2人だけ
ねむけ
2人だけ
「ねぇ、最近泣いた?」
「何その質問」
「いや何となく」
「まぁ最近はないな」
「わたしは夜寂しくなって泣くことあるよ」
「そうなんだ」
「うん、でも親とかあんたとかはさ泣いてるの見た事ないなって」
「人前で泣くとなんか気まずいじゃん」
「そう?」
「人前で弱いとこ見せたくない的な」
「ふーん、そんなもんなんだ」
「それで何が言いたいの?」
「人間さ、もっと泣いた方がいいと思う」
「感情を出した方がいいってこと?」
「うーんそれもそうだけど、人間ってさもっと弱い生き物じゃん?」
「うん」
「私の周りにいる人達って頑張りすぎてる気がしてて」
「うん。それってあたしも含んでる?」
「わかんない」
「なにそれ」
「頑張ってるのに頑張れって言うのとかさ、」
「うん」
「努力したのにもっと努力しろとか言われたらさ、ムカつくじゃん」
「そらーな」
「でもそれを言われた人は反撃ないわけじゃん。そういうことを言ってきた人はそれを経験した人か、それか自分より年上の人ととか」
「それで?」
「うんで、明らかにお前それ経験してないだろみたいなこと言われて、でも反撃しなくて、私はそれ偉いなって思うんよ。」
「実際反論したことは無いな」
「でしょ?日本人だけじゃないかもしれないけど、みんな感情をしまいすぎなんかなって」
「確かに日本人はそうゆう傾向あるな」
「感情ってなんのためにあるんやろな、必要なかったらその感情の名前とか必要ないじゃん」
「そうだね」
「上司は理不尽に怒ってくるし、親はうるさいし」
「うんうん」
「何が正解か分からないよ」
「いっそ正解なんてないんじゃない?」
「どうゆうこと」
「正解はそれぞれの思いの中にあるものでそれがなにかなんて分からないんよ」
「うーん」
「例えば上司の思考なんて分からないでしょ?それなのにあーだこーだ言われる」
「うん」
「上司の思う正解はこっちだけど、あんたが思う正解はそれとは違うってことよ」
「たしかに」
「あんたがやってる仕事に正解はないんじゃない?学校のテストとか工場とかなら別だけどさ」
「うん、なんか納得した」
「よかった」
「はぁ」
「まだ悩みある?」
「もう人間関係とかしんどいよ」
「しんどいよなぁ。全部放り出して一日中ゴロゴロしてたいよな」
「私も早くそっちに行きたい」
「まだ早いよ、あんたには幸せになってもらいたいんだから」
「いつになったら会えるの?」
「あんたが寿命で死ぬまで」
「長すぎない?」
「そんなもんよ。あと、五十年位はここに通ってくれないと笑」
「うぇまじかよ」
「笑笑」
「てかここに来はじめてどれくらい経つのかな」
「八年」
「そんな経つんだ」
「あんたが大学卒業就職って決まった時は親より喜んだ記憶あるわ」
「ほんと?」
「ちょっと盛った笑」
「でも嬉しかったのは本当だよ」
「知ってる」
「それでこれからどうすんの?」
「もうちょっと頑張ってみようかな」
「うん、あんたの努力見てたからあんたなら大丈夫」
「ありがとう」
「暗くなる前に帰りなよ」
「うん、そうする」
「ここも変わっちゃったね」
「いつもこの景色見ると前のことばっかり思い出すよ」
「うん、わたしも」
「またどっか遠くに遊びに行きたいな」
「そうだね」
「あんたが死ぬまでどこにも行けないや笑」
「どこにも行かなくていいよ」
「どこに行く気もないよ」
「私が毎日遊びに来るよ」
「そんな来なくていいわ」
「はぁ、帰りたくないな」
「もう帰ってもいいよ笑」
「はは、そろそろ帰るか」
「ばいばい」
「うん、またね。」
視界が滲み私は目を閉じた
2人だけ ねむけ @nemuke_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます