすいし」

「……そっか」


  ◇ ◇ ◇


 風呂に入って一旦、頭の中をリフレッシュすれば妙案でも決まるかと思ったけど、そんなことはなかった。


「もう無理。どうしよー」


 私は机から離れ、ベッドに仰向けに倒れます。


「どれがいいんだろー」


 窓からは三日月が窺えます。


「三日月も良いんだけど。それだけだとねー」


 と、そこへ三日月が欠けました。

 何かと思い、起き上がります。


 それは青い蝶でした。


 青い蝶が私と三日月の間を飛び交っていたのです。

 夜闇を照らす月光の下、青い蝶がゆらりゆらりと。


 それはとても幻想的でした。


 青い蝶が飛び去り、私はすぐに机に向かい、絵を描きます。

 そしてその絵をデフォルメして私はマークを作ります。


  ◇ ◇ ◇


 翌朝、私は母にブレスレットに取り付けるマークの原案を描いたノートを母に渡しました。


「これで良いのね?」

 母はマークの原案を見て聞きます。


「うん。それでお願い」

 私は頷きます。

 ノートには三日月と蝶が描かれています。

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妖精少女物語・番外編 赤城ハル @akagi-haru

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